<Vol.3>
━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成17年2月1日 Vol.3━━
台湾立法院選挙の分析
生活者主権の会 吉井正信
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2004年12月11日台湾において定数半減前の最後の立法院
選挙が行われました。現定数225名は2007年度から113名
に半減されます。選挙結果はご存知のように野党連合が114議席
を獲得し過半数を取り、与党連合は101議席で、無所属10議席
となりました。投票率は59.16%で史上最低でした。
与党連合は陳水扁総統と李登輝前総統が率いる本省人(1945
年以前から台湾に住んでいる人たち)中心で編成され、連戦国民党
主席らが率いる外省人(第2次世界大戦後に蒋介石将軍らとともに
移住してきた中国本土の人たちとその子孫)中心の野党連合に比べ
ますと、人口比では8:2で圧倒的に有利です。台湾の現在の人口
は約2200万人。ではなぜ与党は敗北したのでしょうか。
今回の選挙を左右した問題は次の3点だと思います。
1.中国本土との関係
2004年5月に再選された陳総統の公約に、2006年までに
新憲法草案を通し、2008年に発行させたいとあります。現憲法
は1916年に孫文の三民主義を根拠にしています。台湾のみを統
治している現状には合いません。しかし中国はこの改憲を独立志向
と捉え反対しています。野党連合は最終的には統一志向なので、改
憲には反対です。
2.経済問題
陳政権誕生以来台湾の株価は低迷しています。少数政権のため、
思うように政策を遂行できないため、常に後手に周り不良債権の処
理などもようやく一段落した。1987年に戒厳令が解除されるま
で、中国本土への直接投資は禁止され、香港経由の間接投資が主体
でしたが、反骨精神に富む台湾人は政府の目を掠めて直接投資を続
け、ついには政府のお墨付きをいただくことになりました。そして
現在は家族も含めて約200万人の台湾人が大陸で経済活動をして
いるといわれています。
3.アメリカの影響
「(中台)統一が望ましい」「台湾に主権がない」。最近中国を訪問
したパウエル国務長官はこのように言明しています。その後トーン
を和らげましたが、基本的にはアメリカは台湾海峡の緊張を望んで
いません。今回の選挙結果に米国は安堵しています。そして台湾国
民も選択に苦慮しています。経済を優先させるべきか、独立を進め
るべきか。
以上のような諸要因の中で行われた立法院選挙でしたが、国民は
中国本土に対しては経済を最優先させる道を選んだのではないでし
ょうか。台湾は世界第16位の経済国、世界第14位の輸出国であり、
外貨準備高は世界第3位であります。経済状況は確かに厳しいが、
国民の生活は裕福で安定しています。冒険はしたくないのが本心で
しょう。それが史上最低の投票率に現れています。「まずは現状維
持」と考える安定志向の台湾住民には与野党双方とも選びにくく、
結果として組織力に勝る国民党が勝ったのが実態でしょう。経済的
発展がすべてに優先するというのが世界の共通点であります。残念
な点もありますが、これが現実だと思います。
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