『吉野さんのノーベル賞受賞』について
東京都立川市 石川 康弘
生活者主権の会 各位
いつもお世話になっております。
小俣一郎氏が『生活者通信【第239号】』に寄稿した『吉野さんのノーベル賞受賞』拝読しました。
いつも賢明な小俣氏にとは思えないご主旨に、正直驚愕し落胆しました。
突っ込みどころ満載といった感じです。
リチウムイオン電池を初めとする蓄電技術に過剰に期待するのは、あまりにも危ういです。
蓄電というのは化石燃料による発電や発熱に比べ効率が悪いのです。
放電により、どうしても多くのロスが生じてしまうからです。
リチウムイオン電池の技術は当初より飛躍的に進歩しましたが、化石燃料に取って代わるという状況には程遠いです。
以上のことは、電池メーカーに勤務する者として断言できます。
一部の環境NGOが喧伝する「地球温暖化」は、人類最大の問題というより人類最大の欺瞞です。
過去40万年の長期の周期をみると、温暖化の後にCO2が増加しています。
氷河期の終わる原因は地球の公転軌道の変化で、それによる温暖化で海水から出るCO2が増加します。
その温室効果で大気の温暖化が促進されるフィードバックが起こります。
CO2増加の原因は化石燃料ではありません。
現在の気温は、史上最高ではありません。
千年前の中世温暖期には今より気温が高く、グリーンランドは本当にグリーンでした。
今後の温暖化でグリーンランドの氷が溶けても、中世と同じ位になるだけです。
それによって海面が上昇するのは最大で80センチ程度。
先進国では堤防で防げるレベルです。
「海面上昇でツバルが沈むから可哀そう!」というのなら、堤防建設を援助してあげれば済む話です。
「地球温暖化」問題と不可分なのが再生可能エネルギーですが、これにも大いに問題があります。
日本は太陽光にも風力にも恵まれていません。
両方とも年間を通じて上下動が激しく、安定供給は不可能です。
長期間蓄電できればよいのですが、それは前段で申し上げた通り、現状の技術では不可能です。
電力供給が、お天道様頼み、風頼みというのではあまりにも心許ないでしょう。
唯一有力なのは地熱ですが、温泉経営者が猛烈に反対しているので、推進は難航するでしょう。
原子力発電には反対のようですが、大前研一氏の論文やYouTubeをご覧になっていないのでしょうか。
平成維新の創始者である大前氏の大切な教えを蔑ろにしていると思います。
大切な教えとは、何も原子力技術のことではありません。
「知的に怠惰になるな」
「真実に目を向けろ」
「権力を批判しろ」
「大衆に迎合するな」
だと私は考えます。
私には、知的に怠惰になり、真実から目を背け、メディアや企業や環境運動家等の権力の主張に無批判に受け入れ、そうした大衆に迎合しているように思えてなりません。