大麻と放射線−太古からの医療資源

東京都文京区 松井 孝司

 

大麻成分の医療への利用が法律で禁止されていることを知らず、大麻の成分カンナビノイド誘導体が海外では治験が行われているのに日本国内で医薬品として開発される気配がないことが長い間疑問であった。

21世紀のライフスタイルを考える会の9月度例会で丸井英弘弁護士から「大麻取締法」という「天下の悪法」が戦後GHQの要請によって制定されたことを迂闊にも初めて知った。日本のメディア、官僚と政治家が正しい知識を持たなかったため米国からの要請を疑問視せずに受け入れ、長期間理不尽な規制が放置されてきたのだ。

大麻の真実は本号掲載の丸井弁護士のインタビュー記事「大麻は麻薬ではない」に述べられている通りである。さらに最近大麻の成分テトラヒドロカンナビノール(THC)の分子レベルの作用機構が明らかにされ、THCp53p38などの蛋白分子を活性化する作用が低線量放射線のホルミシス効果に酷似することを知った。

THCと放射線は人体の細胞にとって「毒」であるが適量なら人体の免疫能と異常細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導し、個人差はあるが癌の抑制や炎症の緩和に有益な効果が期待できると推測される。Toxicology,314,254(2013)、本誌204号参照

大麻と放射線は人類が誕生する以前から自然界に存在する医療資源である。大麻について正しい知識を国民に周知徹底し根拠が疑わしい「大麻取締法」を大幅に改正するか、または撤廃し大麻成分の医療への利用を解禁すべきだ。

大麻は医療以外にも多様な用途を持ち茎から採れる繊維質と木質部、種子から採れる油は衣料、食品、建材、燃料になり石油の代替資源でもある。米国が大麻の栽培を規制したのは大麻利用と競合する石油産業の要請であった可能性が高くグリーンピースなど放射線の恐怖を煽る反原発運動の資金の出所が石油産業であったこととも共通する。耕作放棄地で大麻を栽培すれば地域農業の再生にも大きく貢献するに違いない。

大麻と放射線の医療への利用規制を撤廃し、人体に対する臨床効果を立証して高齢者の健康維持に役立てることができれば激増する医療・介護の経費を節減し日本経済に10兆円を超える大きな付加価値をもたらすことになるだろう。

 

 註)丸井弁護士の緊急インタビュー記事:

http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/pent.html