忘却のかなたから -3

東京都渋谷区 塚崎 義人

「かたよらないこころ、こだわらないこころ、とらわれないこころ、

ひろく、ひろく、もっとひろく〜〜〜」

薬師寺元管長・故高田好胤師

社会の真似る仕組み

 社会は活気ある個性豊かな老若男女の生活の場、人々の生活は時間を中心にして営まれ時間は誰しもが等しく共有するものです。ただ時間の面白いところは、人間が生み出した観念的な概念なので誰かにとっては現在であることが他の誰かにとっては過去であったり未来であったりすることがあることです。社会現象(政治・経済・言語・芸術・精神)は各々さまざま定量化できる状態(観察可能)にありますが、時間もその社会現象の状態(定量化の観察可能)の中にあると思えても見つけることができません。確かに時計は「時を告げます」が何等直接の尺度がないので時間を定量化して観察できず、そこで観察できるのは現象(物体)の運動(地球の自転・公転など)だけです。

時間は他に違う役目があり、もともとは社会現象を順序づけるパラメータ(時間の中に諸現象を並べる)の役を果たしていると思われます。この順序づけのパラメータはゼロから無限大へ・無限大からゼロへ進もうがまったく違いはなく、社会現象が過去から未来へ・未来から過去へ進むと考えようが間違いではありません。特に時間がこのような順序で流れなければならないという法則はどこにもなく、ただ私たちは生活上の利便性の観点から“過去から未来へ流れる「時間」”を日々の生活の場で有効に使っているだけです。

 

2.見えない構造

社会現象(政治・経済・言語・芸術・精神)の見えない構造(社会心理)は、それ自身に構造と法則を持ち独自のエネルギー(概念の変化)で自律的な変化をします。その変化する現象が流行で終わるのか慣習・伝統まで変化していく現象であったのかは見える構造(個別心理)から後でその変化に気がつくようです。見えない構造(社会心理)と見える構造(個別心理)との間で時差(ギャップ)の発生があり、ともすると私たち自身のライフスタイルや人生は自分自身が判断し決めていると考えがちですが意外と違って、社会は真似ごと、と述べたように知らず知らずに見えない構造(社会心理)のエネルギー(概念変化)に押され時間の中を浮遊し変化させられているのかもしれません。

1. すべての社会現象は見える構造(現象)と見えない構造(本質)の二面性を持つ

2. 見える構造(個別心理)と見えない構造(社会心理)に時差(ギャップ)がある

3. 見えない構造(社会心理)は発生・頂点・消滅という二等辺三角形の変化をする

4. 見えない構造(社会心理)は独自の自律的エネルギー(概念変化)を持つ

5. 見える構造(個別心理)には価値に対する中心尺度と従属尺度がある

“時間”という観念的概念を大きくひろく捉えなおし自由自在な観察眼を駆使し社会現象(政治・経済・言語・芸術・精神)の見える構造(個別心理)と見えない構造(社会心理)を自分の手で把握することができれば、より幸せなライフスタイルが見えるはずです。

 

次回から、見える構造と見えない構造の具体的内容を考察します。