公益財団法人サイサン環境保全基金助成金授与式及び県内環境団体交流会報告

・・・公的機能を担う豊かな民力の実例・・・

 埼玉県所沢市 河登 一郎

416日に大宮の(株)サイサン本社8階で行われた首記の会に出席しました。「埼玉西部・土と水と空気を守る会」が出版した「産廃銀座に挑んだ住民たち・Part II」出版費用が助成対象になり、招待されたのです。以下3年ぶりに出席した印象です。

(注:公益財団法人サイサン環境保全基金とは、(株)サイサン・グループが創業者の理念に沿い、収益の一部を社会に還元するための基金です。埼玉県内の環境団体を14年前から毎年助成しています)。

 

1.参加者は100人を超え盛会でした。助成金の対象になったのは、

 

助成件数

助成金額

1件平均助成額

平成22年上期

25 件

882万円

 35万円

  同  下期

17 〃

552 〃

 33 〃

  合計

 42 〃

1,434 〃

 34 〃

に上り、H22下期の17団体の中には、所沢市から3つの環境団体が選ばれていました。当会、おおたかの森トラスト、埼玉環境カウンセラー協会です。なお、H23年上期には砂川流域ネットワークも助成されました。その他、河川環境調査・森林や名水の保全・雑木林の伐採や清掃・生ごみ堆肥化と有機栽培など所沢でも実行可能な活動が多数助成されていました。

 

2.私の受けた印象では、3年前に比べて背広姿の中高年男性の参加者が増えていたことです。恐らく団塊世代の埼玉都民が退職後地元の環境問題に目覚めていろいろな運動に参加し始めたのだと思います。そのこと自体は良い傾向ですが、若い世代の積極的な参加も期待したい。

 

3.もう一つ改めて気が付いたことがあります:公的機能を担う民間活力の大きさです。

(1)上の表で分かる通り、1件平均34万円の助成金でこれだけ多彩な環境市民運動が活性化され、埼玉県の環境保全に貢献しているのです。

(注:助成金以外にも人件費他経費はかかりますが、寄付金の損金計上も認められており、理念があれば、健全経営企業として負担できない金額ではありません)

(2)従来、「私的な活動は民」が担い、「公的な役割は官」が担当すると漠然と考えられてきましたが、実態上「官」は社会の公的ニーズを担いきれず(逆に「省益」と称する「私益」のために血税の相当部分が流用されている)ボランティアを含む「民」が公的機能のかなりの部分をカバーしていることは周知の事実になっています。

(3)仮にこれだけの環境保全活動を「官」が実行するとすればどのくらいの税金が使われるでしょうか。正確な計算はできませんが、34万円は自治体職員の1ヵ月分の給与にもみたない金額ですから、ボランティアの協力を前提にしても、最低でもこの10倍からケースによっては100倍程度はかかるのではないでしょうか。

市民団体の多様な活動を民間資金が支援するという「民間活力」の大きさと豊かさを改めて実感します。

 

4.サイサンのような企業が増えると、日本はもっと住み良い国になります。そのためには、日本には比較的乏しかった「寄付をする文化」を育てることと、寄付の実質的な負担が(個人、法人とも)軽減される税制によるバックアップが効果的です。国に対しても自治体に対しても提言を続けたいと思います。

平成20年度に創設された(通称)「ふるさと納税」制度は所得税の1020%まで;全国の自治体や認定団体に対する寄付金額(自己負担5千円を超える全額)が翌年「税額控除」される画期的な制度(税金の使途を納税者が決める)なのですが、周知されていないせいかあまり実行されていないようです。私は制度発足以来毎年ささやかに実行しています。

以上

2011417 記)