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<Vol.13>

━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成17年7月1日 Vol.13━

通過点としての政権交代 

                   生活者主権の会 小俣一郎

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 政府税制調査会の報告書が6月21日に公表され、各種控除につい
て軒並み縮小・廃止の方針が打ち出された。いよいよ増税時代が始
まろうとしている。

 いまや国と自治体の借金は、国債・地方債という誰の目にも明ら
かなものだけでさえ合計で700兆円を超えている。加えて他にも
莫大な負債が隠されているとも言われる。これは他の先進諸国と比
較してあまりにも異常である。そもそも政治の根幹は、集めた税金
を公共のために有効に活用することである。いまはその根本のとこ
ろがおかしくなってしまっている。

 ところが、国民の危機意識はいまひとつ希薄である。増税が本格
化するのはこれからで、多くの人の懐がまだそれほど痛んでいない
のがその理由かもしれない。しかし、遅かれ早かれ、どのような形
かは別として、いつかは国民がその痛みを背負わなければならない。

 ここで大きな問題は、現在の政権党である自民党が、小手先でな
い、抜本的な方策を打ち出すことができるのか、ということである。

 戦後の廃墟から復活した日本は、世界でも屈指の経済大国となっ
た。国民は、多寡はあるが、一様に豊かになり、その9割が中流意
識を持つまでに至った。まさしく大成功であった。そしてその成功
の原動力となったのが中央集権システムであり、右肩上がりの経済
の中、所得が向上する過程で生じた格差を是正するためにも中央集
権型の分配政治はうまく機能した。物が不足していた時代には、そ
れを広く分配することが美徳でもあった。

 しかし、バブル崩壊を境に日本経済は激変した。日本はバブル期
に量的な豊かさを極めてしまったといっても過言ではない。基本的
には物が行き渡ってしまったのである。そしてその崩壊とともに、
豊かさが量から質へ、画一から多様へと変化を始めた。

 価値観が、社会が変化をし始めたのだから、当然政治のシステム
もそれに合わせて変化させるべきであった。しかしバブル崩壊後も
それまでの成功パターンは続けられた。だが、それで景気が回復し、
税収が回復することにはならなかった。結果今日の巨額の負債を抱
えることとなった。

 小泉政権が国民の絶大な期待を背負って登場したのは、自民党を
「ぶっ壊す」、つまり、これまでの流れを変えることをうたい文句
にしたからだ。戦後の高度経済成長を実現した、安心感のある自民
党が、自ら脱皮をして、新しいシステムに変えてくれたらこれほど
いいことはない。国民は最高の支持率という形で小泉内閣を支援し
た。

 「地方でできることは地方で」「民間でできることは民間で」と
実に歯切れのよい、また、的を射た言葉を小泉さんは多用する。大
きくなり過ぎた中央は無駄を生み出し、また地域の創造性を奪い、
依存体質に変えてしまった。財政破綻を避けるためには、その言葉
の通り、地域や組織が自立し、地域や組織が身の丈に合った支出を
行っていくしか方法は見当たらない。

 しかし、官僚組織と二人三脚で、中央集権システムに乗って分配
を基本とした政治を行ってきたのが自民党なのである。戦後60年
に亘って築いてきたシステムはそう簡単に変えられるものではない。

 郵政民営化を始め、いまでも巧みな話術で改革を打ち上げる小泉
さんの姿勢は、少なくともマスコミに現れる表面的なところでは変
わっていない。それがこれまでの他の内閣に比べてなお高い支持率
を維持している理由であろう。

 しかしこの4年間、小泉さんは自民党を、国を改革することがで
きたのであろうか。「三位一体」の改革は遅々として進まず、財政
赤字も一向に改善する兆しは見られない。それは肝心の中央集権シ
ステムにまだ本格的なメスが入れられていないからである。そして
メスを入れた瞬間に、これまでの自民党は、まさしく「ぶっ壊れて」
しまう。言葉ではともかく、現実には小泉さんといえども、自民党
を解党的方向に導くことはできないのであろう。

 問題解決のカギは中央集権システムからの脱却ある。だとすると
選択肢は「自民党以外の政党に政権を委ねる」しかない。つまり、
「財政が崩壊する前に自発的に政権交代を選択する」か、「あまり
の増税、あるいは、財政崩壊により国民の支持を失い、結果的に政
権交代が実現する」かのいずれかになる。

 民主党がどのくらいの力を発揮するかということは未知数である。
しかし、マニフェストを作る過程を経て、より具体的な政策を打ち
出している。また、候補者も単独で過半数を獲得できる数を擁立し、
比例区では自民党を凌駕するところまできている。

 ともかく、自民党が対処できない以上、民主党に任せるほかには
選択肢がないのである。これは避けては通れない『通過点』である
とも言える。

 自民党は、政権党であることでまとまっている党である。それが
多様な人が結合している要因であるから、政権党である限り割れる
ことは考えにくい。民主党は、自民党と対抗して政権を争うために
多様な人が結合してできた党である。よって自民党の動きに連動し
て大きく変化する可能性を持つ。

 もちろん、民主党が有効な政策を打ち出し続けることができれば
長期政権党に脱皮する可能性もある。しかし、自民党が政権を離れ、
中央集権という楔から解き放たれたときは、自民党が大きく変化す
ることが予想され、それが民主党にも影響して、これまでにはない
新たな動きが起こることも十分に考えられる。

 戦後60年の成功体験である「中央集権システム」という膿を出
し切るしか日本再生への道は浮かんでこない。そしてそれには政権
交代が必要である。

 後は「国民が自発的にそれを選択し、前向きに対処するのか」あ
るいは「黒船が来てから慌てて、場当たり的に対処していくのか」
どちらを日本国民が選択するかである。


「筆者・小俣一郎氏関連のHP」
http://netdemocracy.kt.fc2.com/
http://homepage3.nifty.com/ne/ne/omata/
http://homepage3.nifty.com/ioio/manifesto/

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