原発再稼働に対する柳田さんの「会員のつぶやき」への回答
東京都文京区 松井 孝司
原発再稼働を容認する私のコメントに対して生活者通信第242号掲載の「会員のつぶやき」で柳田さんから「犠牲になった多くの人の命は誰が償うのでしょうか?」とのご質問を頂きましたので回答させていただきます。
「人間は間違うことが多い」のですが、間違いにより他人に損害を与えた個人、法人は犠牲になった人に償うことが求められ、加害者は損害に見合う賠償の責任を負わねばなりません。
福島第一原発の事故では巨額の損害賠償のために東京電力は実質的に破綻し、政府資金が投入されました。東京電力は福島原発事故による損害賠償請求を幅広く受け付けており「事故から10年もたっているのに未だにきちんとした償いをうけていない」とのご見解は提示された賠償額に満足せず損害賠償請求をつづけている人の主張と思います。
福島原発の事故では病院の入院患者が強制的に避難させられたために多くの犠牲者を出しました。爆発による事故や放射線を浴びて亡くなったのではなく環境の変化と放射線恐怖による心理的ストレスで2500人が犠牲となり「震災関連死」のレッテルがはられました。この犠牲は放射線のリスクがゼロであることを求め環境を厳しく規制する児玉龍彦東大名誉教授らの主張を取り入れた当時の民主党政権の政治判断がもたらしたものです。「放射線はどんなに少なくても危険」と考えるLNT(直線閾値なし)仮説が間違っているのです!
1989年に始まる平成の30年間、日本経済が長期に亙り低迷したのも円高によるデフレ経済を許してきた政策の間違いによるものであり、その責任は日本の政党にあります。
原発ゼロ政策は大量の化石燃料の輸入と使用を必要とするため炭酸ガスの放出を増やし、環境を破壊しながら日本から巨額の富を海外に流出させています。核反応利用による原子力発電は炭酸ガスを出さずエネルギー資源が少ない日本にとって未来志向の付加価値が大きい事業であり原発を再稼働することなく廃炉にしたら巨額の投資資金が無駄になります。原発の再稼働を容認するのは政策の間違いを糾し、日本経済の付加価値を高め成長軌道に乗せるためです。
失敗に学び間違いを糾せば原発事故の再発防止は可能です。二度あることは三度あるといいますが、米国のスリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリの原発は事故後隣接する原子炉の稼働を長期間つづけてきましたが二度目の大事故は起こしていません。
「放射線の風評被害を払拭せよ!」と題する拙稿も併せてご覧いただければ幸甚です。
URL>http://www.seikatsusha.org/toukou/data/tou-2015/tou-15.04.05.htm