歯車は戻らない

生活者主権の会代表 小俣 一郎


 昨年9月に船出した鳩山丸は、税収の大幅減少という荒波にもまれ、また本人と小沢幹事長のカネの問題もあり、その航海は順調とは言えない。しかし、事務次官会議の中止や、事業仕分けを始めとする予算編成作業の公開等々、時間的な制約がある中で、民主党政権らしい新しい取り組みも随所で行われている。

これまで日陰の存在であった副大臣や政務官にもスポットライトが当たった。民主党の若手に優秀な人材が存在していたことが認知されたことはこれからの政治に対する期待を抱かせるものである。自民党の舛添前厚労相の「もし仮にいま私が首相になったとしたら、閣僚の7割は民主党から選ぶ」との発言は、いま人材が民主党の方に揃っていることを裏付けるものだろう。

今回、自民党は独自の予算案を作成したがそこには「事業仕分け」を入れざるを得なかった。これも新しい変化の表れの一つだろう。

昨年の政権交代は、国民が自ら新しい政権を選択した画期的な出来事であった。しかし、長く長く続いてきた自民党と官僚を中心とする政治運営の仕組みを変えることがそう簡単にできるはずもない。しかもまず早急に予算編成から始めなければならなかった。新しい体制の新しい運営方法で「政治が変わった」と国民が実感できるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。

 鳩山丸はいまだ安定感がなく、1年持たなかった細川内閣とも比較される。しかし決定的に違うのは、国民は細川首相を選んではいないが、鳩山首相は国民によって選ばれたということである。しかも308議席を獲得した民主党が第1党である。過半数には届かなかったが自民党が断トツの第1党であった細川政権とは、政権の基盤が段違いに異なる。どっしりと構えることである。

いま大きく騒がれているカネの問題にしても、小沢・鳩山問題は、民主党内に残る自民党的負の遺産とでも言うべきものだろう。これから民主党は公約通り「企業団体献金の禁止」の方向に舵を大きく切ると思うが、追及している立場上自民党もそれに反対できなくなるだろう。それは結果的に旧来の自民党型の政治システムをさらに大きく変えていくことになる。

日本の政治の歯車は、いま新たなる方向へ大きく動き出した。もう旧来の自民党型政治に戻ることは考えられない。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

1月23日の『活動方針達成祝賀会』には77名もの方々がご参加下さいました。ありがとうございました。

私は常々、旧来のシステムを変えるためには、日本の政治が前に進むためには、政権交代が必要だと申し上げ、4期にわたってそれに貢献することを活動方針に掲げてきましたが、政権交代の実現によって、当会の活動に一つの大きな区切りを付けることができました。

私は、今後の当会の活動は、具体的な政策について「会として提言する」とか、あるいは「会員が個々にいろいろな意見を発信し提案する」とか、本来の「政策提言型市民団体」的活動を主体にするのがよいのではないかと考えています。

今後の活動についての会員の皆様のいろいろなご意見をお待ちしております。