私版注目情報(5月)&コメント
東京都渋谷区 深津 輝雄
1.『官』側に宣戦布告(仕掛け第2弾ヒアリング)(毎日新聞3月10日)
政府は、9日、独立行政法人、公益法人を対象とする『事業仕分け第2弾』の省庁ヒヤリングを開始し対象法人の選定作業が本格化した。仕分けのターゲットとなるのは、収入の半分以上を公費が占めるなど各省庁と密接な関係にある天下り法人。枝野行政刷新担当相は、ヒヤリング開始前、民主党の蓮ほう議員ら『議員仕分け人』たちに来年の今頃はこのような法人をゼロにしたいと呼びかけ『官』側に宣戦布告をした。
天下り法人が国から受注してきた事業や補助金、基金の中に、官僚OBの人件費など『無駄使い』が多く含まれていると予測され、公費の支出を止めるのが仕分けの第2弾の狙いだ。公費依存度の高い法人は事業が『不要』と判断されただけで存続の危機に直面する。長妻昭厚労相も08年当時、国交省所管の『国土技術研究センター』は同省と随意契約の多い法人の一つとして問題視していた。
枝野氏は『独法、公益法人という仕組みにメスを入れる』と意気込み、年内をめどに制度そのものを改革を求める提言を年内にまとめる。
2.空港20法人 蓄財290億円(天下り738人受け入れ)(3月11日朝日新聞)
全国の空港で駐車場や保安業務などを担っている国交省航空局所管の27公益法人のうち国からの天下りを受け入れている団体が20法人あり、正味財産が約290億円(2008年度)と巨額に上ることが朝日新聞の調査で判明した。正味財産は資産から負債を引いた金額。民間企業では資本金、余剰金に当たる。空港は経営が赤字で多額の税金が投入されているにも関わらず、空港で独占的に業務をする『天下り法人』は財産を膨らませていたことになる。
公共政策の専門家は『情報公開が圧倒的に足りない』と批判する。最も財産の多かったのは、全国19の空港で駐車場経営を営む空港環境整備協会で171億円と突出している。高速道路のETCを管理する『道路システム高度化推進機構』の約70億円と比べても多い。整備協は天下りも多い。整備協は天下りも多い。常勤・非常勤を含め169人(役職員は307人)。
北沢栄氏(元大学教授)は『空港の駐車場経営は、国民の財産である国有地を使って独占的な収益を上げている。情報が公開されない裏側で過剰な額が人件費に消えているのではないか』と指摘する。
(コメント)
日本の空港が高い訳は、高額な天下りを空港利権で養っていたからだ。空港をめぐる非効率な運営実態が明らかになった。ターミナルビルを運営する会社なども8割は黒字だそうで国交省の天下り先になっていたのだ。
3.インフラ売込みに国ぐるみ(成長の柱に狙う)(3月18日朝日新聞)
鳩山政権が高速鉄道や原子力発電などの大型インフラの『輸出』を後押しする成長戦略を打ち出した。政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)もフル活用。国を挙げたセールスに乗り出す。民間受注で海外勢の先行を許した競争力低下への危機感への裏返しである。
@ 高速鉄道、ライバル多数(資金面の支援で対抗)
前原国交相は『日本のすばらしい新幹線技術をオールジャパンで世界に広め受注を目指すと17日、米国への『新幹線輸出』の意気込みを記者団に語り4月末に米国運輸省にトップセールスを計画する力の入れようだ。今回の政令改正の最大の狙いは米国オバマ政権が打ち出した13路線、総延長13,700キロの高速道路網構想だ。このうちカリフォルニァ州を縦断する路線の1期工事の事業規模は約4兆円。日本勢は住友商事、川崎重工業、三菱重工業などの企業連合でフランス、ドイツなどと競合になりそうだ。JR東海もフロリダ半島など7路線に新幹線とリニアを売り込む方針だ。JR東海の葛西会長は『インフラ展開には国の支援が大事だ』と強調する。大きな商談には、資金調達が課題になるので政令改正でJBICの融資を活用できれば有利な材料になる。
2014年のサッカー・ワールドカップをにらんで高速鉄道を計画するブラジル政府は、入札要件を提示する。日本勢の強敵になりそうなのが韓国と中国だ。ブラジル政府は線路建設費の一部を企業側に負担させる考えを示してきた。日本側はリスクが大き過ぎると見直しを求めたが、韓国、中国領国とも政府系金融機関が後ろ盾になっており、入札に応じられる態勢にある。出遅れた支援態勢作りを急ぐ背景には『日の丸インフラ』の輸出を成長戦略の目玉にしたい思惑がある。民間企業との距離を縮め『弱点』とされてきた経済政策にてこ入れする。デジタル家電などは新興国との価格競争では太刀打ちできない。そこで付加価値の高い『システム』全体を輸出しようと戦略だ。
A 原子力発電『日の丸』新会社検討(拡大市場へ官民一体)
高速鉄道と並び、受注を狙うのが原発の建設だ。鳩山首相は3日の参院予算委員会で、『日本の原子力産業はナンバーワン、原発新設は是非とも取らねばならないプロジェクトだ』と述べた。
早速、原発建設を予定しているベトナム首相に親書を送り日本の原発技術をトップセールスで、売り込んだベトナムには100万KW級の原子炉4基を建設する計画がある。既に2基については、ロシアが受注を確実にしており、残る2基の建設をめぐり日本やフランスなどが激しい受注競争を繰り広げている。
(コメント)
新幹線や原子力発電の技術を建設だけでなく、運転支援・メンテナンス管理も一体的なシステムとして官民一体になって売り込むことは大事なことです。民主党の経済の目玉政策として成果を挙げて頂きたい。
4.公務員人件費削減に壁(天下り規制50代大幅増、新卒減)(3月26日朝日新聞)
仙谷国家戦略担当相、原口総務相は公務員制度改革で苦慮している。マニフェストに掲げた『天下り斡旋禁止』を先行させた結果、50歳代の官僚数が大幅に増え、その分新卒の採用を減らす必要が生じたためだ。人件費総額の上昇も避けられず『公務員人件費の2割削減』という公約に黄色信号がともった。
官僚機構は、課長、部長、局長と昇格するほどポスト数が減る。出世コースから外れた官僚は関連団体や企業に慣行として『天下り』させる早期退職を勧奨してきた。勧奨退職者は、年間2500人いる。公務員定数を守ると09年度比で約44%少ない4千人にする必要がある。ベテランが残り新人が減れば人件費は900億円増える。仙谷氏、原口氏は、民間企業への出向の枠を拡大する姿勢を見せている。
(コメント)
民間企業も競争が激しく大量の官僚を吸収できるとは思えない。民主党も支持団体に官公庁の労働組合を抱えるが、年功序列の給与をドラステックに変更するよう厳しく対処してほしい。
5.フリー記者らも40人(首相『開かれた会見第一歩』) (3月27日朝日新聞)
鳩山首相の記者会見に、インターネット記者やフリーランス記者が質疑に加わった。会見を主催する内閣記者会(加盟104社)は、昨年9月の鳩山政権発足以降、雑誌や外国メディアの記者に出席を求めていたが、今回初めてフリー記者らに枠を広げ、質問も認めた。26日の会見には加盟社以外から40名が参加。首相官邸の記者会見場は用意された120席がほぼ埋まった。発言したのは14人のうち5名が加盟社以外の記者。ネットの記者の一人は平野官房長官の能力不足を指摘し、首相に『チェンジすることを視野に入れていないのか』と迫った。フリーの記者からは会見をオープン化を求める質問が相次いだ。首相は『記者会見もオープン化の第一歩として開かせていただいた。開かれた記者会見をより多く出来るよう記者クラブともしっかり協議しなければならない』と述べた。
(コメント)
民主党は情報公開することを目指しています。その趣旨に基づき、試みに記者会見をオープン化した。気配りをする鳩山首相は、開かれた記者会見をより多く出来るよう記者クラブともしっかり協議しなければならないと述べたが、これは明らかに“蛇足”。記者クラブこそ報道の“がん”だ。それと協議してどうなるの?記者会見をオープン化により記者クラブの反発は、強まり民主党叩きが常道になってきてしまった。順序とすれば、普天間基地移設問題が解決して記者会見のオープン化をすべきところ、支持率を上げたいがために焦って、オープン化を叫び、マスコミの総攻撃を喰らっているのです。
“平野官房長官の能力不足を指摘”は正にそのとおり。良く云って呉れました。
6.国道予算凍結4線のみ(要望を受け大半復活)(3月27,28日朝日新聞)
国土交通省は26日、2010年度予算の公共事業別に予算配分(箇所付け)を公表した。直轄の道路では、昨年秋の段階では約150路線を凍結候補としていたが、与党議員らの反対で実際の凍結は4路線にとどまった。前原国土交通相が30道府県に再検証を求めた補助ダム58箇所については、5ダムの継続を認めた。前原国交相は、昨年10月、新規着工の原則凍結を表明、3年以内に完成を見込めない道路150路線を凍結候補とし都道府県に通知をしたが、自治体の陳情を受けた民主党幹事長室が予算の復活を要望。要望を反映してほとんどの路線に少額ずつ配分した。補助ダム5箇所については、政権交代前に国が補助を決めていた点を配慮し要求通りの予算を付けた。残る53箇所については本体着工の予算は認めず、再建に必要な『最低限』に絞った。
国の直轄道路のうち、予算を止めたのは4路線、予算の付いた143路線のうち27路線は1.1〜8.56億円の予算が付いた。その9割以上が県連や自治体の陳情があった路線であった。逆に陳情のなかった路線の8割近くは6千万円以下の予算しか付かなかった。身内の民主党幹事長室に陳情の窓口を絞り、県連や自治体党から各省に予算を要望するルートを作ったことになる。前原国交相の『選択と集中』を実現するカギは費用対効果の評価基準にある。新しい基準について10年度予算編成には間に合わなかったが、透明性の高い新たな配分ルールを作れるか11年度予算が正念場となる。
(コメント)
民主党の幹事長室に陳情の窓口を絞り、県連や自治体党から各省に予算要望するルートを作るとは、いかにも小沢幹事長の考えそうなことです。予算削減の危機を抱いた自治体の危機をくみ取り、予算に反映させることで与党の力を見せつけるようにした。それにより選挙の票とあわよくば、
見返りも期待するという構図です。小沢さんの頭には、改革の理想とこの構図が何の矛盾もなく共存していることが問題なのです。
7.ハブ港湾へ 4港激戦(京浜、伊勢湾、阪神、北九州)(4月3日朝日新聞)
日本を代表するハブ(拠点)港湾として、国土交通省が重点投資をする港の選定が本格化している。
名乗りを上げたのは京浜、伊勢湾、阪神、北九州の4港、ハブ空港の枠は1又は2。6月の選定に向け激しい競争が予想される。絞り込み作業は2段階。2015年の貨物の取扱量の見込み、北米航路の毎日就航、水深18m級の岸壁整備計画、次に港湾ごとの具体的な戦略を評価する。港湾経営の民営化など利用料を下げる提案、地方港から貨物を運ぶ『内航海運』の具体的な誘致・活用策が評価のカギになる。費用対効果も厳しく問われる。選定されたハブ港湾には国が重点的に支援し規制緩和なども検討される。
いちからわかる Q 拠点絞るのはなぜ?
日本の輸出の約1割は、韓国で大型船に積み替えられ、世界各国に運ばれている。韓国のハブ港湾は日本より4割ほど安いとされている。アジア諸国の経済発展と反比例するように、日本の港は地盤沈下してきた。2008年の世界のコンテナー取扱量のトップ20に日本の港はなし。一方シンガポール、上海、香港、深せん、釜山の5港がトップ5を占めている。日本の港湾は、1週遅れどころか2週遅れ(前原国交相)
いちからわかる Q 重点投資どうなる?
一つは港の機能向上だ。世界の情勢では拡張されるパナマ運河を通過できる大型船が主流になる。
超大型船が横付けできる水深18m級の岸壁が主流。日本には対応できる港がない。国交省は『ハブ港湾に選ばれた港には公共事業費を集中投下し、水深18m級の岸壁を整備する方針だ。日本には、対応できる港がない。運営面の改善も急務だ。船会社や荷役会社ごとの『縦割り』がネック。日本に対応できる港がない。アジアの主要港には大規模な港湾荷役会社による一体化運営によるコスト削減と貨物を集めるセールスだ。民間の経営感覚を取り入れ衣替えできるかどうかも問われている。
いちからわかる Q どうして出遅れた?
日本の港湾は『横並びで整備されてきた。国内98空港を造った航空政策と同じだ。港湾整備も
地域振興が主目的で、『世界との競争』の観点が置き去りにされていた。各地に危機感は隠せない。
背後に自動車産業を抱える伊勢湾では、10年間で約50兆円の貿易黒字を稼ぎ出した輸出拠点の
優位性を訴える。大阪も橋元知事が港湾運営を効率化する方針を打ち出した。背後に首都圏を控える京浜、アジアへの近さが売りの北九州、いずれも引かない構えだ。前原国交相は反発を覚悟の上で『選択』に踏み切るか同化が注目される。
8.郵政見直し迷走の果て(4月4日 日本経済新聞)
郵政事業の見直しを巡る迷走劇は鳩山首相の指導力不足と閣内不一致という後味の悪さを残し、ひとまず収束した。郵貯肥大化がもたらす新たな金融の姿と市場への影響を検証したい。亀井郵政相、原口総務相が郵貯銀行への預け入れ限度額の引き上げなどの見直し案について仙谷国家戦略相から『閣内で検討すべきだ』、野田財務副大臣から『民業圧迫の可能性がある』、枝野行政刷新相から、『一般論として理解を得にくい』という異論が出されたが、首相が亀井案で立法化を決断した。
夏の参院選で郵政の30万票を取り込むことで逃げる票も出てくる。民主党は2005年の衆院選で、500万円への限度額引き下げを掲げて戦った経緯もある。集めた金を何に使うのかの疑念に対し『国債の引受機関にはならない』と鳩山首相は強調するが、郵貯シフトで地域金融の業績圧迫が懸念される。
郵政事業を巡る主な論点の比較
現在 亀井・原口案 05年衆院選の民主党の
マニフェスト
経営形態 持ち株会社の日本郵 親会社(持ち株会社+ 特に言及せず
政+郵政事業、郵便 郵便局+郵便事業) 公社体制を想定か
局、郵貯銀行,簡保 郵貯銀行,簡保生命
生命の5社体制 の3社体制
限度額 郵貯 1000万円 郵貯 2000万円 郵貯は2006年度中に
簡保 1300万円 簡保 2500万円 700万円に、その後
さらに500万円に
引き下げ
政府の 日本郵政は政府が 親会社への政府出資 記載なし
出資比率 全株保有,日本郵政 比率は3分の1超
は郵便事業会社、 郵貯銀行,簡保生命へ
郵便局の全株保有 の親会社出資比率は
郵貯銀行,簡保生命 3分の1超
は全株売却
(コメント)
郵政民営化は、米国の損害保険会社が日本の郵政マネーを狙って年次改革要望書で日本に実施を迫ってきたものでした。民主党は限度額を段階的に引き下げることマニフェストでも掲げてきた。これは公約違反であることは間違いない。せめて限度額を下げて民業圧迫にならぬよう方針を指示すべきであった。
9.沖縄密約開示を命令(肩代わり 存在認定…東京地裁)(4月10日毎日新聞)
沖縄返還(72年)を巡る日米間の密約文書を公開しなかったのは不当として、西山太吉・元毎日新聞記者や学者、作家などが国に不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁は、9日、密約の存在を認めた上で、文書の開示を命じる判決を言い渡した。杉原裁判長は、『漫然と文書は不存在という判断をし、国民の知る権利をないがしろにする国の対応は不誠実』として、原告側の請求を全面的に認めた。
裁判所が密約の存在を明確に認めたのは初めてで、国側は昨年3月の提訴を受け、密約の存在を否定したが、9月の政権交代後に認否を留保し文書は『探したが見つからなかった』と主張。判決は返還交渉を担当した吉野元外務省アメリカ局長の法廷証言や米国立公文書館で発見された資料の存在などを基に、外務、財務両省が文書を保有するようになったと認めた。さらに『密約文書は存在や内容を秘匿する必要があり、保管先と思われる部署への機械的・事務的調査では、見つからないと指摘。『廃棄するのは組織的意思決定の必要がある』としたうえで『歴代の事務次官や局長らの事情聴取をしなければ十分な調査をしたとは言えない』と国の対応を批判した。
また、文書の存在の立証責任は請求者にあるとしながらも『過去のある時点で文書があることを証明できた場合、行政機関が不存在を立証しない限り、文書は保有されている推認される』と指摘。『すでに廃棄されている疑念があるが、国がそれを証明できない以上、文書はないという主張は認められない』と国側の主張を退け不開示決定を違法と結論つけた。
@ 米国の軍用地回復費用 400万ドル
A 米国短波放送の国外移設費 1600万ドル
B 日本側による米国での無利子 32,000千万ドルを超える負担額
預金など沖縄返還協定の日本側負担
(32千万ドル)を超える負担額
71年の沖縄返還協定の交渉過程で、米軍用地の原状回復補償費などを日本側が肩代わりする密約の存在を示唆する記事を毎日新聞記者(当時)西山太吉氏が執筆したが、西山氏は外務省の女性事務官を通じて極秘電文を入手したとして、国家公務員法違反罪で起訴(有罪確定)日本政府は密約の存在を否定し続けたが、00年密約の存在を裏付ける米公文書が明らかになり、06年吉野元外務省アメリカ局長が密約の存在を証言。外務省有識者委員会も今年3月『広義の密約』の存在を認めた。
情報開示を巡る訴訟では、司法はこれまで『文書の存否の立証責任は請求者側が負う』と主張してきたが、東京地裁判決は、これを踏襲しながらも、文書が存在したことを証明した場合は、行政側が『廃棄・移管したことを立証しない限り文書は残っていると推認できるとした。
歴代の外務省、財務省責任者に逐一聴取すれば、仮にすでに廃棄されたとしてもその具体的な状況が明らかになるはずであると。 岡田外相は『徹底的の調査を行なったが判決には反映されていない。無いものを調査することは難しい』と述べた。
(コメント)
不都合な密約や公文書を勝手に廃棄するのは言語道断である。西山毎日新聞記者が蓮見外務省女性事務官と情を通じて不正に入手した極秘電文の部分のみ強調され、日本政府は国民に嘘を言い続けてきたことになる。不都合な公文書は廃棄処分ししかもお咎めもない。自民党は、歴代政府の追跡調査をすべきである。
10.天下り先と随意契約1600億円(2年間に仕分け候補27独法)(4月15日朝日新聞)
23日から始まる『事業仕分け』第2弾で仕分け候補となる54の独立行政法人(独法)の半数がOBの再就職先の公益法人(財団法人と社団法人)と随意契約を結んでいたことが分かった。随意契約の金額は2年間で約1600億円に及ぶ。天下りを受け入れている公益法人の随意契約の金額は、受け入れていない公益法人の約20倍となっており、独法が身内を優遇している構図が浮かび上がった。
独立行政法人と公益行政法人との関係
天下りの受け入れなし 受け入れあり(仕分け候補の独法)
独立行政法人27法人 独立行政法人27法人
↓ 随意契約額 約700億円 ↓ 随意契約額 約1600億円
1060の天下りなしの公益法人 101の天下りありの公益法人
11.事業仕分け対象47独立行政法人(4月21日毎日新聞)
政府の行政刷新会議(座長・鳩山首相)は20日、『事業仕分け第2弾』の前半で対象とする47独立行政法人の151事業を決定した。外務省所管で第1弾でも旅費の使い方などが問題となった国際協力機構(JICA)や枝野行政刷新相が民営化も可能とした文部科学省所管の大学入試センターなどを取上げる。民間人を交えて公開の場で議論し、官僚OBの天下りや無駄使いの削減を目指す。仕分け結果は6月にもまとめる独法の制度改革案に反映させる方針だ。
仕分けでは独法による事業の丸投げなど非効率につながる不適切な事業を精査し、廃止や縮減、 民間委託などの判定を行う。判定結果を踏まえ、独法について廃止・民営化・アウトソーシング・国の機関に戻す・新たな行政法人化の5つに整理するよう提言する方針だ。枝野行政刷新相は会議後の記者会見で『制度改革につなげていきたい』と語った。対象法人は文科省が最も多く『理化学研究所』の『先端融合研究の推進事業』など14法人53事業が選ばれた。研究開発を主要業務とする独法の重複を排し再編するのがねらい。次いで国土交通省の9法人、28事業、厚生労働省の7法人、19事業。民間有識者32人も決まった。仕分け作業は23,26~28の4日間。インターネット中継で行なわれる予定。
第2弾の焦点は、研究分野で重複する独法を再編する考えのようだ。昨秋に実施した事業仕分け第1弾の世論調査で7~8割の国民の支持を得たことで、内閣支持率の低下に歯止めをかけることと財源捻出をねらいたいが、政権浮揚への影響や財源の捻出も数百億円と限定的ではないか。首相も『行政のアカを洗い流す』程度の述べるにとどめた。
(コメント)
ボイラー協会は、2級ボイラー士資格取得の検定試験、試験問題、教科書販売などで収益をあげているが現場の人の話では、ビルなどに設置されている小型ボイラーは技術革新が進み、有資格者を必要としていない。求職者からなけなしの金を払わせて天下りが高給を取っているという仕組みなのだ。
12.後半国会足踏み(政権求心力低下で)(4月22日朝日新聞)
民主党小沢幹事長が今国会で成立に強くこだわる国会改革法案をはじめとして、政府・与党の重要法案が足踏みを続けている。政権の求心力が急速に低下し『5月政変』がささやかれるなか、10年度予算の前年度内成立など順調だった前半の国会から様相は一変。国会も波乱含みの展開になってきた。
国会法改正法案など国会改革関連法案は、副大臣・政務官増員と官僚の答弁禁止などを盛り込む 議員立法。国会の制度や運営に関わるため、慣例として横路衆院議長の諮問機関『議会制度協議会』による超党派による合意が必要になる。しかし野党側は鳩山首相、小沢幹事長の『政治とカネ』問題の解明が先として協議会開催にも応じず、提案もできない状況が続いている。道路財源 特別措置法改正案でも、小沢氏の意向で関係する新料金制度の見直しを余儀なくされた。政権内部の混乱が影響している。郵政改革法案も政府・与党の調整が難航しており国会提出が4月末以降にずれも見通しだ。国民新党は今国会での成立を最重要課題としており危機感を強めている。
(コメント)
内閣の支持率が急落し政権への求心力が低下すると法案の成立も難しくなってくる。
主な法案の処理状況
法 案 名 法案提出日 内 容 と 状 況
国家公務員法 2月19日 内閣人事局を新設し、幹部人事を
改正 一元化する。衆院内閣委で審議中
政治主導確立法 2月6日 国家戦略局や行政刷新会議の法的位置づ
けを明確にする。審議入りのめど立たず
国会法改正 未提出 副大臣、政務官を15人増員し、官僚の国
会答弁も禁止する。国会提出のめど立たず
道路財政特措法 3月12日 高速道路料金を値上げして道路建設に転用。
衆院国交委員長の反発で審議できず
郵政改革法案 未提出 親会社、貯金、保険の3社体制に再編し、親
会社に政府が1/3超出資。審議決定と国会提
出は4月末以降に遅れる