忘却のかなたから -5

東京都渋谷区 塚崎 義人

「かたよらないこころ、こだわらないこころ、とらわれないこころ、

ひろく、ひろく、もっとひろく〜〜〜」

薬師寺元管長・故高田好胤師

社会の真似る仕組み

時空間「(時間=過去⇔現在⇔未来)(空間=過去・現在・未来)」

観念的概念をもっとひろげ、時間を双方向の“位置”へ、空間を混在する“情報”へと、つぎに仮説で、この概念を用い頭の中の思考イメージを膨らませてみます。

人間の特質は額部分にある前頭葉(人間的思考)といわれます。前頭葉を中心に、この周りを時空間(位置と空間)が一つの雲のように包み広がっています。そして雲(位置と情報)の中を「心のはたらき」をする超微小粒子が飛び回っていると想像します。

心のはたらき(超微小粒子)は雲(位置と情報)の中を飛び回りある一点を刺激し一つの意識(観念)を生じさせます。雲の中身「環境(人種・性別・地域)・時間(人生での歳の取りかた)・レベル(体験・経験・知識の深さ)」は人によってさまざまで思考方法には微妙な違いがあります。頭がやすらいでいるというのは心のはたらき(超微小粒子)が霧消し雲の中にα波(安静時脳波)で満ち、時空間(位置⇔情報⇔ 意識)のバランスが保たれているときと思われます。

心のはたらき(超微小粒子)が雲(時空間)の中で何かを認識すると一瞬に意識(観念)が現れ、と同時にいっさいの雲の形は消え失せます。たとえば時間(位置)を意識(観念)すると瞬間に空間(情報)は消えます。なぜなら心のはたらき(超微小粒子)は一点に飛躍するため同時に時間と空間を意識(観念)することができないためです。 

心のはたらき(超微小粒子)というのは、雲の中を飛び回りながら、これといって時間(位置)や空間(情報)を意識(観念)せず点滅する光のようなもので、心のはたらきが片方(位置か情報)を意識(観念)した時もう片方は仮の姿でいます。

ある時間(位置)を意識(観念)すると空間(情報)は一瞬に不明になることや、逆に特に決った何かを意識しなければ雲状の時空間(時間=位置・空間=情報)は波動パターンのようになっていることもあります。これら一連の決定的なすれ違いの現象をある・ない(有・無の関係)と考えます。

この風変わりなイメージは社会現象が因果関係では説明できないことで成り立ち、私たちの生活が過去→現在→未来という一方的なパラメータ(時間の中に諸現象を並べる)からの予測では役に立たず、すべての社会現象が不確かで不安定なものを示そうとしたものです。社会現象を観察する際、心のはたらき(超微小粒子)と意識(観念)と時空間(時間=位置・空間=情報)を想像し前頭葉(人間的思考)を活性させてみると観察眼はより鋭敏になるのではとお伝えしたかったのです。

前頭葉(人間的思考)の特質は

.目に見えるような動き(運動)はしない。

(「飛躍」といって心のはたらき(超微小粒子)は瞬間移動する)

. 社会現象は観察する人から離れられない。

(観察の仕方では予測できない特性が現れ、何を観察するかで現実は変わる)

.社会的意義が明らかに。

(「可能性」で現実でなく、どのように予測できても、いつなるかは予測できない)

 

4.社会現象(政治・経済・言語・芸術・精神)-2

 人が社会現象を観察する理由には、最先端の流行りもので自身(身心ともに)を飾るためでもあり、自身の判断能力を実体験が詰まった一生(誕生と死)の短い時空間のモノサシに拠り、慣習・伝統から社会現象が生じるという固定観念にあるため、どうしても「過去と現在」にしか関心を持とうとしません。いつまで過去にかたより、流行にこだわり、一生(誕生と死)にとらわれ続けるのでしょう・・・・・・・・。

 

「観察効果」という考えが、観察される社会現象が突然に変化を起こすことをいいます。社会現象は観察する人(観察の仕方では予測できない特性が現れ、何を観察するかで現実は変わる)から離れられません。社会現象の何が観察可能かは観察する人が選択し決めるためです。

たとえば、何の観察もされない社会というのは意識(観念)を持たないぼんやりとした雲(位置度合パターンか、もしくは情報波動パターン)のままで、あらゆる特性(観察可能性)が社会の隅々に埋もれている状態にあります。

このような社会をじっと見つめると、物質(固体・液体・気体)であれ、生きもの(動植物)であれ、人の精神(心やこころ)であれ、さまざまなものを含め、観察しようとする人が観察対象とする現象の特性の何を選択するかによってはまるっきり違ったものが見えてきます。

観察しようとせず認識しようともされない社会は、そこで起こる社会現象の性質や性格をいっさい持たない単なる「可能性の雲」の中を浮遊しているだけです。この「可能性の雲」は不思議なもので、いったん観察しようとすると突然変化し観察する人が求めようとしている特性を持つ社会現象が現れてきます。

そればかりか「可能性の雲」の中で相互作用による新たな社会的可能性を生みだし、現実に起こっている社会現象の特性(観察可能な対象)が別々のあらゆる可能性の重ね合わせとして現れ、ある特性(夢や理想)をもった社会現象として起きてくることをも意味します。

「観察効果」は単に流行とか慣習とか伝統とかの変化を起こすだけでなく「理想とする社会」を現出させる側面をもち、私たちが社会現象のどのような定点(最も望ましく定まった価値観)を観察するかによっては理想の社会を「創造」することも可能となります。このことは「人間の社会」を理解するのに必要と思われます。

 

次回は、社会現象(政治・経済・言語・芸術・精神)-3を考察します。