私版注目情報(3月)&コメント

東京都渋谷区 深津 輝雄

 

@胆沢ダム 談合調査へ(国交相方針 情報通り落札)

218日 朝日新聞)

ゼネコン各社が受注調整していたとされる胆沢ダム(岩手県奥州市)建設工事がめぐり,2004年と05年の各工事の入札前の段階で談合情報が国土交通省に寄せられ、情報通りの業者が落札していたことが17日、衆院予算委員会で明らかになった。笠井亮議員(共産)の質問に対し前原国土交通相は、049月ダム本体工事で『落札者は鹿島建設』052月にダム本体に使う石を山から採取する工事で『落札者は大成建設JV、下請けは水谷建設工業東京支店』同省東北地方整備局は、入札参加者に事情聴取をしたが談合を確認出来ず入札を実施した。前原国土交通相は、談合問題の検証を行なう方針を示した。(以下省略) 

(コメント)

 前原国土交通相は、ダム工事の継続・中止の判断基準の一つは、本体工事に取り掛っているか否かという判断基準を示したが、果たして胆沢ダムが、仮に着工前であったならば、八ッ場ダムのように、原則を適用できたのか?文芸春秋3月号の記事にあるように小沢利権は3つある。一つはフォーラム21に流れた自由党解散時の政党助成金、2番目が岩手テレビ局の設立に関わる株式の大量取得であり、3つめがゼネコンの献金で、笠井議員(共産)の質問にも『05年の衆院選挙投票日の2日前水谷建設から250万円の寄付を受けていた』ことが指摘されていた。待ったなしに、政治資金規正法の抜本的な改正をするべきだ。それが国民

の支持を確保する唯一の道である。

 

 

A『国・地方協議』法案固まる

 (219日 朝日新聞)

 鳩山政権が地域主権改革のために設ける『国と地方の協議の場』の法案骨子が18日、まとまった。近く閣議決定し、今国会の成立を目指す。設置されれば、政府と自治体が行財政、税制から社会保障、教育など地方自治に関する広範な政策を企画立案段階から話し合う初めての場となる。政府と自治体代表の協議で合意した案によると、官房長官、総務相ら主要閣僚と全国知事会などの代表らで構成。国、地方の双方に開催の請求権を認め、メンバーには協議結果の尊重義務を課す。協議の場の法制化は自治体側の悲願だった。小泉政権下での『三位一体改革』で地方側の意見がほとんど無視されたことから、自治体の意向が反映される仕組み作りを強く求め、民主党も先の衆院選のマニフェストに掲げた。政府側と制度作りに当った山田啓二・京都府知事は、18日、首相官邸で『国の政策立案を政府と地方が狭義知るのは画期的、魂の入った協議の場を作りたい』と意義を強調した。 首相や原口大臣が打ち上げた理念に具体策を詰め込んでいく作業は、正にこれからだ。自治体のやり方を法令で縛る『義務付け』の見直し104条項の廃止などを求めてきたが、『族大臣』、『族政務官』と呼ばれるほど役所の代弁者に徹する閣僚らの存在が壁になっている。

(コメント)地域主権推進の皆さまの活躍を期待しております。      

 

 

B公務員人件費 2割削減の壁(関連法案きょう閣議決定)

(219日 朝日新聞) 

民主党マニフェスト(政権公約)の目玉、『公務員制度改革』の関連法案が19日に閣議決定される。仙石由人国家戦略相は鳩山首相に法案の説明を終えると記者団に対し『これで相当大きく霞ヶ関が変わる。縦割り構造をここからぶち壊していける』と語った。

 次官・局長・部長級を同一の職制と位置づけ、幹部官僚の移動を降格でなく通常の人事と位置づける。幹部公務員の人事を一元管理『内閣人事管理局』の新設、不当な天下りを監視する『第三者機関の設置』など今回の改正が実現すれば、民主党が公約した公務員制度改革がようやく動き出すからだ。

 しかし民主党の『公務員人件費の削減』の動きは鈍い。09年度の当初予算の国家公務員人件費5.3兆円の2(1.1兆円)4年間で削減すると明記したが、各種手当ての水準や定員の見直しなどで削減を予定していたが、10年度予算では、このような改革には手をつけられずに、初年度は約1,400億円の削減に留まった。

 民主党が期待している国の出先機関の『地方移管についても財務省幹部は『地方が負担する人件費と同じ負担を地方に委譲せねばならず、国に新しい財源が生まれるとは思えない』と語った。

 人件費の2割削減のハードルは高い。相当な定員や給与のカットが求められるので民主党の支持母体となる労働組合との対立も避けられない。(一部文章の簡略化をした)

(コメント)

民間並みに『スト権も与える代わりに首切りも出来るようにする』制度にしないといけないと思います。さもないとぎりぎりの人員で運営する雰囲気にはなりません。不況で巷に失業者が溢れている状況で、また、選挙前に当るので、労働組合との厳しい対立は好ましくないが、避けて通れる問題ではなく『公務員人件費の2割削減』は厚い壁です。

 

 

C内閣支持率 続落37%(参院で民主過半数『反対』55%) 

(222日朝日新聞)

 朝日新聞が2021日に実施した世論調査(前回56日に実施)によると、

鳩山内閣の支持率   37%(前回41%、昨年1262%) 不支持率46(45)

政治資金問題(説明責任)   小沢幹事長 81%  鳩山首相 75

夏の参院選挙(民主党に)過半数を 占めない方が良い55%(無党派62%)

占めた方が良い31%               

政党支持率          民主党32%(34%) 自民党18(18)

   枝野行政刷新相の起用     評価する 53%  評価しない20

 政党支持率では、依然として民主党は自民党に優位を保っているが、内閣支持率では、昨年の1262%→37%と急落している。長崎県知事選挙は、今夏の参院選挙の前哨戦でしたが、自民、公明推薦の元副知事中村氏が与党3党推薦の元官僚橋本氏を約10万票の大差で破り勝利した。鳩山首相や小沢幹事長の政治資金問題が影響したと見られる。長崎は、昨年の衆院選4選挙区にて完勝し、過去2回の参院選ともに勝ち、是非勝って政権浮揚を図りたい鳩山政権にとっては大きな痛手であった。(内閣支持率続落と長崎県知事自公系・中村氏当選の合成記事)

(コメント)

 政治と金の問題は、鳩山首相の誠実な答弁で野党も攻めあぐねている。小沢幹事長は、国会への証人喚問は与党多数で守られており、『政治と金』の議論も衆院の予算通過までと思われる。国民世論にどう影響してくるのかいるのか予断を許さない。米軍基地問題をきちんと処理できれば、子供手当ての支給、高速道路の一部無料化と支持率回復に繋がる政策論議に移ることを期待している。

 

 

D21独法、国費で国債3,000億円(余剰資産・基金を運用)

(228日朝日新聞)

 独立行政法人が国の資金で購入した国債の保有額が21法人で計約3,000億円(昨年3月末現在)に上ることが朝日新聞の調べで分かった。購入原資は、国の出資金や交付金から事業費を除いた余剰資産など。国の税収不足を補うために発行額が増加し続けている国債を、独法が国費の余り分で買うという構図だ。独法の余剰資産を他に有効活用すべきだと判断し、今国会に独法に関する改正法案を提出しており法案が通れば返還が可能になる。4月に実施される見通しの事業仕分けでも、独法の国債保有問題が検討対象になる可能性がある。独法の財政問題に詳しい専門家によると『独法が国債を購入している現状を例えると、借金まみれの親(国)から子供(独法)が金をもらい、その一部を使わずに親に貸して、改めて金利までもらういびつな構図なっている。余剰資産の返還に積極的に応じ国の財政健全化に寄与すべきだ』と指摘している。

(コメント)

 予算が足りない。事業仕分けが進んで無駄使いの予算が相当発見されたと思われたのに最終的には、1兆円に満たなかった。自分達の親分の事務次官が局長、部長級と同等の扱いになろうが、官僚の面従腹背の典型例で埋蔵金も同じである。独立行政法人など国の予算の入る特殊法人は、隠れ蓑である。高速道路も、典型的な事例です。受皿会社に累積赤字をすべて乗せ、その傘下の高速道路会社各社は、天下りの受け皿として国会の追及を受けることもなく、高給の社長、役員を養っているという構図。高速道路料金だけでなく、売店などの別収入も入ってくる。高速道路の料金収入から諸経費を差し引いた金額より少ない金額を受け皿会社に上納すればよいので何時も黒字になる仕組み。特別会計については、事業仕分けをきちんと検討しOKが出ない限り予算を使わせないことが肝要である。

 

 

E箇所付け問題 首相が前原国交相の処分を検討

 (3月1日 産経新聞)

鳩山由紀夫首相は1日夜平成22年度公共事業の予算配分額(箇所付け)に関する国土交通相の資料が民主党経由で地方自治体に流出した問題について同日の衆院予算委で、『政府と政党の間だけの情報が流れたことは問題で、意思の疎通が充分でなかった。国交省に対し処分を行なってなければならない』と指摘した。

(コメント) 

由々しき問題です。特別会計の公共事業などで予算の取れた道路工事などを知らせることを「箇所付け」といい、選挙区の予算取りに貢献したとする行為です。小沢さんが地方の苦情を党側一本に窓口を絞り、陳情を受け、国交省が「箇所付け」したと党側に伝達したことになります。鳩山首相が直ちに処分したことは正解でした。

 

 

F公共事業20都道府県で増(国基金や交付金充当)

36日朝日新聞)

 都道府県の2010年度の当初予算案によると、朝日新聞の集計では、20都道府県が単独の公共事業費は前年度より増加した。景気低迷で、地方財政が厳しいなか、旧来型の公共事業に依存せざるを得ない現状がその背景にあった。景気対策で国が配分した基金や交付金を財源に充てていた。『コンクリートからひとへ』を掲げ、公共事業2割削減を打ち出した鳩山政権が皮肉にも、公共事業を下支えしている構図になっている。増加率が高いのは徳島(前年比86%増)、高知(53%増)、島根(50%増)、愛媛、岩手(いずれも32%増)の順で、四国、東北が目立っている。

 当初予算案の公共事業額を集計すると、国の補助事業は前年度比16%減の37千億円であるが、単独事業を上積みする原資には、麻生政権の景気対策、地方向け基金・交付金、鳩山政権の地方交付税、地方に配分された『雇用』、『環境』の基金などがある。10年度当初予算案と補正予算案の合計額を、前年の合計額と比べると単独事業は25都道府県で前年並みか増加となり、全国の総額では前年度を2%上回った。                                      

国の公共事業を減らしたことを強調する鳩山政権だが、地方には埋め合わせる財布をいくつも用意してあった。自治体は旧来型の公共事業依存に頼るしかなく国が用意していた財布から予算を積み増していた。

(一部合成・削除した)

「建設業、あごまで水」

 徳島県は、過去の公共工事の無理がたたり国の許可なしにこれ以上借金出来ない『記載許可団体』になっていた。知事は、『建設業界は今、顎の下まで水に浸かっている。公共事業を減らしたら、水は頭の上に行く』と大幅な積み増しを指示した。麻生内閣の景気対策費の基金を取り崩しや、鳩山内閣の臨時交付金を活用して結局、県負担は増やさずに単独事業は倍増になった。

 (一部削除した)

「自由きかぬ新交付金」

 公共事業予算を増やしただけではなく、内容も旧来型が多く、脱コンクリートを目指した予算編成には、ならなかった。国交相は10年度当初予算案で22千億円の『社会資本整備総合交付金』を新設した。鳩山政権の目玉政策である『一括交付金』を先取りした制度で、2割まではハード事業以外にも使え、補助金を束ね地方が自由に使える財源になると期待されていた。12分野の補助金を4つに分け纏められているが、新しい補助金も従来通りの積み上げ式になるとの説明を受けた。今までのひも付き補助金と変わらない。

(コメント)

 折角の『一括交付金』も取り扱う国の官僚や県職員の歪曲した解釈や地方自治体のアイディアが貧困であると、旧来型の建設業に仕事を与える箱物作りになってしまう。地方分権にも関わる大事な問題です。

 

 

G年金改革 参院選にらみ(新制度検討会 議論に着手)

(3月8日朝日新聞夕刊)

 鳩山内閣が8日、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた新たな年金制度の創設に向けた議論に着手した。この日の『新年金制度に関する検討会』(議長鳩山首相)の初会合で、鳩山首相は『新しい政権にとって最大課題のひとつだ』と強調し、5月をめどに基本的な考え方を纏める方針で一致した。夏の参院選前に方向性を示すことになった。

 

5月をめどに基本原則

 首相は検討会の席上、『現行制度に代えて、新しい年金制度を今こそ作り上げて行かなければならない』と息込みをみせた。昨年の参院選では、2012年度に制度設計し、13年度に関連法案の成立をめざすとしてきた。議論を前倒しにして参院選前に方向性を示すことになった。内閣支持率の低下傾向に歯止めがかからない中に年金制度改革に積極的な姿勢を示し世論の関心を引き付けるねらいがある。長妻昭厚生労働相は、『原則をきちっと議論して国民・野党と共有して行くことが必要不可欠である。』と強調した。

 

財源問題が課題

 民主党のマニフェストでは、新しい年金制度に3つの柱を掲げる。

1.国民年金、厚生年金など、すべての制度を一元化

2.支払った保険料に基づいて受給額が決まる『所得比例年金の創設』

3.消費税を財源とする『最低保障年金』の創設、所得比例年金を一定額以上受給できる人は

  最低保障年金が減額される。

長妻厚労相は、こうした3つの柱を踏まえ、無理なく払え、転職しても変わらず、最低限の需給を保障するとの3原則を提示した。最低保障年金の財源は消費税が想定されており、消費増税と密接に関ってくる。年金制度の最大の焦点になりそうだ。鳩山内閣は、6月に財政制度の見通しを示す『中期財政フレーム』を策定する方針。菅財務相、仙石国家戦略相は今月から議論をはじめ、新年金制度の前提になる税と社会保障の共通番号制度も菅財務相を会長に閣僚級による議論を開始した。

 226日の衆院予算委で公明党の坂口力氏は月額7万円の最低保障年金を全額税金で賄うとすると財源は13.5兆円になる。現行の基礎年金(月額66千円)の国庫負担額は約10兆円で更に数兆円規模が必要になる。鳩山政権は次の衆院選まで消費税を引き上げない方針だが、いつまでも避けては、通れない。増税への国民抵抗感は大きく、財源確保は大きなハードルだ。年金問題に詳しい駒村慶應義塾大学教授は『所得に把握がいい加減だと国民が納得しない。歳入庁共通番号制度の導入は不可欠である。その上で不正に対するペナルティなどの徴収強化が必要だ。』と指摘した。

                          39日朝日新聞記事を一部追加)

(コメント)

 参院選の争点も年金問題にますか?自民党も舛添さんに交代し、長妻vs.舛添の一騎打ちになって来るのか。それとも舛添、与謝野が谷垣さんと分裂含みか(文芸春秋4月号)面白い展開ですね。

 

 

H省庁くすぶる不満(問題50法人 国交省最多の20

310日毎日新聞)

9日、実名を公表された50法人は、過去の国会審議や会計監査院の指摘で問題視されたことのある『事業仕分けの有力候補』。他省庁との共管もあわせ、国交省が50法人の中、最多の20法人を占めた。

 もともと所管法人が約1100と突出して多いためだが、前原国交相は『仕分けには協力する』と大なたを振るう構え、公表された法人の中には、ダム工事の受注企業が出資する『ダム水源地環境整備センター』のように、前原国交相が『(常勤役員3人がいずれも国交省OBという)許してはいけない団体。基本的に要らないのではないか』と廃止方針を打ち出した団体もある。しかし国交省内では『廃止しても無駄削減につながらない』『公表された法人が突出して目立ってしまう。いかにも無駄使いしているイメージだ』(幹部)の不満もくすぶる。公益法人の廃止が、天下り先の消滅に直結するためだ。特に『苦しい立場に立たされているのは、名前の上がった団体に2,3年前に天下った50代後半のOB』(省庁人事担当)国家公務員法の改正(0812月施行)で、省庁による再就職の斡旋が禁止されたことから、天下り先が廃止されれば元職員は次の職場を自ら探さねばならなくなる。鳩山政権は、各省庁が直接関与しない有力OBによる非公式の再就職斡旋にもメスを入れる方針で、早期勧奨退職を前提にした各省庁の人事システムは、事実上崩壊することになる。

 別の経済官庁幹部は『政務3役にも、これからしっかり理解してもらう』と閣僚、副大臣、政務官を応援団にして乗り切る作戦を明らかにした。政務3約が行政刷新会議側につくのか、各省庁側につくのかも仕分けの成否のカギを握りそうだ。

(コメント)

 国家予算の投入される法人の洗い出し、そこに巣食う高給取りの官僚をあぶりだして頂きたい。

政務3役は、各省庁側について抵抗勢力にならないようにお願いしたい。