官僚と闘う政治の注目情報詳細(201010)

 

1.「役員以外も公募に」 厚労相、所管法人に要請 天下り問題

201094日 朝日新聞)

 長妻厚生労働相は3日、厚労相所管の公益法人に対し、役員以外の職員も公募採用に切り替えるよう文書で要請した。国家公務員OBの大量天下りを問題にしたもので、「国と所管法人とのかかわりかたの疑念を、さらに払う必要がある」と説明。理事長など役員については、すでに公募するよう求めている。

 今回の調査は事務局長や総務課長など役員以外を対象としたもので、4月1日現在で304法人に1653人が在籍していた。厚労省出身者は280法人の1401人で、このうち124人は1826万円を最高に1千万円以上の給与を受けていた。

 長妻氏は3日の記者会見で、天下り先の公益法人について「厚労省から直接お金が補助されているところもある」と指摘。国家公務員OBを優先採用している可能性があることから、「一般の方から最適な人物を選ぶことが、公的性格を一部持つ法人には求められている」と述べた。

 ただ、厚労相は法人の人事権を持たないため、公募は「自主的な導入」を求めた形だ。

 また、長妻氏は同日付で、健康保険組合、厚生年金基金、国民年金基金に対しても役員と職員の公募採用を要請した。全国に合わせて約2100団体あり、昨年9月16日から今年8月6日までに勧奨退職した本省の課長・企画官級以上の17人うち8人が再就職していた。

 

 

2.長妻氏「天敵だったのでは」 厚労相退任会見

2010923日 朝日新聞)

 長妻昭前厚生労働相は22日の退任記者会見で、厚労省について「隠蔽体質、無駄使い、天下り体質があり、世間の期待に比べて動きがワンテンポずれていた」と評価した。その上で「かなり追求したので、厚生省に取って『天敵』の位置づけだったのでは」と振り返った。

 長妻氏は予算のムダ削減や天下りの排除による「役所文化の変革」に取り組んだと強調。「他の役所に比べ、厳しすぎるという声もあったが、一番お金を使う役所だからこそ、徹底的に見直すことが大きな力になり、道が開けると繰り返し申し上げた。だが、『どうして』との思いのあった方もいた」と、職員の理解がなかなか得られなかったことに悔しさをにじませた。

 民主党の目玉政策だった子ども手当については「必ずや少子化の流れを変えるものになる」と断言。さらに、毎年2200億円の社会保障費の伸びの抑制をやめたことや、診療報酬の10年ぶりの増額、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の廃止への取り組み、年金記録問題で全件照合の道筋をつけたことも実績として挙げた。(石塚広志)

 

 

3.省庁版仕分け、13兆円超節約=蓮舫行政刷新相

2010928日 時事通信)

 蓮舫行政刷新担当相は28日午前の閣議後の記者会見で、今夏に実施した省庁版事業仕分け「行政事業レビュー」の結果、13000億円超の予算節約につながったと発表した。

 蓮舫担当相によると、各省は2009年度に実施した約5400の国の事業について、独自に見直し作業を実施した。その結果、約2700事業で「廃止」や「改善」などと判定。各省は結果を踏まえ、11年度予算の概算要求を行った。蓮舫氏は「各省の努力によってこれだけの改善が講じられたのは歓迎できる」と述べた。 

 

 

4.仕分け第3弾 特別会計廃止も 基本方針きょう確認

2010930日 産経新聞)

 政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)が10月下旬から始める「事業仕分け第3弾」で、特別会計の制度廃止も視野に仕分け作業を進めることが29日、分かった。30日の行政刷新会議の全体会合で「特別会計制度そのものについても検証し、その結果を踏まえて制度の刷新を行う」との基本方針を確認する。

 基本方針では、今回の仕分け作業で「18会計51勘定すべての特別会計をゼロベースで見直す」と強調している。各特別会計について、不要な積立金や処分できる資産を洗い出し、存続させる必要があるかどうか判断。その上で、特別会計制度そのものの是非についても廃止の可能性も含めて検討する。

 民主党は夏の参院選マニフェスト(政権公約)に「総予算の全面的な組み替えを徹底する」と明記した。政府は今回の仕分け作業の結果を踏まえ、特別会計を一般会計に組み込むなど抜本的に予算の仕組みを見直し、子ども手当の満額支給などの財源確保につなげたい考えだ。

 特別会計は社会保障や国債整理など目的別に資金を管理するもので、歳出規模は平成22年度予算で一般会計の92兆円に対し176兆円(実質額)と大きい。ただ、特別会計の制度改正には法改正が必要だ。参院で野党が多数を占めるねじれ国会で、それが可能かどうかは不透明なことに加え、従来の規模を守りたい各省庁の抵抗も予想される。

 ■特別会計

・18会計51勘定すべてをゼロベースで見直す

・積立金の必要な資金規模の見直し

・土地、建物、株式など資産の処分、活用を検討

・事業主体の変更を検討

・特会制度そのものの見直し

 ■再仕分け

・「廃止」とされた事業が他の事業や新規事業に移し替えられた事案の精査

・人件費などの管理経費を削減せず事業費を削減した事業の精査

 

 

5.「仕分け人」に与党議員28人=枝野、長妻氏も

2010930日 時事通信)

 政府は30日の行政刷新会議(議長・菅直人首相)で、10月下旬から始める事業仕分け第3弾で「仕分け人」を務める与党の国会議員を決めた。枝野幸男幹事長代理、長妻昭前厚生労働相ら民主党の27人と、国民新党の亀井亜紀子政調会長の計28人。衆院の新人議員19人が含まれる。

 仕分け人は二つのチームに分かれ、特別会計の精査と、過去の仕分け結果を検証する「再仕分け」を行う。枝野、長妻両氏は全体を統括し、亀井氏は再仕分けを担当する。

 首相は席上、「特別会計の抜本的な見直しに向け、議論に終止符を打つつもりでやってほしい」と求めた。

 枝野氏らを除く仕分け人は次の通り(敬称略)。

 【特別会計】本多平直、網屋信介、大西健介、岡田康裕、緒方林太郎、玉木雄一郎、長島一由、花咲宏基、福島伸享、三村和也

 【再仕分け】泉健太、田村謙治、城井崇、階猛、神山洋介、近藤和也、斎藤恭紀、菅川洋、高邑勉、中後淳、初鹿明博、藤田憲彦、山尾志桜里、山崎摩耶、大野元裕。 

 

 

6.9特会廃止を提言 一般会計化前提  民主報告書

2010104日 日本経済新聞)

10月下旬からの政府の事業仕分け第3弾に先立ち、民主党のプロジェクトチームがまとめた特別会計の見直しに向けた報告書が3日、判明した。全部で18ある特会のうち、道路整備などに使う社会資本整備事業特会など少なくとも半数の9特会について、廃止して一般会計にすることを前提に見直すべきだと提言した。資金の流れが複雑で無駄も指摘される特会事業の透明、効率化を狙う。

 2010年度予算の特別会計の総額は実質176兆円と一般会計の92兆円を上回る。民主党は昨年の衆院選まで、一般会計と特別会計を合わせた総予算について、無駄削減や特別会計の積立金切り崩しなどにより4年かけて16.8兆円をひねり出すと説明していた。報告書は特会の見直しで生み出せる財源の総額には触れていない。

 報告書は、地震再保険特会、エネルギー対策特会、農業共済再保険特会なども、一般会計化を前提とした見直しを要求。「一般会計からの繰入金が多く、一般会計化すべきだ」「事業は民間でもできるもので特会である必要性は薄い」「一定条件下なら一般会計化が可能」などと明記した。

 労働保険特会については「不要・非効率な事業が多い」と指摘。なかには必要な事業もあるとして一般会計化すべきだとの結論は留保したものの、個別事業の「大胆な廃止、見直し」を求めた。

 民主党が一般会計化などを提言した9つの特別会計の2010年度予算額の単純総計は9兆9300億円に上る。報告書を踏まえ、政府は事業仕分け第3弾で全18特会の計51勘定について存廃を含め全面的に見直す。

 一方、報告書は日本の外貨準備を運用する外国為替資金特会や国債整理基金特会は特会の必要性を認めつつも、積立金などの残高水準が適切かどうか見直すべきだと提言。年金特会は「受益と負担の関係を明確にする観点から(現状が)妥当だ」とした。

 特会は、国の全般的な収支を管理する一般会計から切り離し、年金や公共事業など特定の目的ごとにお金を管理している。そのため外部からチェックしづらいなどの問題が指摘されてきた。

 報告書は若手議員を中心とする民主党行政刷新プロジェクトチームが8月から約1カ月にわたり、すべての特会を実態調査してまとめた。