投票率を上げるには

東京都小平市 小俣 一郎

 

今回の総選挙は静かだった。またこれまでとは大きく異なる選挙でもあった。

多くの人が「なぜいま」と思い、識者と言われる人の多くも「意義がわからない」と非難したが、選挙期間も極端に短かった選挙は粛々と進み、大方の予想通り「与党の大勝」に終わった。自民党からの「選挙報道の公平中立を求める要望書」が効いたのかマスコミ報道も今回は低調であった。

安倍首相が仕掛けたこの「野党の体制が整わないうちに選挙」はまさしく安倍首相の思惑通りになったが、一方で、小選挙区制が持つ欠点も明らかにした。政権選択にならない選挙はまったく盛り上がりに欠けるということだ。戦後最低の投票率がそれを表している。

今回に限らず、最近の選挙は投票率が実に低い。根本的には投票に行かない国民、住民に問題があるのだろうが、政治への不信も関心の薄さの要因になっていないだろうか。また、投票率の上げるための有効な方策が講じられていないことも問題ではないか。

選挙への関心を高めるための方策としては、複数の選挙を同時に行うのはどうだろうか。具体的には国政では衆議院と参議院の選挙を必ず同時に行うのである。

衆参選挙を同時に、3年のサイクルで行えば、今後3年の政治を決める選挙に国民の関心は高まるだろう。また3年ごとの7月に民意を問うことになれば、日本の国政が計画的になる。政党はそれに合わせて政策と体制を準備し、選挙は必ず政権選択選挙となる。それは前もって十分に告知され、国民もよりしっかりと判断できるであろう。

もちろん憲法上の制約はある。しかし、各政党が投票率の向上を目的に、計画的な国会運営に合意すれば実現できるのではないだろうか。

 地方政治については、首長と議会の選挙を必ず同時に行うように、こちらは法律を改正すべきである。同時に選挙を行えば単独の首長選の低投票率現象を改善できるし、首長と議会のいわゆる「ねじれ現象」の発生も減少し、地方政治の混乱を防げる。また必ず4年のサイクルになることによって、地方政治はより計画的に行われるようになるだろう。

 そしてそれを徹底するために、法律改正の際には、「議員の補欠選挙は定員の過半数(または3分の1)が欠員になるまでは行わない」、「補欠選挙で選出された首長及び議員の任期は前任者の残存期間とする」、「残存任期が1年未満で首長に欠員が出た場合は選挙を行わず、議会が残り任期を担当する『代行者』を選出できる」等の項目も加えるべきだろう。

 高い投票率の選挙で選ばれた者こそ、真に信任を受けた者と言える。

ともかく、国も地方も、危機感を持って投票率を上げるべくいろいろな方策を講じるべきである。

 至急そのような対策を講じることは、戦後最低の投票率で再任された安倍首相の「重要な責務」とも言えるだろう。