ナンバ歩き

東京都小平市 小俣 一郎

 

21世紀のライフスタイルを考える会は、毎月第2日曜日に定例会を開催しているが、2月8日は、『古代日本語の秘密』をテーマに開催された。

当日は特別講師の大黒屋宏芳氏から、古代日本語『カタカムナ』のことや「カナカナ」の特徴について、また両者の関連について、さらには日本古来の歩き方「ナンバ歩き」などについて講演があった。

『カタカムナ』という古代語が存在することを初めて知り、また関連して「氏名から指名を紐解く」ということで参加者の氏名から指名を解いてもらったりしたが、共に興味深いものがあった。

ただ、今回私が参加しようと考えたのはそれらが目的ではなく、ナンバ歩きについての話もあると聞いたからである。

2003年の世界陸上200mで銅メダルを獲得した末続慎吾さんが「ナンバ」の動きを研究していたと話題になったころ、「ナンバ」というものに興味を持ち、それを広めた武術研究家の甲野善紀さんが出演したテレビ番組なども見て、ナンバ歩きを試してみたことがあった。残念ながらそのときはものにはならなかったので、改めて話を聞いてみようと思ったわけである。

ナンバ歩きとは、「右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出して前に進む歩き方」だが、これは日本古来の足の運びで、能や歌舞伎、日本舞踊、盆踊りといった伝統芸能や相撲のすり足・四股もナンバだとのこと。たしかに盆踊りは右手右足、左手左足だ。

ナンバは、農耕や着物文化といった日本人の伝統的な身体所作に深く根付いているとのことで、それが「行進歩き」に変わったのは、明治時代に西洋化を急ぎ、教育で行進歩きを取り入れるようになったからとのことだった。

大黒屋さんの説明にさらに興味が湧き、その場で著書も購入したが、そこには、ナンバは柔軟で多様性をもつ動きで、単なる「同じ側の手足が出る動き」ではなく、「ナンバになっている状態」とは「次の要素を含んでいる動作」ととらえている、と書かれていた。それは、

1.   腰をひねらず、身体にエネルギーロスの出ない動作。

2.   すり足で骨盤の揺れが穏やかな、重心の低い動作。

3.   骨盤やヘソ下の丹田と同時に、全身の神経に意識が向く、意識的動作。

の3つで、特に、3の「意識的動作」というのがポイントだそうだ。

 さて、少し話がそれたので戻すと、このナンバ歩きは具体的には、「手を前にして、つま先歩き」をすることが基本のようで、リュックサックを背負ったとき、その肩ベルトを持って歩くとナンバ歩きになるとのことだった。

そこで、現在意識して「つま先歩き」をしているのだが、最初はふくらはぎがすごく張ってきて、大丈夫かと思ったが、いまはそれもほとんど治まり、いまのところは調子よく歩けている。ナンバとは別の観点から、健康法として「つま先歩き」が奨励されていると聞いたこともあるし、健康のためにも、これからもまずはつま先歩きを続けて行きたいと思っているが、さてさて、今回は挫折せずに続けられるだろうか。