狭域情報伝言システムの採用を

〜大震災被害を最小限にくい止めるために〜

東京都足立区 渡辺 敏章

3月11日、東日本大震災が発生して大災害となり、大勢の人が亡くなり大被害が出ています。亡くなった方のお悔やみを申し上げ哀悼の意を表します。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

まだまだ原発など被害拡大が続いています。思うように救済の成果が上がらないのは大きな障害があるためで、今回の地震のみならず、台風災害、豪雪災害など全ての災害にあてはまることがあるためです。それは、次のような事です。

災害がおきて、絶体絶命の状況にある被災者の方が、必要なのはおそらく、“誰かに自分の窮状を知らせる方法が欲しい”ではないでしょうか?大災害では、電話もケータイも、一時不通となることは、今回の東日本大震災でも、体験しました。そういう情況の中で、情報を伝達する何らかの方法は本当にないのでしょうか。

電話、ケータイがダメで、110番、119番の非常通信も不可な情況にあって、今は、情報を伝達する方法としてNTTやケータイ各社で災害用伝言ダイヤルが実用化されています。しかし、これらは、災難を逃れた人が「安心してください。無事でいます。」と相手に安心を伝えることに限定されるのが現実です。

「安否情報を伝えてください」と説明していますが、“否(ぴ)”情報では、あまり有効でなく、使われていないようです。電話の相手の方が遠隔地にいて、助けにこられないとか、相手の方は、救助法を知らないなど、で“否”情報を発信しないからです。結果として、自分の窮状、ないしは目の前で見ている他人の窮状を誰かに直ぐ知らせる方法が現在では全く無いのが実情です。

本来、人の窮状を見て救助してあげたいと思うことは、人情で、それが組織化されて、災害直後、救助対策本部が立ち上げられます。そこへ“否”情報を直(じか)に、つまり生情報としてリアルタイムでつなぐことが本来最も有効で且必要なことなのです。しかし、広範囲に発生した災害の時、現実には生情報をリアルタイムに伝える方法は、現在全くありません。

なおかつ、災害直後に発生する生命に関わる救命情報つまりSOS情報は急を要する短時間勝負であるにも拘らず、直後は、痛恨にも通信網が不通になってしまいます。「どうしようもない、打つ手が無い」としてあきらめられています。本当にそれでいいのでしょうか?

今も、この震災が甚大なために各地、各所で孤立的な困窮状態にありながら、既に通信が回復しているにも拘らず、必要な情報が適切な所に届けられない、必要な物が欲しい人に届かない、救助が来ないという情況が続いています。これらも、生の情報をリアルタイムでつなぐことに手を打たなかったことから発生しています。

つまり、困窮情報を、リアルタイムで災害対策本部につなぐ事これが必要なのです。

この要望に応えるべく開発されたシステムがあります。狭域情報伝言システムの名で、プロトタイプは、既に3年以上試用し、実用化しています。概略は次のようになっています。

現在使用されているNTTの災害伝言ダイヤルシステムの応用です。災害対策本部で、地方公共団体が、有し利用する複数の電話を、災害情報伝達機器として使用します。その1本々々に地域の区割りを振り当てます。たとえば、町会とか班などです。そうすると、発信者の情報は、災害伝言ダイヤルシステムを通してその該当対策本部につながります。対策本部は、多量の情報を緊急、緊急でない、医療関係、救命要件、「水道が破裂した」など広域用件、など適切に対応して即座に対処します。もちろん発信者ないしは、発信エリアにフィードバックすることも出来、発信者が災害対応方法も入手できます。これを頼りに解決することによって、災害の拡大や不安、恐れなどから続く2次3次災害の抑止にもつなげると、思われます。

今現在は、自分の窮状を救って貰いたいと流す情報先を殆どの人は、知りません、ないしは連絡できません。また、救急本部は、生の情報をリアルタイムに欲しいにも拘らず、入手できません。従って現状がどうなっているのか、把握するために、情報を取りに行くしか方法がありません。一方で直ぐにでも来て欲しい、薬を、物を、届けて欲しいという生の緊急要請が有りながら他方で緊急要請を手をこまねいて待っている、それがいまの災害地での構図ではないかと思います。

この情況を、改善するためにこの狭域情報伝言システムを活用して頂きたいと思います。ただ、今のシステムでは、電話番号を使用するプロトタイプです。いまのままではまだ有効性が足りません。システムアップをはかっていきます。電話番号を必要としないレベルにもっていきます。

このシステムの特徴は、同時に莫大な救急要請があっても、対応できること、デマ、にせ情報を除外できること、必要に応じて、誰でもが全国的に、救急要請の情報を共有出来ること、開発費用が低く抑えられることなどです。さらに、入ってきた狭域情報を、積み上げれば広域情報となるので、たとえば町、市、区、県、地方の広域情報として利用できると考えてもいます。プロトタイプなら、今直ぐにでも採用可能です。

この実現化のために、是非とも、力を貸してください。