Yes,we「菅」

東京都渋谷区 岡部 俊雄

 

Yes,we「菅」という言葉は6月5日に開催された、あるシンポジウムで、環境問題に携わっている米国の女性が、シャレに使ったものである。

しかし私は、We=「菅」、というイメージで日本の政治文化の曙を感じるのである。

日本の総理大臣は、長らく世襲か元官僚が続いたが、この度総理大臣になった菅氏は、初めて普通の家庭で生まれ、育ち、市民運動に情熱を燃やした我々と同じ仲間である。

米国民が初めて「オバマ」という黒人大統領を選んだと同じように、我々は間接的ではあるが、初めて「菅」という普通の市民運動家を総理大臣に選んだのである。

「最近の若い者は」という苦言のような話をよく聞くが、私の印象では最近の若い者の政治に対する関心は、そんなに低いものではない。

確かに、社会環境の変化や、将来の不確実性から、現状維持を望む者も多くなって来ているようで、昔のように政治活動に体を張る者は少なくなっている。

しかし、今の若者は、昔とは形を変えて、政治問題を深く見つめ、考えようという姿勢をとっている。そういう意味でむしろ彼らを頼もしく感じるのである。

誰でも第二、第三の「菅」になれる時代が到来した。これは、先の政権交代に次ぐ、我が国の大きな政治的な革新、曙である。若者に大きな希望を持たせてくれる、先駆者たる「菅」の登場である。

若者よ、君達全員Yes,we=「菅」と思って、政治に情熱を持ち、国家、国民のために何をなすべきか、深く考え、実行に移してもらいたいと思っている。

 

*この文は201066日朝日新聞「声」の欄に投稿したものです。