行革実現のため最も大事な事が欠落

神奈川県相模原市 平岡 昭三

内閣関係閣僚 各位              

    H.22.12.1

総理大臣 管直人 様

総務大臣 片山義博 様

財務大臣 野田佳彦 様

厚生労働大臣 細川律夫 様

農林水産大臣 鹿野道彦 様

経済産業大臣 大畠章宏 様

国土交通大臣 馬渕澄夫 様

官房長官 仙石由人 様

国家戦略担当大臣 玄場光一郎 様

内閣府特命大臣 蓮舫 様

 

有力メディア担当責任者 各位

朝日、毎日、読売、産経、日本経済、各編集局長

NHK、日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ           

テレビ朝日、テレビ東京、各編成局長       

 生活者主権の会

道州制実現推進委員会

平岡 昭三

252-0112 相模原市緑区

若葉台5−3−17

 Tel/Fax: 042-782-0002

前略                  

 

(行革実現のため最も大事な事が欠落)

 

(一)民主党はマニフェストに、行革を大きく掲げて政権を獲得しました。

そしてこの一年、有力メディアはその実現につき重大関心をもって見続けて参りました。しかしながら貴党は、官僚等の頑強な抵抗に会い、四苦八苦しており、行革は殆ど緒に付いておりません。最早や貴党は脱官僚から変節したのではないかと言われております。

 

(二)どうしてこのように目論見が、狂ったのでありましょうか。私に言はせれば、その原因は明々白々であります。貴党のやり方は一番大事な事が、欠落しているからであります。それは官僚を含む30万人公務員全員の身の振り方が、全然考えられていないし、説明されていないからであります。行革が実現すれば、当然彼等の職場が激減する事は自明の理であります。彼等はいくら国家国民のために、専心して行革に尽力せよと云われても、その努力の結果自分の職を追われ、失業する可能性が大であろうと心配する立場であります。彼等とて生身の人間ですから、自らの明日の仕事、明日の生活がどうなるか、全く解らないのであれば、死に物狂いで行革に反対し、現状維持のため、必死に抵抗するのは当然であり、それは自明の理であります。その事に付いて、処遇案を全く示しえず、唯単に行革だ、仕分けだ、天下り禁止だ、と云っているだけでは、話になりません。

 貴党はどうしてそれに、気付かないのでありましょうか。まるで、裸の王様じゃありませんか。例えば、何%の人は中央政府に残すとか、何%の人は関係法人に行って貰うとか、給与はどの程度減少するとか、他の一部の人は道州や基礎自治体に行って貰うとか、残りの人は民間に行き易いように、特別の手段を講じるとか、30万人全体の処遇案を行革実行の前に、先ず示すべきだったのであります。そして彼等や連合・自治労の納得を得   てから、行革を開始すべきだったのであります。勿論彼等は、その処遇案に対し、全面的に賛成する事はないでしょう。しかしながら、同時にその処遇案を世に問うべきであります。その結果、輿論の過半数が同案を評価してくれれば、貴党はそれを断行すればよいのであります。そうすれば彼等も納得し、行革に協力するでありましょう。

 

(三)そもそも中央集権制を止めて、地域主権型分権国家を目指すというのであれば、先ず最初に新国家の形態を示さねば、国民も公務員も将来に対する展望を持つ事は困難であります。その点は今後逐次検討して行く、というのでは、本末転倒であります。そんな事だから、無用の混乱を招き、政府与党の信頼を失うのであります。貴党は自分で自分の首を絞めている状態であります。新しい国家は、道州制にするのか、又は基礎自治体を強化するだけで、中央集権制の廃止に持っていけるのか、それらによって、30万公務員の処遇も決まるのだ、という将来図を先ず先に、示さねば誰も納得致しません。それなしでは、行革の口火を切るべきでは無かったのであります。

 

(四)例えば、国の出先機関業務の、地方への移管についても然りであります。国の出先機関業務の受け皿に、県がなり得ない事は誰の目にも明らかであります。にも拘わらず、それを何の準備もなく、建前だけで強行しようとし、それが進まないと、中央官僚の権力を守るための抵抗が原因であるかの如く、弁解しています。国の出先機関の受け皿となるべき道州等、広域自治体の構築を、少なくとも並行して進めるべきなのに、その方向すら示しておりません。しかし今からでも遅くはありません。防衛や外交に付いても、この土台を先ず確立しなければ、何時までも迷走するばかりであります。今の国会の論戦など聞いていても、全く空疎に聞こえるばかりであります。

 

(五)以上の事に関しましては、我が国を代表する有力メディアにも責任があります。有力メディアも亦、行革に伴う公務員全体の処遇について、論評したり、提案する事が全くありません。30万公務員が新しい処遇案を納得しない限り、行革がうまく行く筈が有りません。有力メディアも亦、この大事な点を見落としている、と云わざるを得ません。行革も仕分けも旨く行っていないと、責め立てるばかりで、どうしてこの大事な点につき、問題提起をしないので有りましょうか。有力メディアも亦、行革を進めさせないで、中央集権制を残置しておきたいという本心から、本件についても、見て見ぬ振りをしているのでありましょうか。そして行革の進み具合の悪い事ばかりあげつらって、足を引っ張っていれば良いというように、考えているので有りましょうか。私には、有力メディアの本心が全く解りません。今こそ有力メディアに猛省を促し、その責任において、行革に伴う公務員処遇問題及び新国家の将来像について、責任ある提言を積極的に行うべきであると存じ上げます

以上率直に縷々ご提言申し上げましたが、どうか意のある処をお汲みとり頂き、乱文乱筆を深謝し、併せて各位のご健勝を祈念申し上げます。

早々