2004年は、日露戦争開戦100周年に当たる
が、ここで興味を引かれるのは、当事の戦費と国家
予算の比率である。ご存知の通り、日露戦争の最終
局面で日本側は、砲弾すら事欠く財政破綻ギリギリ
の状態であったことは、よく知られている。
日露戦争の戦費は、19億5000万円で、当時
の国家予算は2億5千万円から2億9千万円であっ
たので、2億5千万円で計算すると、国家予算の約
8倍に当たる。
今の日本の国債発行残高と国家予算の比率もそれ
とほぼ同じである。さらなる類似点は日露戦争後に
大変な金融危機と不況が訪れている、つまりなべ釜
までつぶして戦争を遂行した結果、拡大再生産がで
きなくなったのである。
今の日本の財政状況は、財政投融資(郵便貯金と
年金の掛け金)の焦げ付きを合算すると、借金の合
計は恐らく800兆円程度になるのではないか、真
に日露戦争を2回戦った訳だ、長らく景気対策とい
う美名のもとに、土建戦争を戦っているうちに、ア
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メリカは、金融、通信、バイオ、ITなどの次世代
産業に移行してしまった。
万里の長城や阿呆宮の建設で知られる、秦の始皇
帝以来の大判振る舞いである。
なぜ優秀といわれてきた日本人がこれほどまで従
来型の公共投資にのめり込んで自滅の道を選んでき
てしまったのだろうか? なぜ既存の産業・企業の
保護に全力を上げて、新たな産業育成に重点を移さ
なかったのか? 国家のリーダーとも目される政治
家、官僚、大企業経営者のモラルの劣化はなぜ起こ
ってしまったのか?
日本社会の最大の問題点は、既得権益が強く、
その既得権益を打ち壊す役割を与えられている世代
も自己保身の為か、社会を変革する力となっていな
い。
明治維新や戦後のように、日本が徹底的に変革せ
ざるを得ないガケ淵に追い込まれて始めて追放とい
う強制力が働くのであろうか、何ともダメージの大
きい話だ。
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