経済成長は必要だけど、「成長戦略」が不要なわけ
千葉県柏市 峯木 貴
テレビや新聞を見ると、著名な経済評論家や財界人が口をそろえてこう言う。
「アベノミクスの第1の矢(金融緩和)、第2の矢(財政出動)は行われているが、第3の矢(成長戦略)はどうなっているのか。今後の日本の経済成長には第3の矢が一番大事だ。」
一体、どのような根拠でこのような発言になってしまうのか分からない。(みんながそういうからそれが正しい、という論理なのだろうか。)
他方、成長戦略が有害であるという専門家の話は、テレビや新聞では全く聞かれない。
以下、「成長戦略」が不要な理由をかいつまんで説明する。
1.大前提(インフレ、デフレの定義)
インフレ 需要>供給 恒常的に価格が上昇
デフレ 需要<供給 恒常的に価格が下落
2.成長戦略とはインフレ時の対策
成長戦略≒構造改革≒規制緩和
規制緩和とは、規制を取り除くことにより生産能力を向上させる⇒供給能力の向上⇒物価の下落⇒インフレ時の対策
成長戦略とは、産業競争力の強化⇒供給能力の向上⇒インフレ時の対策
3.デフレの原因
バブル崩壊⇒消費の落ち込み⇒価格の下落⇒設備投資の削減⇒従業員の所得の低下⇒消費の落ち込み⇒・・・
4.有用な規制改革とは
日本は貿易依存型経済ではなく内需主導型経済であるため、海外からの投資を呼ぶよりもむしろ、日本から海外へ逃げて行かないよう規制を改革する必要がある。また、国内企業が儲かる仕組みであれば歓迎である。また、国と県が同じことをやるような二重行政も規制改革の対象となるだろう。
有用な規制改革の一例:国内企業である簡保生命のがん保険への参入
⇒ただし、アメリカの圧力かどうかわからないが、政府は、簡保生命のがん保険への参入を認可しないと表明。(米企業(アフラック)が国内のがん保険の74%のシェアを持っている)
5.有害な規制緩和とは
デフレ時に規制緩和をするとどうなるか・・・
・タクシー業界の台数規制の撤廃:タクシーの台数が激増し1台当たりの売り上げが減少。賃金も下がった。
・運送業界の規制緩和:零細な運送業者が増え、荷物が増えないため、1社当たりの売り上げが激減。当然賃金も下がった。
6.成長戦略はいらない
デフレ解消のために経済成長は必要だが成長戦略は不要である。
経済成長するためにはアベノミクス第1の矢、第2の矢をもっと適切にコントロールするだけで達成できるだろう。(最近では、日銀の黒田総裁は第1の矢(金融緩和)を当面やらない、と不用意な発言をし、急激な円高※を招いてしまった。※円高は、輸入品が安く手に入り、国産品もつられて安くなるため、デフレを加速する。)