月額制議員を減らし、日当制議員を増やす
東京都小平市 小俣 一郎
消費税増税の前提として衆議院の議員定数を大幅に削減することが提案されている。
そのこと自体に反対するわけではないが、ただ今のように国に権力が集中している段階で国会議員を減らし過ぎると、少数意見が国に届かなくなるという不安も残る。国の権限が地方に移り、それに伴って国会議員の数が減る。これが最も理想的な姿ではないか。
それよりも、権限の少ない地方に多くの議員が存在することの方が問題ではないだろうか。地方には直接住民に選ばれた首長がいる。それにプラスして議員がたくさんいる。地方にこれほどの人数の議員が必要なのであろうか。
例えば、政令指定都市を抱えている道府県では、その道府県議会に人口の多い政令指定都市から選ばれた議員が多数存在する。しかし、道府県と匹敵するような力を持つ政令指定都市に対する道府県議会の影響力は弱い。道府県と政令指定都市のほぼ対等な力関係は、大阪の例を見れば明らかだ。
政令指定都市以外のことを決定することが主たる役割である道府県議会の多数を政令指定都市選出の議員が占め、その内容を左右する。そこには大きな矛盾を感じる。
例えば、神奈川県議会の定数は107名だが、横浜・川崎・相模原の3市から選出されている議員は67名に上る。実に6割以上を占めているのである。神奈川県議会の役割の多くが3市以外に関することであれば、極論を言えば、神奈川県議会の定数は40名でもいいのではなか。そのような観点から、東京都も含めて、都道府県議会の議員数はどのくらいが適切なのかを改めて検討し直す必要がある。
もちろん市町村も、いまの議員数がその仕事と比例して適切かどうかを見直すべきだ。
ただ、私は単に地方議員の数を減らした方がいいと言っているわけではない。議会は各地方自治体の予算等を決定する機関であるから、当然そこでは少数意見も考慮した方がいい。少なくとも議会で主張をする機会を奪うべきではない。そのためにはそれなりの数も必要である。また政令指定都市について言えば、逆に、橋下大阪市長が主張するように、もっと身近な単位での議員が新たに必要だろう。
ところで、地方議員は常勤でなければ務まらないのであろうか。
国会議員のように、扱う問題が膨大な議会においては、当然、常勤でなければならないだろう。しかし権限の少ないいまの地方自治体の議会に、常勤の、報酬が月額制の議員が必要だろうか。
もちろん国の権限が地方に移り、その役割が増えたときには常勤の議員が必要となるだろう。しかしいまの権限であれば必要に応じて務める日当制でも十分に対応できるのではないだろうか。
議員報酬の日当制では福島県の矢祭町が有名だか、この財政危機の折、全国的に『矢祭町化』を考えてみてもいいのではないだろうか。