私版注目情報(1月)&コメント

東京都渋谷区 深津 輝雄

 

@ やりたい放題の「官の巻き返し」を憂う(フォーサイト 2010.12.13

 ……古賀茂明氏の 見捨てられた長妻大臣の感想……(抜粋)

 

 長妻さんは、政治主導で勇躍、厚労省に乗り込んで本気で官僚と対峙した。長妻さんはマニフェストに掲げたことを忠実に実行した。役所の人事にも手を入れ、「天下りはまかりならん」と宣言し、独立行政法人の役員を公募した。官僚が応募してくると「これは天下りだ。だめだ。」と一蹴した。大臣が仕事の目標を示し、それが実行できたか否かで、信賞必罰を行なおうとした。これは内閣全体の方針として行われるべきでした。結果的に官僚のサボタージュに遭い孤立しました。総理も官房長官も一切助け船を出さず、最後は事実上の更迭の憂き目に遭いました。官邸が長妻大臣を支え、内閣に対しても「長妻を見習え」と指示していれば、様相は大分違ったと思われる。

(コメント)

 菅、仙谷の老獪さにしてやられたが、長妻支持者として長妻さんの行動に対し賛辞を送りたい。充電期間を経て再度、飛躍して頂きたいものです。当初のマニフェストについて他の各大臣どの位真面目に対応してきたのか、疑問に思える。馬淵さんは長妻さんの代わりの目玉大臣で入閣したが、改革のシンボルである八ッ場ダムの中止の件で早くもみそをつけた。地方交付税では、景気対策の観点から道路の公共工事もOKを出した。

 

 

A マーキュリー72年の歴史に幕(しぼむ米国の中流層)(1216日朝日新聞)

 

 マーキュリーは米国フォード社が1938年から製造してきた中級車高級車のリンカーンと大衆車フォードの中間に位置づけられ、この3車種が経営を支えてきた。そのうちマーキュリーだけが製造中止になるのはなぜか。マーキュリーは年内に製造中止になり72年の歴史の幕を閉じる。映画「理由なき反抗」では、主役のジェームズ・ディーンが颯爽と乗りこなし人気を集めた。ここ30年の低落傾向は、米国中流層がしぼむ過程とぴたりと重なる。

 ニューヨーク近郊で、フォード車販売店の経営者は、「僕らの世代は、運転免許を取って、最初に買うのがマーキュリーのような中級車だったが、最近の若い連中は、1台目からドイツのBMWやトヨタの高級車レクサスを買いたがる」と嘆いた。マーキュリーを世に出したのは、自動車王ヘンリー・フォードの一人息子エドセル・フォード30年代に開発。太平洋戦争中は中断したが、戦後は順調に伸びピークは78年で58万台も売れた。80年以降は日本車の直撃を浴びて萎んでいった。

マーキュリー一筋の家庭で育った雑誌編集者は「マーキュリーがふるわなくなった最大の理由は米国の貧富の差が拡大し過ぎて中流層がしぼんだことだ」と指摘する。

(コメント)

 日本でも分厚い中流層が存在していた時は、国力(購買力)もあり、景気も比較的安定していた。ところが、小泉政権頃(それ以前から)になると、日本政府は、アメリカ政府から「年次改革要望書」を毎年突きつけられ、解いてはならない規制を次々に緩和し気が付いてみたら中流階級がしぼんでしまっていた。 米国でも、市場原理主義の影響もあるのか、リーマン・ショックで中流階級が没落してしまった。

 

 

B      政務三役会議に次官も(脱官僚を修正…官房長官)(1228日朝日新聞)

 

 仙谷官房長官は28日午前、首相官邸で開かれた各府省事務次官に対する年末訓示で、大臣、副大臣、政務官による政務三役会議に「次官や官房長が可能な限り陪席するようお願いしたい」と年明けにも実施するよう要請した。政務三役会議は民主党政権が政治主導の象徴と位置づけたもので、官僚トップの事務次官の出席容認は「脱官僚」路線を大きく軌道修正することになる。民主党政権は、事務次官会議を廃止して政務三役会議で意思決定や各省間の調整している。このような仕組みの導入には、省庁の縦割りの弊害を廃し「省益」にとらわれずに速やかに政策判断を進める狙いがあった。主要課題から官僚を排除したため各府省が抱える情報を政務三役と官僚が共有できず、省庁間の調整が円滑に進んでいなかった。中国漁船衝突事件などの対応でも、官僚との一体化を進めながら危機管理を強化する狙いがあるようだ。

(コメント)

 民主党政権が政務三役会議を政治主導の象徴と位置づけ事務次官会議を廃止したのに、必要な情報があがって来ないからと、再び事務次官の出席を求めるのは、体制作りに失敗を自ら認めるようなもので、民主党を支持してきた者には、にわかに認めたくないことである。民主党は官僚に敗北をしたのかといわざるを得ない。

 

 

C 中国レアアース輸出枠近く公表(来年分も減少の見通し)(1219日朝日新聞)

 

 中国政府が近く、2011年度レアアースの輸出数量枠を発表する見通しだ。ネオジムなどは111月から輸出税率を上げ、国外への流出を減らそうとしている。日本への荷動きも正常化してきたものの11年の輸出枠減少は避けられない。11年の輸出枠は、3万トン弱、日本向けは、そのうちの半分。12年になると米国、豪州など中国以外からの調達のめども立つので11年度の調達が最も厳しいといえる。中国は、レアアースを用いた製品の生産が増えていることから、資源枯渇への危機意識を強めている。レアアースについて、中国の埋蔵量は世界の3割で、現在は世界の9割の生産量を担っている。

(コメント)

 米国、豪州、モンゴルなど世界に分布しており資源の多極化を図る必要に迫られている。豪州とは、産出量の3割提供の申し出を受けている。中国という危険な隣国に対し、資源の多極化は大事なことである。中国のレアアースの採掘で副生する放射性物質の処理雨中で放置し、残ったレアアースのみを採取する原始的な方法だそうだ。

 

 

D    海上のトラブル 2

 

D−1 中国、尖閣諸島に常時監視船(権益確保 体制拡充へ)(1219日朝日新聞)

 

 中国政府が、領有権を主張する沖縄県の尖閣諸島周辺海域へ配備する大型漁業監視船の態勢を拡充し常時巡航させる方針を決めた。中国が海洋権益の確保に向けて強行路線に転じたことを裏付ける動きといえる。

 中国高官の話によると、1千トン級の大型監視船を尖閣諸島付近に常駐させる。政府は民間の漁船を組織して尖閣諸島周辺の海域に派遣して操業させ「官民合同」の護送船団方式で取り組んでいく姿勢も明らかにした。

 中国高官は、ベトナムなどと領有権を争う南シナ海問題についても、領土保全上、台湾やチベットに匹敵する、最も重要な「核心的利益」に当たると断言した。

 

D‐2 中国漁船,韓国艦へ激突(黄海で漁船員死亡、行方不明各1)(1219日朝日新聞)

 

 韓国海洋警察庁によると18日午後1時頃、黄海上の韓国の排他的水域(EEZ)内で中国漁船が不法操業しているのを韓国警備艦が発見し停戦命令を出し、同庁職員が漁船に乗り込もうとした。中国魚船員は、鉄パイプなどをふるい阻止、漁船は警備艦に体当たりして転覆した。中国人漁船員10人のうち、1人が死亡、1人が行方不明韓国警察庁職員4名全員が重軽傷を負った。韓国政府高官は「適法な捜査の結果、死傷者が出たことは残念なことだ。大きな外交問題に発展しないよう静かに解決したい」と語った。

(コメント)

 中国は、南シナ海ではベトナム、尖閣諸島では日本、そして黄海では韓国と海上のトラブルを起こしている。石油利権海上の覇権を目指して強硬路線を取っている。韓国政府は、「大きな外交問題に発展しないよう静かに解決したい」方針だが、日本政府も、あらゆる総合力を駆使して国を挙げて対応すべき問題である。国会では、重箱の隅を突くような自民党などの質問や、これを煽り立てるマスコミには解せないものが感じられる。

 

 

E TPPと農業(衰退モデル脱却の好機だ)(1220日朝日新聞社説) 

 

 菅首相が「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)への参加の方針を表明した。このことが、守るべきは輸出産業国内農業かの対立を生んでいる。二者択一の問題ではない。関税撤廃が自由貿易圏をつくろうという構想がTPPである。米国など9カ国が推進している。日本にとっては、自由貿易協定(FTA)戦略への出遅れを解消するチャンスである。そうする中で農業との両立を探るのが筋だ。韓国が米欧とのFTAを来年発効させれば、日本の輸出産業は韓国企業に比べて極めて不利になる。TPP参加はその不利を打ち消すことになり、海外移転圧力を和らげる効果もある。資源に乏しい日本は通商国家として生きる道はない。一方、食料の安全保障も重要で、いずれも切り捨てる訳には行かない。農林水産省や農協は、TPP参加で高関税の障壁を失えば、「国内農業は壊滅的な打撃を受ける」と主張する。TPP問題が浮上する前から農業改革の必要に迫られてきた。働き手が高齢化し、後継者不足も深刻で後10年もすれば、国内農業は自壊しかねない。

その要因の一つが減反政策だ。米価維持のため込め需要減に合わせた水田の作付面積の減少だ。官製の生産調整策である。40年間に総額7兆円の税金が投じられたが、農業所得は、20年前から半減した。減反政策の最大の罪は、創意工夫と大規模化で自立を目指す農家の足を引っ張ってきたことである。一方、民主党の農家への個別補償制度も枠拡大を競うようになり、米価の下落に拍車をかける。多くの先進国は食料不安に備え、穀物の生産力を高めてきた。それを可能にしたのは農作物の輸出である。日本はその道を選ばず、半世紀前には、80あった自給率を、40にまで低下させてしまった。高品質で定評のある米についてアジアの富裕層向けには、輸出できる潜在力がある。778という米の高関税をなくし、輸入米に門戸を開いても国内市場から締め出されるとは考え難い。TPP参加により中長期的な農政がどのように変えるのか早急に示すよう政府に求めたい。

(コメント)

 米の関税800コンニャク芋2800なので、輸入しても価格では、勝負にはならないが、品質で対応するしかない。この機会に将来の生き残りをかけて、抜本的な農業改革をする必要がある。菅内閣が国民に人気がないのは、あまりに対応が現実的、打算的であることだ。抵抗の多い事柄には、流線的な対応をすることにある。鳩山さんが国連の席上でCO2削減に日本はリーダーシップをとると発言した。菅さんも国際会議の席上で一旦は、TPPに参加検討すると積極的な発言をしたが、農業関係者との軋轢か、米国との課題(牛肉輸入の規制緩和、郵政民営化の問題)を提起されて後退したのか不明だがその後の動きが見えてこない。

 

 

F 沖縄返還費用肩代わり(密約裏付け文書判明)(1222日朝日新聞)

 

1972年の沖縄返還に伴う日本側の財政負担を32千万ドルと明記されていたが、米軍施設費の移転改良費など本来米軍が支払う費用の一部を日本側が肩代わりする「密約」を裏付ける日本側の外交文書が公開され明らかになった。元毎日新聞記者の西山太吉氏(79)の追求後も外務省は一貫してその存在を否定してきた。米軍基地の施設改良費656500万ドル)について、71年6月、当時の愛知外相、米国ロジャーズ国務長官の日米外相会談で話し合いはなされたが、外務省は、「32032千万ドル)以外に米国に支払う金はないと国会では説明した。米国でも言及は避けてほしい」と要請していた。西山氏は沖縄返還に伴う原状回復費400万ドルの事実を暴露724月に逮捕された。西山氏は発覚から、38年を経て裏付ける文書が公開されたことに対し「やっと出てきたかという感じだ。外務省に冒涜されたままに終わらずに良かった」と語った。

(コメント)

 詳しい記事は、岩波現代文庫の澤地久枝さん密約(¥1050)などをご覧下さい。

 

 

G 普天間継続使用に言及(官房長官「返還できないなら」)(1222日朝日新聞)

 

 仙谷官房長官は、22日の記者会見で、前原外相が21沖縄県米軍普天間飛行場について、「代替地が決まるまでは使用し続ける」と発言したことについて「現時点で総合的に判断すると、そのようになるのではないか」と述べ、名護市辺野古移設出来なければ、普天間基地が継続使用されるとの認識を示した。前原氏は継続使用に言及した上で「万が一の事故の被害を最小限にするために、近隣小学校の移転などを検討する」考えを示した。仙谷氏は「普天間基地の返還、嘉手納以南の米軍基地の返還、辺野古の基地建設はパッケージになっている。直ちに普天間基地の移設が出来ないならば、近隣施設の移転も考慮しなければならない」と指摘。沖縄側から普天間の固定化につながりかねないと懸念の声があがっている。

(コメント)

 前原外相が「辺野古移設が出来なければ、普天間基地が継続使用されることにならざるを得ない。万が一の事故に備え被害を最小限にするために、近隣小学校の移転などを検討する」ことは当然の措置である。辺野古に滑走路を作ることは、住民が反対を表明している以上、全体主義の中国では可能でも、民主主義の国、日本では無理なことはアメリカも承知している筈だ。

 

 

H 地方交付税173700億円(来年度 4年連続増額)(1222日朝日新聞)

 

片山総務相と野田財務相は22日、2011年度予算で地方自治体の財源不足を穴埋めするため配分する地方交付税総額を前年度比4800億円増173700億円とすることで合意した。増額は4年連続で厳しい地域経済の実情を踏まえ地方財政に配慮した。一般会計から交付税にまわる金額は減少しているが、10年度補正予算で1兆円規模の交付税を特別会計に組み込んだため、トータルでは地方交付税は増額になった。

(コメント)

 地方交付税が増えるのは結構なことであるが、「特別会計を止めろ」と言った民主党が補正予算の形で1兆円の地方交付税を特別会計に計上していたことはどう解釈すれば良いのか理解に苦しむ。

 

 

I 菅首相、小沢元代表の喚問を検討27日党委員会で結論)(1221日朝日新聞)

 

 菅首相は、小沢民主党元代表の国会招致を実現するため、強制力のある証人喚問の検討に入った。菅首相は検察審査委員会の起訴議決が明らかになった後の107日記者団に対し、「国会で決めた決定に私は何時でも従います」という発言を受けて、衆院政治倫理審査会(政倫審への出席を求めたが、小沢氏はかたくなに拒んだ。この日の会談は想定通り国会招致を拒んだので、首相は、法的に拘束力のない政倫審から出席に拘束力のある証人喚問も視野に入れた対応になった。「決断できない首相」のイメージが定着化し、内閣支持率も低迷が続き、茨城県議選など地方選でも負け込んでいる。小沢氏をめぐる「政治とカネ」問題で姿勢を後退させれば、「菅内閣は持たない」との危機感が強い。先月末に公開された2009年度政治資金収支報告書で、小沢氏は、昨年、立候補予定者91人に約45千万円を配り、その原資は、旧新生党の資金が当てられていることが判明した。

(コメント)

 「国会で決めた決定に私はいつでも従います」という小沢氏の発言と政倫審への出席を拒否する小沢氏ともはや論理的な整合性がない。「仙谷、馬淵の両氏の辞任の方が先ではないか」の発言は子供の喧嘩ではあるまいし、笑ってしまう」折角、首相、幹事長ともダブル辞任で責任を取ったのに、3ヶ月も経過しないうちに代表選に顔を出すから一旦けじめのついた「政治とカネ」の問題を再度問われているのだ。鳩山も小沢も政界から、消え失せろと言いたい。 

 

 

J 一般会計最大92.4兆円1224日朝日新聞)

 

 菅政権は23日、2011年度政府予算の一般会計総額を924千億円程度とする方針を定めた。10年度当初予算より1千億円上回り、過去最大になった。景気の本格回復を目指し、成長分野への配分を重視した。

科学技術予算は、400億円ほど首相指示で積み増した。謝金の返済に充てる国債費を除く歳出費は、709千億円と10年度とほぼ同額に抑えた。高齢化に伴う社会保険費の1兆円超の自然増や「子ども手当て」の3歳未満の増額分(2500億円)を公共事業費などの削減で補った形。国債の元利払い費216千億円程度を見込み、総額924千億円程度となった。経済成長や雇用増につながる事業に優先配分する「元気な日本を復活特別枠」は21千億程度。歳入では、新規国債の発行額は、443千億円で10年度とほぼ同額。税収は409千億円台を回復する。72千億円ほどを国の特別会計の剰余金として確保する。2年連続で国債が税収を上回るきびしい財政状況が続くことになる。

(コメント)

 一般会計の概算要求の時点で、412名の民主党の議員の内、関係大臣、副大臣・政務官、党務役職者約100名を除き、残り300名を投じて予算作成をやれば、詳細までチェック出来る筈で、概算要求が予算超過で自民党並みに一律10%カットしなくても済む筈で、207兆円の特別会計は、国民の預貯金、年金、保険金などを先使い浪費してしまうので許されない。景気対策といっても、天下りの手当てになるだけだ。

 

 

(お知らせ)闘う政治を支援する委員会の資料として作成、生活者主権の会に投稿して参りましたが、

1月の同委員会の廃止を以って、この連載を終了することになりました。ご愛読に感謝いたします。

201119日  深津輝雄