私版注目情報12月)&コメント

東京都渋谷区 深津 輝雄

 

@ 特別会計事業仕分け第3

@‐1.仕分け成果(総論)(1030日朝日新聞)

 特別会計に切り込んだ今回に事業仕分け第3弾は、民主党政権にとっては、これまで以上重大な意味を持つものだった。民主党は野党時代から総額約170兆円の特別会計天下りや無駄使いの温床と指摘してきた。民主党のマニフェストで特別会計207兆円を「全面組み換え」することで新たな財源16.8兆円を捻出して、子ども手当てなどの目玉政策を実現すると云ってきた。さらに・税金の無駄使い天下りの根絶独立行政法人の抜本的な見直し天下り団体の公益法人の原則廃止特別会計のゼロベースの見直しなどを明記していた。自民党政権下の「政官業の癒着」の打破だった。それを実現する仕掛けが事業仕分けだったはずだ。ところが昨年の「1」での削減は7千億円埋蔵金を合わせても財源捻出は1.7兆円にとどまった。今春の「2」は1兆円の国庫返納を求めたものの、各省庁の抵抗で実現できるか不透明だ。そして「3」一般会計の2倍近い規模を持つ特別会計への切り込みをあわせても、当初の新たな財源の目標約16兆円には遠く及ばない。政官業の癒着の打破という当初の目的も変節してきた。

                                  (記事は一部抜粋)

(コメント)

 16兆円の財源捻出には程遠いが、これをもって朝日の記事のように幻想だった民主政権公約と断じるのは早計である。現時点では、官僚が無駄の大半を隠しているが、過去何年もかけて複雑な仕組みを作ってきたのに、3回の事業仕分けですべてオープンにすることに無理がある。法改正が必要なものも多くあり、今後とも、しつこく波状的、網羅的に追求すべきである。少なくとも事業仕分けで「廃止」と判断されたものは、首相指示担当省庁に廃止させるべきです。残念なのは、菅内閣が官僚との協調を打ち出したことで副大臣・政務官には、官僚の側に立ち、擁護するものまで現われたことである。長妻氏の年金特会も予算を2割圧縮されたが、官僚のコスト意識の低さに起因するものであった。

 

@‐2.仕分け第3(各論)(102830 1117日朝日新聞)

ジョブカード制度普及促進事業」「キャリア形成促進助成金」は、政府肝いりの新成長戦略の一環だが、普及が遅れ、就職に役立つツールになっていないと判定された。「職業情報総合データベースの運営等」は、厚労省所管で独立法人が行っていたもの、今年4月の事業仕分けで「廃止」と判定されたが「ゾンビのように生き返ってきた」と仕分け人があきれ、内容も画一的で結論は、廃止。「貿易再保険特別会計」は戦争やテロなど予期せぬ事態の損害に対する保険で、「日本貿易保険」がさらに政府に保険をかける二重構造が問われ、独法と一体化を求められた。経産省の天下りポストで特会には余剰金7千億円が積みあがっている。食料危機に備える「食料安定供給特会」は政府米の備蓄現在100万トン年間100億円の保管料がかり、判定は「見直し」になった。

 国交省の「社会資本整備事業特会」空港整備の甘い需要予測に批判が相次ぎ、国交省は、財団法人「運輸政策研究機構」へ、このよう予測委託を行わない旨を明言した。厚労省の「年金特会」では、年金記録問題の紙台帳とコンピューター記録の照合作業について予算の2割が削減された。火災や台風のなどによる森林被害を補償する「森林保険特会」などを「廃止」と判定した。抜本的見直しを求められた「地方交付税及び贈与税配布金特会」は財政再建のため地方交付税を減らしたい財務省と自治体を守りたい総務省の「因縁論争」を繰り返した。同特会が抱える借金の残高は33.6兆円に膨らんでいる。国から自治体への税財源の委譲と云う論点に行き着かなかった。エネルギー対策特会の仕分けでは、家庭用太陽光発電設備の補助金は経産省太陽熱で水を温める設備の補助金は環境省。仕分け人からは、「何故、熱と光で違うのか」の質問に明確な回答が出なかった。重複する事業の見直しを求められた。原発の立地推進事業についても中身は学校向け副読本などで,首を傾げざるを得ないものもあり予算は圧縮された。

大型公共事業にも事業仕分けのメスが入った。毎年3兆円以上の予算を使って道路やダムを建設している「社会資本整備事業特会」の廃止1兆円の借金を抱えた「空港整備勘定」の分離・将来の廃止や12兆円で400年かけないと完成しないスーパー堤防を止めることとした。スーパー堤防は、「スーパー無駄使い」ということで廃止が決定された。「社会資本整備事業特会」は、治水勘定(ダム・堤防の建設)、道路整備勘定港湾勘定空港整備勘定業務勘定(道路整備など事業の事務費、人件費)がある。空港整備勘定には、空港使用料も投入されている。一般会計化した方が国会などのチェック機能が働く。特会自体を「廃止」を結論付けた。空港整備勘定は航空会社が支払う空港使用料や航空燃料税など独自財源で甘い需要予測に基づき不採算な地方空港を建設。地方路線に空港使用料では賄えない赤字空港が乱立した。地方自治体が造る空港ビルの会社や空港の駐車場を運営する公益法人がテナント料や駐車場代による利益をため込み同勘定には、納めていない。仕分けでは、空港を経営する法人とビルや駐車場を運営する法人を一体化・民営化し、空港整備勘定が抱える借金返済に充てるよう求めた。

 年金特会紙台帳とコンピューター記録の全件照合については、コスト意識が低すぎると指摘。結論は事業費の2割程度圧縮になった。「子育て支援サービス事業」は、デパートの授乳室の設置を補助するために年6500万円支出、子育て体験のエッセー募集に2千万円など両立支援には程遠い実態が浮き彫りになった。

 環境省の「省内事業仕分け」で「抜本的改善が必要」と指摘されたエコ事業に「廃止」の判定が続出した。同省は、改善の結果、「みんなのエコクラブに衣替え」下の事業に1700万円増加して15千万円を要求した。定型的な「焼け太り事業」に批判が集中。『廃止』と判断された。医師や弁護士などの自営業者で作る国保組合の補助金について所得水準の高いところには、補助をゼロにすべきと判断された。財務省は、塩備蓄に関して、塩備蓄を10万トン→2万トン、資産500億円→400億円をめどに返納することで調整することになった。 (特別会計の事業仕分けの結果(別紙)を参照のこと

 

 

A TPPの課題と対応

A‐1 TPP議論迷走(閣僚進まぬ意思統一)(1027日朝日新聞)

 域内での関税撤廃などを進める「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)への日本の参加をめぐり、閣僚の足並みが乱れている。積極推進派だった大畠経産相がここにきてトーンダウンした。背景には国内の農業問題以外に、米国が求める新たな難題が浮上してきた。前原外相は、[TPPの扉は閉まりかけている。後で参加したいと言っても協議に入れて貰えない状況が早晩に出てくるだろう」26日の閣議で主張し一刻も早くTPPの協議に参加すべきだと訴えた。党内にも農家への打撃を懸念する声は強いが、「日本の農政は完全に行き詰まっている。これまで農業土木にお金を使ってきたが競争力にはつながっていない。農政の抜本転換を図らねばならない」と指摘した。TPP交渉をしている米国や豪州、シンガポールなど9カ国は、来月11日、APEC首脳会議を前に参加を表明していないカナダ、中国などの担当者から各国の方針を聞いた。前原氏も事務レベル会合に日本も参加を表明した。TPPは多国間の枠組みだが、大畠氏は「対象となる二国間でまず合意し、合意した場合にTPPに入れるという大変な作業だ。国内の農業だけでなく、非関税障壁をどうするのかという備えも必要だ」と実務上の厳しさを指摘した。閣僚の意思統一が進まない理由について菅首相は記者団に「日本の農業を活性化し再生化させることと、貿易の自由化という方向との両立を図らなければならない。これが一致した考えだ」と語った。

 日本がTPPに参加する上で、自由化にさらされる国内の農業問題が大きな障害に挙げられてきた。大畠氏発言の後退の背景には、米国からの「注文」があった。26日開かれた民主党農林水産部門の貿易自由化に関する会合。TPP参加の課題について内閣官房幹部は「米国産牛肉非関税障壁(郵政民営化の見直し)など対応を迫られる可能性が大きい」と説明した。この2つのテーマは関税以外の「日本市場の閉鎖性の象徴」と映る。米国産牛肉については、危険部位を除去し、安全性の高い「生後20ヶ月以下」の牛に限って輸入している。輸出倍増を狙う米国は制限撤廃を求めている。郵政問題は、郵政見直し法案は、政府が日本郵政グループの経営に関与し続け、ゆうちょ銀行簡保生命の業務拡大を目指している。これら金融2社が中心に住宅ローンやがん保険に新規参入すれば、外資系銀行や保険会社のビジネスチャンスを奪いかねない。

 

A‐2 TPP参加 打ち出さず(協議は開始…政府方針)(117日朝日新聞)

 菅内閣は、6日、包括的経済連携に関する閣僚委員会を開き環太平洋パートナーシップ協定TPP)について「情報を収集しながら、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」という基本方針を決めた。参加に前向きな姿勢を示したが、参加表明までは打ち出さない内容だ。原則として10年以内に輸入品に対する関税をゼロにするTPPに参加すれば、安い農作物が大量に輸入されて国内産業に打撃となることが予想される。基本方針では、「競争力向上や海外での需要拡大など農業の潜在力を引き出す大胆な政策対応が不可欠」と指摘し来年6月をめどに農業対策の基本方針を決定する。TPPは金融など「非関税障壁」の撤廃も求められるため、規制制度改革も来年春までに決めることも基本方針に織り込んだ。また2国間で貿易やサービスの自由化を進める経済連携協定(EPA)も積極的に推進すると表明。

(コメント)

 TPPの問題は、日本にとって避けて通れぬ問題である。前原外相の発言「TPPの扉は閉まりかけている。後になって参加したいと言っても協議に入れて貰えない状況が出てくる」は重く受け止めるべきだ。自由貿易と農業の自立を両立させること、民主党マニフェストを色褪せたものにしてしまった責任をTPPで挽回して頂きたい。

 

 

B 政策決定の後退

B‐1.定数削減しぼむ菅流(「年内に党方針」絶望的に)(114日朝日新聞)

 首相の101日の衆院本会議で所信表明演説の中で打ち上げた定数削減は、実は3度目の約束だった。最初は、7月の参院選の公約だった。首相が唐突に打ち出した「消費増税」に対する有権者の反発を和らげるため、国会議員自らが身を削る「定数是正」を提起した。「衆院80、参院40」と明記した。参院選で惨敗すると9月の代表選で小沢元代表に対抗する目玉政策として「定数削減」を持ち出した。そして3度目となる今回。ねじれ国会を乗り切るため、比例区削減を嫌う公明党を牽制する狙いもあった。ねじれ国会で「定数削減」を実現するには、野党の協力が不可欠だ。民主党単独では必要な法改正が出来ないからだ。

 

B‐2.歳費1割削減案 決定先送り(民主 わが身は切れず)(1113日朝日新聞)

 国家公務員の総人件費2割減を掲げながら、国会議員歳費の1割削減案が民主党内身内議員の猛反対で宙に浮いた。民主党政治改革推進本部の総会、国会議員の歳費の1割削減を求めた岡田幹事長の訴えは、その直後の議員達の猛反対で瞬く間に色あせた。奇しくもこの日、みんなの党は、歳費3割削減を盛り込んだ議員立法を参院に提出。渡辺代表は、記者会見で「そんな覚悟のないことでは、改革は先には進まない」と民主党を酷評した。

(コメント)

 国会議員歳費の1割削減実現には、民主党は他党の模範になって頂きたい。わが身を削らずにどうして消費税増税や公務員の費用2割削減などが痛みを伴う改革を実現することが出来るのだろうか。

 

 

C 脱官僚 民主の変節(政権交代の末 原動力を見切る)(119日朝日新聞)

 厚生労働相を更迭されたミスター年金の長妻昭氏の名前を聞く機会がめっきり減った。官僚機構が長年放置してきた年金記録問題を暴いて「脱官僚」を訴えた長妻氏への期待が、民主党を政権の座に押し上げる原動力だった。民主党は長妻厚労相とともに「脱官僚」も捨ててしまったのだろうか。

 野党時代、長妻氏は独自調査で約5千万件の「宙に浮いた年金記録」問題を発掘し、鋭く官僚を追及、2007年の参院選でも、年金問題を争点に押し上げた功労者だった。菅首相は、「官僚とぶつかるのは良いが、うまく使ってほしい」と注文。仙谷官房長官は厚労省幹部から直訴され、917日の菅改造内閣では更迭されてしまった。

 選挙で国民の信を受けたマニフェストを前面に掲げ官僚の抵抗を退け、政治主導で政策を決めていく。従わない官僚は更迭する。長妻氏が最もこだわったのは天下り規制だ。厚労省所管の304公益法人について天下りの実態調査を指示。1千万円超の年収を得る事務局職員が1000人以上いたという調査結果も公表した。菅首相は、9月の改造人事で長妻氏の代わりの目玉として高速道路問題を国会で追及してきた馬淵氏を国土交通相に起用したが、マニフェストの目玉だった群馬県の八ッ場ダムの建設中止を撤回し、民主党が、官僚主導に対抗する切り札として掲げた「マニフェスト政治」は大きく後退せざるを得なかった。

                                       (記事は一部抜粋)

(コメント)

 国民との約束の民主党マニフェストを胸に官僚の抵抗を退け、政治主導で政策を決めていく長妻昭氏が、9月の菅改造内閣の閣僚から外された。仙谷官房長官は厚労省幹部から直訴され、菅首相もこれを認めた。

 民主党のマニフェストの約束の実現よりも、景気対策を優先させる菅内閣には、官僚と対峙する長妻氏が疎まれたものと思われる。「長妻氏を閣外に出す以上、馬淵氏入閣させないと目玉がなくなる」と馬淵氏の国交相の就任が決まった。馬淵国交相は、八ッ場ダムの建設中止を撤回した。民主党の掲げた官僚政治に対抗する「マニフェスト政治」は大幅に後退してしまった。前原前国交大臣が「中止を前提に話し合う」言葉の、馬渕大臣の真意は、「中止を前提に」という言葉を外すの意味だったが、推進派は喜んでしまったのだ。

 

 

D 尖閣諸島沖 漁船衝突事故関連

D‐1.半日デモ 止まぬ予告(当局、抑止に懸命)(1117日朝日新聞)

 四川省成都市など3都市で反日デモ発生から16日で1ヶ月となったが、今も中国各地でデモの呼びかけが止まらない。日中首脳会談の翌日の14日は湖南省長沙市で、16日は、せっ江省杭州市で予告があったが警察当局があの手この手で押さえ込んだ。日中関係をこれ以上の悪化を防ぎたい中国政府にとってもぐら叩きの様な状態が続いた。

 長沙市のデモは、ネット上で予告され「日本で大規模な反中活動が起きている。団結して民族の志を遂げよう!」と呼びかけられていた。デモの集合場所とされたのは、日系のスーパー平和堂店前に午後3時に集合と呼びかけられていた。当日は、午前中から警察の車両や消防車が店の前に止まり、制服や私服の警官があちこちに立っていた。予告時間になってもデモ隊は現われず、2時間後、デモ警戒体制は解除された。

長沙市の警官は、「中国政府は社会を乱したくないのだ。日本と中国の経済関係は密接で、争っても良いことはない。だから我々もデモを厳しく取り締まるよう命令されている」と話していた。

 

D‐2.双日 豪州からレアアースの確保(年間需要の3割)(1124日朝日新聞夕刊)

 大手商社の双日が、ハイテク製品などの部品に必要なレアアース(希土類)について、豪州の鉱山会社と提携関係を結ぶことに合意した。双日は鉱山開発やレアアースの安定供給で協力するなど、日本の年間需要量の3に相当する8500トンを確保できるといい、レアアースの脱中国を進める政府も支援する方針だ。

 豪州鉱山会社ライナスが、豪州西部で開発中の鉱山で、ハイブリッド車などモーターに使う磁石に必要なネオジム液晶テレビのガラスの研磨剤などに使うセリウムなどを20011年後半から生産する。同鉱山は、最大で年22千トンを生産する能力があるといい、このうち8500トンを日本向けに確保する。双日が権益を取得するには、200300億円の資金が必要とされ、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による出資や融資を組み合わせて、権益取得の資金の5割超を支援する方向だ。

(コメント)

 尖閣諸島沖の漁船衝突事故にあと、前原外相は、事故前後のビデオ映像で確認したのであろうかはっきりと相手側が故意にぶつけてきたと言い切った。中国船船長の逮捕についても、「日本の国内法に則り粛々と行う」と述べた。中国国内のデモは、各地で発生した。はじめは、「反日」の不満のガス抜きであったが、その内に、不満は国内に向うと中国政府は、デモをすぐに取り締まった。中国船船長も釈放された。これも国内では、色々論議を呼んだが、そのビデオも漏洩し衝突の状況も公知の事実になってしまった。中国国民も自分たちが加害者と自覚したと思う。それよりもレアアースの輸出制限は、経済に即影響を持ってくる。大事な資源を一国に依存することが如何に危険であることを思い知らされた。豪州やモンゴルからも入手するなどこれを機会に多角的な原料確保を図ることにした。

 

 

E 公益/独立行政法人の不適切な行為

E‐1.30法人無報酬役員に謝金(年200万〜1200万円超)(1116日朝日新聞)

 国が所管する公益法人のうち30法人が、本来無報酬のはずの非常勤役員に、謝礼などの名目で年間200万円以上を支払っていたことが内閣府の調査でわかった。支払いを受けた33人の内21人が国家公務員出身者。天下り役員への「隠れ報酬」の一端が明らかになった。蓮ほう行政刷新相は16日、この調査結果を公表し、法人を所管する各府省に対し「国家公務員出身者への報酬を意図的に隠していたとの国民の不信感を招く」として、厳格な見直しを要請する。朝日新聞は7月に、経産省所管の財団法人「石油開発情報センター」が旧通産省OBの非常勤会長に年約1300万円の「謝金」を支払っていたことを報道。蓮ほう氏は、同じような例が無いか内閣府に調査を指示していた。調査対象は、各府省所管の公益法人にうち、@国家公務員出身者が常勤役職員になっている。A国か独立行政法人から2008年度に計1千万円以上の支出をうけている。B行政から何らかの権限付与がある。…の3点に該当する約3千法人。「謝金」を受け取っていた国家公務員OBはいずれも事務次官や長官、局長など重要なポストを経て、各法人に天下っているのが特徴。

 多くの公益法人は、定款などで、出勤日数の少ない非常勤役員を無報酬としており、「謝金」として内部処理することで、天下り官僚の報酬を隠す意図があったのではないかと見られている。

 

E‐2.独法元職員を逮捕(資源調査便宜)(1117日朝日新聞)

 日本周辺海域で資源調査をしている国の探査船「資源」の調査員の派遣契約をめぐる汚職事件で、警視庁は、16日、経産省所管の独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)の元職員を収賄の疑いで、人材派遣会社社長を贈賄の疑いで逮捕した。「資源」は尖閣諸島のガス田開発問題などを契機に導入された。同船の事業は、資源エネルギー庁が同機構に委託、機構は運行・管理を民間2社によるJVに再委託。派遣業務の有利な取り計らいに対する見返りに16にわたり約3000万円が渡されていた。同機構は旧石油公団などの統合で04年に発足。元職員も石油公団の出身。現金の受け皿として、ペーパー会社を作り、取り引きを装い、その銀行口座に振り込ませていた。 

(コメント)

 はじめの事例は、公益法人が非常勤役員に隠れ報酬を支払っていた件、次は、再々委託の独立行政法人と派遣会社との間の贈収賄。いずれも国民の金が浪費されている事例。

 

 

F 一票の格差放置は「違憲」(東京高裁)(1118日朝日新聞)

 最大で5倍の「一票の格差」が生じた今年7月の参院選(選挙区)は憲法が定める平等原則に違反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた2件の訴訟の判決が、17日の午前と午後に東京高裁で相次いで言い渡された。参院選について、高裁レベルでの違憲の判断は、1,992年選挙に対する大阪高裁の判決以来、17年ぶり。格差是正を放置してきた参院の姿勢を厳しく非難した。一方別の弁護士グループが起こした訴訟では、同日午前、東京高裁の別の担当部が「合憲」と判断して、意見が分かれた。参院が2013年の参院選の見直しについても「心もとなく実効性があるとは云えない」とした。

 因みに参院選(選挙区)「一票の格差」 最大 神奈川 1255千票 格差 5.0

                    最小 鳥取   242千票

(コメント)

 参院選(選挙区)「一票の格差」5になった件、同じ日の高裁判決で、合憲違憲に分かれたが一般の人は、これをどう考えれば良いのだろうか?

 

 

G 宣言1年、止まらぬデフレ(百貨店もユニクロ化)(1120日朝日新聞)

 モノやサービスの価格が下がり続けるデフレーション(デフレ)が止まらない。菅首相が経済財政相時に「デフレ宣言」してから20日で丁度1年。政府・日銀は、大規模な財政出動金融緩和で国内の需要を増やそうと躍起だが、企業の生き残りをかけた「安売り競争」は激しくなるばかりだ。

 少しでも安いものを求める消費者の声を受けて小売業界の価格競争が各地で激しくなっている。デフレを加速させる要因には、性能が上がっているのに、値段が下がっている家電の存在は大きい。人気の薄型テレビは、毎年2割のペース価格が下がっている。外食業界、居酒屋業界なども安値競争企業の業績を圧迫賃金は増えず、消費を冷え込ませる悪循環につながっている。非正規社員低賃金が安い商品を求める傾向にあり、デフレを加速させることにつながっている。08年秋のリーマン・ショックで個人消費が急速に落ち込み、093月から再びマイナスに転じ、今年919ヶ月連続で前年を下回り、これに歴史的な円高が追い討ちをかける19日の予算委員会で菅首相は、「企業や個人がお金を持っていても、使わないことが今のデフレだ。政府が介護・医療・保育にお金を使って雇用を増やせば、消費も上向いてデフレ脱却につながる」と持論を述べた。10月下旬に閣議決定した5兆円規模の「円高・デフレのための緊急総合経済対策」で約50万人の雇用創出を見込んでいる。日本銀行も10月に追加の金融緩和に踏み切り、政府と連携してデフレ脱却に取り組む姿勢を明確にした。政府や日銀の政策がデフレに効くかどうかが試される展開だ。

 経済協力開発機構(OECD)は18日、「少なくとも、12年までは消費者物価はマイナスが続く」との予測を発表した。

 

 

 

 

資料

 

特別会計の事業仕分けの結果

 

 制度判定(廃止・統合)

 

  貿易再保険特会   (経済産業省)     → 独立法人に統合

  社会資本整備事業特会(国土交通省)     → 一般会計化

国有林野事業特会  (農林水産省)     → 一般会計化し、負債は区分管理

森林保険特会    (農林水産省)     → 国以外の主体へ移管

漁業再保険・漁業共済保険特会(〃)     → 以下の3特会を一つに統一

農業共済再保険特会 (  〃  )     →   〃

食料安定供給特会  (  〃  )     →   〃

 

 制度判定(見直し)

  エネルギー対策特会(経産・環境・文化省)  → 予算の縦割り構造の見直し

  交付税及び贈与税配付金特会(総務省・警察庁)→ 勘定を一部廃止し、一般会計化  

  地震再保険特会   (財務省)       → 将来的に廃止を検討

 

 制度判定(見直しを検討)

  労働保険特会/年金特会 (厚生労働省)   → 見直しを検討

特許特会        (経済産業省)   →   〃

自動車安全特会     (国土交通省)   →   〃

国債整理基金特会    (財務省)     →   〃

外国為替資金特会    ( 〃 )     →   〃

財政投融資特会     ( 〃 )     →   〃

 

 事業判定(廃止)

  職業情報総合データベースの運営(厚生労働省)→  廃止(2900万円)

  ジョブカード制度の普及促進  (  〃  )→  廃止(23億円) 

キャリア形成促進センター   (  〃  )→  廃止(53億円)

産業雇用安定センター     (  〃  )→  廃止(23億円)

介護労働安定センター     (  〃  )→  廃止(20億円)

スーパー堤防         (国土交通省)→  廃止(109億円)

特許電子図書館        (経済産業省)→  廃止(31億円)

知的財産教育セミナー開催   (文部科学省)→  廃止(1億円)

 

 予算削減(50%)

温泉エネルギー活用活性化/廃棄物エネルギーの導入・低炭素化促進

 

 予算削減(2030%)

  社会保険事業の記録の突合せ/同保険のコールセンター運営/ねんきんネット/

  ねんきん定期便/子育て支援サービス/児童館巡回支援活動…

 

 予算削減(1020%)

  農業経営基盤強化/食糧管理/治水/河川・砂防の管理/水資源開発事業交付金/

  道路整備/直轄国道の管理/港湾整備/住宅用太陽光発電導入支援補助金/電源立地

  対策/電源利用対策/自動車登録検査システムの維持管理