イベルメクチンの承認を急げ
東京都小平市 小俣 一郎
あらゆる方策を尽くす
そして2月9日の記者会見で東京都医師会の尾崎治夫会長は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、主に自宅療養者の重症化を防ぐ狙いで薬剤の緊急使用を提言し、海外で重症化を防ぐ効果が示されているとして、抗寄生虫薬「イベルメクチン」などをコロナ感染者らに投与すべきだと強調した。
また2月17日、衆院予算委員会で、立憲民主党の中島克仁議員の「東京都も治験に協力をする姿勢を示しているのだから、国としても早期に(イベルメクチンを)承認できるように治験に最大限のバックアップをすべきだ」との提案に対し、菅首相は、「日本にとって極めて重要な治療薬と思っていますので、最大限努力させていただきます」と前向きに答えた。
ところが、尾崎会長が提言してからすでに1ヶ月以上経つのに事態が進展したというニュースは聞かない。菅首相の「全ての力」とは「最大限の努力」とはどのようなものなのだろうか。
週刊新潮は3月14日号で、「『自宅療養中の急死』も防ぐ特効薬『イベルメクチン』」とのタイトルで5ページにわたって特集を組み、「ノーベル賞の大村智博士が発見したイベルメクチンは世界各地から目覚しい効果が報告され、副作用はないという。日本発の『特効薬』を使わない手はあるまいに」と論じている。そのサブタイトルは「『コロナワクチン』確保失敗でも大丈夫」と刺激的である。
その週刊新潮は3月25日号で再度取り上げ、「『変異ウイルス』でも『第4波』襲来でも『イベルメクチン』で命を守れる」のタイトルで、「世界27カ国、44の論文で新型コロナへの効果が認められ、第4波の防波堤にもなるとして日本でも期待が高まっている。ネガティブな情報もあるが、その裏には命よりカネを優先したと思しき形跡もあり・・・。」と論じている。
副作用がなく簡便で安価で
イベルメクチンは、抗寄生虫薬として世界中で広く使われているが重篤な副作用はほとんどないといわれていて、しかも1回必要な量を飲めばよいと簡便で、特許が切れているので安価とのこと。
新しい薬の大きな問題点はその有効性と安全性だが、イベルメクチンは抗寄生虫薬として既に40億の人に使われているということで安全性にはほぼ問題がない。
イベルメクチンは、現状ではデータが南米や東南アジアに偏ってはいるが、軽症者から重症者まで効果を発揮し、予防効果もあるらしい。軽症者に対するこれといった治療薬がない現状において、尾崎会長が軽症で自宅療養中の方への緊急使用を提言するのももっともである。
なぜこれを早急に承認しないのか
日本には「特例承認」という制度がある。「特例承認」とは緊急性の高い医薬品について手続きを大幅に簡略化し、早期に承認できる法律上の仕組みで、健康に重大な影響を与えるおそれがある病気がまん延し、他に治療薬がない場合に、緊急に使う必要がある医薬品が対象で、他に治療薬などがないことや日本と同じような承認制度がある海外の国ですでに販売されていることなどが条件となっている。
この特例承認はコロナに関しても既に行われていて、「レムデシビル」は米国で緊急使用許可を受けているとの理由で、昨年の5月7日に申請後わずか3日で特別承認されている。なぜイベルメクチンは特例承認されないのか。
イベルメクチンを現段階で特例承認できない理由として、武見敬三自民党新型コロナ対策本部長代理は、「現在承認しているのは一部の国で、日本と同等の承認制度がある海外の国、例えばアメリカやイギリス、EUでは承認されていない」ことや「エビデンスが足りない」ことを上げている。
しかしこの「海外の国ですでに販売されている」という特例承認の前提は、安全性が担保されているかどうかに力点を置いたものではないのか。イベルメクチンは抗寄生虫薬としては日本を含め既に多くの国で使われていて安全性は担保されているのだから、そこはそれこそ特例にすればよいのではないか。そしてコロナ治療薬としても、現に使用され、効果が出ている国があるわけだから、早期に承認して正式に使えるようにすべきではないのか。コロナ禍は未曽有の非常事態なのである。
もし現在の「特例承認」での対応が無理であれば、法律を改正して、新たな例外規定を設けて、イベルメクチンを承認すればよいのではないか。承認の言葉が問題であれば、それこそ「緊急使用許可」にすればよい。
田村厚労大臣は「適用外使用であればいまでも使える」と国会で答弁しているが、それはその使用責任を医師に押し付けた無責任な対応である。このようなときに国が前に出なくてどうするのか。
「製薬利権」が原因?
元国税調査官で作家の大村大次郎さんもイベルメクチンの承認を強く訴えているが、大村さんはご自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の中で、「イベルメクチンは特許も切れていて非常に安価なのです。だから製薬会社にはあまり旨みはありません。ワクチンを製造したほうが、全然儲かるのです。製薬業界を主要な天下り先としている厚生労働省としても、好ましいことではないのです。」と、イベルメクチンがなかなか承認されない原因として「製薬利権」を上げている。
もしそうでないのであれば、疑念を晴らすためにも、厚生労働省は至急承認すべきだろう。
週刊新潮3月25日号でも、イベルメクチンが安価なために利益にならないのでイベルメクチンを製造している製薬会社自体がその製造に消極的なことが大きく取り上げられている。私企業では私企業の論理が優先されるのは避けられない。だからこそ、増産要請等も含めて、国が前面に出て対応する必要があるのではないか。
首相はリーダーシップを発揮せよ
3月18日に首都圏の緊急事態宣言を21日に解除することを決定した。そして菅首相はその記者会見で「国も自治体と一丸となって、できることは全てやり抜きます。世界でもまだ戦いは続いています。その中でも、1年間という時間でわかってきたこともあります。そして何よりも、ワクチンという武器があります。一進一退があっても、必ず先には明かりが見えてきます。そうした思いで私自らが先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟を持って、全力で取り組みます」と発言した。しかしイベルメクチンへの言及はなかった。
できることは全てやり抜くのであれば、なぜイベルメクチンを積極的に使用しないのか。1年間という時間でイベルメクチンの有効性がわかってきたのではないのか。ワクチンは重要な武器だが副反応にも接種体制にも不安がある。一方、イベルメクチンは安全であり簡便である。また、イベルメクチンは予防にも効果があるという。ならば、ワクチン接種と両輪で、コロナ禍は大幅に改善されるのではないか。出口の見えない現状にそれこそ明かりが見えてくるのではないか。
薬は人によって効果が違う。効く人もあれば、効かない人もあるだろう。しかし、たとえ10人に一人であっても、イベルメクチンによって症状が改善する人がいるのであれば、国が積極的に動くべきではないのか。少しでもそれで救える人がいるのであればそれは行う価値がある。
東京都では緊急事態宣言にもかかわらず新規感染者数が下げ止まりの傾向にある。ならば、東京都医師会の尾崎治夫会長が緊急使用を提言しているのであるから、国の主導で、国の責任で、東京都と協力して、東京都で大胆に使用してはどうか。
国は一刻も早くイベルメクチンを承認、あるいは使用を許可し、その使用を強力に推進すべきである。「私自らが先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟を持って、全力で取り組む」のであれば、菅首相がそのゴーサインを出すべきだろう。首相のリーダーシップが必要である。