官僚と闘う政治の注目情報詳細 (20111)

 

1.政務三役会議に次官出席 仙谷長官要請 政治主導なし崩し

20101229日 産経新聞)

 民主党政権は「政治主導」という金看板を下ろそうとしているようだ。仙谷由人官房長官は28日、各府省の閣僚、副大臣、政務官による政務三役会議に、事務次官、官房長が出席するよう求めた。かつて仙谷氏は事務次官職の廃止を主張したが、府省間の連携不足による政策決定の遅れなどの弊害が生じたため、官僚の力を借りる姿勢を明確にせざるを得なくなった。

 仙谷氏は各府省の事務次官に対し「政治主導とは決して事務方が汗をかかずに政治に丸投げということではない。政務三役会議から事務方を排除することで意思疎通が図れないようではいけない」と述べた。

 菅直人首相自身が副総理時代に「霞が関(の官僚)なんて成績が良かっただけで大バカだ」と述べるなど、民主党には官僚機構との対峙(たいじ)を「政治主導」と言い張るきらいがあった。

 昨年9月の政権発足時には、閣議案件の事前調整を担ってきた事務次官会議を廃止。省内の意思決定は政務三役会議、府省間の調整は閣僚委員会で行うこととした。

 民主党が28日に所属議員らに配布した広報資料も、民主党政権の成果の筆頭格に「事務次官会議の廃止」を挙げている。

 だが、政務三役会議を重視するあまり、他省との事務レベルのすり合わせがないまま方針が決定され、かえって調整に時間がかかる事態も多発している。

 仙谷氏は28日の記者会見で、「閣議の前提でやっていた事務次官会議を復活させるつもりは全くない」と強調しながらも、「必要ならば事務次官レベルでの協議の場を提起したい」と語り、同会議のように事務方が府省間で話し合う場を設ける考えを示した。

 もっとも仙谷氏は行政刷新担当相だった昨年12月、「大臣、副大臣、政務官で組織を運営していくのなら、事務次官の存在は必要なくなる」と、事務次官廃止論をぶちあげた張本人だ。

 「真の政治主導は、官僚を排除することではなく、政と官が一体となって取り組むことで実現される」

 仙谷氏は28日の閣僚懇談会で各閣僚に政務三役会議への事務次官陪席を求めた。1年間で認識が百八十度変わったようだ。(加納宏幸)