太陽光発電に関して計算してみました(その2)
東京都東村山市 日笠山 泉
前述の「太陽光発電に関して計算してみました」では、バッテリやパワーコンディショナ(バッテリチャージャ、インバータ)による損失が5割として算出しました。この数値は手元の機材で実際に計測して求めたものです。使用したものは、
ディープサイクルバッテリ ACDelco製 M31MF
バッテリチャージャ ACDelco製 AD-2002
正弦波インバータ 中国製 500W
LED照明 中国製 30W
x 2台
積算電力計 サンワサプライ TAP-TST8N
使用したバッテリは、車のバッテリと異なり、太陽光発電等にも利用しているディープサイクルタイプで、比較的流通している低価格のモデルです。これにAC100Vですが専用のバッテリチャージャを選択しました。
また、負荷には正弦波のインバータと誘導負荷ではないLED照明を選択しました。
この12Vのバッテリは20時間率が115Ah(25℃)です。115 / 20 x 12 = 69W、これ以下の負荷が望ましいので、30WのLED照明 x 2台としました。
計測前にフル充電した後、60W負荷で放電終止電圧10.5Vになるまでの積算電力を計測します。負荷側は1.15kWhでした。次にフル充電までのバッテリチャージャの積算電力を計測します。チャージ側は2.08kWhでした。1.15 / 2.08 = 55.3%の効率となりました。実際には経年変化による損失がありますし、他の製品を使用すればまた異なる数値が出ると思われますが、効率は約5割で算出して問題ないように思われます。
産業用の電力は安定性が重要です。2019年の東京は6月27日から31日間連続で雨天でした。この数値を基に、天候の影響を受けない容量を算出します。1uあたり16.13Whでしたから、31日間必要な容量は、16.13 x 24 x 31 = 12,000Whとなり、12V 115Ahのバッテリで効率50%として換算すると、12,000 / (12 x 115 x 0.5) =
17.39 なので18個分となります。このバッテリのサイズは、33.0
x 17.3 x 23.7[cm]ですので、0.33 x
0.173 x 0.237 x 18 = 0.24㎥となります。太陽光パネルの下面全面に厚さ24cmのバッテリが付くイメージです。
プリウスPHVのリチウムイオンバッテリーでも計算してみました。諸元に容量8,800Whとありますから、12,000 / 8,800 = 1.36個分です。つまり、全国全ての1uの太陽光パネル1枚につき1.36個のプリウスバッテリが必要になるということです。現状のエネルギー効率では、安定した産業用電力向けの太陽光発電が難しいのが容易に想像できます。