東京は水にも弱い
東京都小平市 小俣 一郎
「私が平成元年に提案した『平成維新』を、そっくりそのまま令和時代の政策に移植すればよいのである。それが『令和維新』となるのだ」との大前さんの主張が道州制推進連盟の8月の定例会で話題になったが、「東京一極集中をさらに加速させる」という大前さんの主張には賛成できない。なぜなら、東京は災害に弱いからだ。
「平成維新」には「規制緩和」や「道州制」はあったが「東京一極集中の加速」はなかったと思うが、それはともかく、台風19号の被害でも明らかになったように、東京は、東京圏は、水にも弱いのである。いまでも集中し過ぎているのにそれをさらに加速せよというのは論外ではないか。
東京の中心部の多くはもともと湿地であり、海であった。そこに関東に領地替えさせられた徳川家康が手を入れ、その家康が幕府をつくり、それが260年も続いたので今日の発展があるのだが、もともと湿地であり、海であった東京は本質的に水に弱いのである。
もちろん、水害に対する対策も講じられてきた。水害対策のためにつくられた「貯水池」や「放水路」等が今回の台風19号から東京都心の「0メートル地帯」を守ったようだが、テレビの映像等を見ると本当にぎりぎりのところであったようだ。もしも降雨時間がもっと長かったら・・・。
近年、台風が巨大化・猛烈化している。太平洋の海水温が上がってきているのが原因らしい。この傾向は今後も続くという。そして台風は毎年やって来る。いや、15号、19号と来たように年に何度も来ることを覚悟しておかなければならない。それに大雨をもたらすのは台風だけではない。かつてないような前線の停滞等によっても大雨や長雨が発生している。
今回の台風19号で「江戸川区水害ハザードマップ」の『ここにいてはダメです』との表現がクローズアップされたが、江東5区では大規模水害によって浸水する可能性がある区域に約250万人が居住しており、大規模な広域避難さえ計画されている。そして今回江戸川区では避難勧告が出された。まさしく、それが現実味を帯びてきているのである。
東京が災害に強い都市であれば「東京一極集中の加速」を一概に否定しないが、地震や富士山の噴火だけでなく、台風や雨にも弱いのである。ならば、「首都移転」や「道州制」等の計画的に危険を分散させる対策を改めて真剣に考え、東京に集中させるのではなく、まず東京への流入を止め、次に東京から移す方策を講じることが必要なのではないか。