不正入室、地震計の故障、防護設備の機能停止・・・

 

東京都小平市 小俣 一郎

 

 

今年の2月8日、原子力規制庁は、昨年の9月に東京電力柏崎刈羽原発で原発中央制御室への不正入室があったことについて経緯を明らかにした。自分のIDカードが見つからなかった社員が、無断で別社員のカード持ち出し、途中、警備担当が疑念を持ったり、IDカードの認証が複数回エラーになるといったことがあったにもかかわらず通してしまい、その社員は中央制御室に入室できたという。

また2月22日、東京電力は福島第一原発3号機原子炉建屋内に設置した地震計2台がいずれも故障していたにもかかわらず、半年以上放置されたままで地震データの記録がなされていないことを発表した。2月13日の夜に福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生したが、当日地震計は故障しており、正確に建屋がどれだけの震度の揺れを受けたのかもよくわからない状態であったことが明らかになった。

 さらに3月16日には、柏崎刈羽原発で核物質防護設備の一部機能が停止し、不正侵入を検知できなかった恐れが新たに発覚。原子力規制委員会から「組織的な管理機能低下」を指摘された。

 

 松井さんは、会報240号で「福島原発の第1〜4号炉の爆発事故は設計ミスによる人為的なものであり、設計ミスを修正し停電対策の不備を直せば日本全国の原発を再稼働しても福島第一原発のような大事故は二度と起こらないでしょう。」と主張され、また243号では「失敗に学び間違いを糾せば原発事故の再発防止は可能です。」とも主張されています。

しかし、上記の出来事でもわかるように、人間は間違った行動をするし、失敗に学ばないことも多々あるのです。あのような大事故を起こしたにもかかわらず東京電力は間違いを繰り返しています。残念ながら人間は間違ったことをするのです。人災による事故の可能性は永遠になくならないのです。

もちろん、そんなことを言っていたら何もできないし、たしかに「間違いを修正しながら人類は進化して」きました。しかし、原発の事故はそれが発生したときの被害が、あまりにも、あまりにも大きいのです。3・11より10年が経ちましたが、福島の現状がそのことを如実に示しています。

しかも、日本は地震大国であり、火山大国であり、台風等の被害も多く、まさしく災害大国なのです。それがいつ起こるか、どのくらいの規模か。それは人知の及ばないところです。しかし、遅かれ早かれ必ずやってくるのです。それが日本という国の宿命です。そして近年、災害はどんどん巨大化しています。

ですから、原発はやめましょう、何らかの理由ですぐにとめられないのであれば、至急対応策を探し、対策を施し、できるかぎり早く原発をなくしましょう、というのが私の考えです。松井さんの反論で考えが変わることはありません。