生活者主権の会生活者通信2002年10月号/10頁..........作成:2002年09月28日/杉原健児

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活動方針「高速道路無料化の推進」について

生活者主権の会代表 岡戸知裕

   〜生活先進国が日本を変える〜 
■ 現況                   
 日本の高速道路は全額料金収入により建設されて
います。                   
 自動車保有者は、この高速料金の他に道路建設目
的税であるガソリン税(48円/L)や、自動車重量税
等を含む自動車関係諸税(年間10兆円)を負担して
おり、長らく二重負担を強いられてきました。  
 さらに、高速道路に運賃プール制を採用したこと
により、地方の不採算路線の赤字を東名や名神など
償還が終わった路線が負担し、今後赤字路線の建設
が進むと、さらに値上げを余儀なくされてゆく状況
にあります。                 
 これは、かつての国鉄と同じで、地方の政治家に
よる赤字路線建設が進められてきたことと、法外な
建設費による結果が現在の高額な料金体系の原因に
なっています。                
■ 無料化は可能か?             
 二重負担問題にからむ、自動車取得税と自動車重
量税、それに臨時措置として倍額に増額されてきた、
ガソリン税の半分を使用すれば、年間3.3兆円 
(99年度)に及ぶ金利と償還費用にあてることがで
き、無料化が可能になります。         
 年間の道路建設費12.9兆円(99年度)の25%を
高速道路に廻せば良いことになります。25%減額
しても、今までと同じ距離をコストダウンにより建
設することは、充分可能です。         
 これによる経済波及効果は莫大なものがあるとい
うことは言うまでもありません。        
 物流コストの低減、人と物の自由な往来が可能に
なり、地方の観光資源の活性化にも繋がります。こ
れが内需拡大による景気の回復です。      
 今の民営化推進委員会の論議はこの点に全くふれ
ていなのが、不思議と言わざるをえません。   
 但し、無料化は、交通量の増加に繋がりますので、
ガソリン税を環境税として自動車のエネルギー転換
を図るよう誘導してゆく税制にすべきと考えます。
 皆さんのご意見をお待ちしております。    

活動方針「高速道路無料化の推進」に反対します

文京区 松井孝司

 生活者通信9月号(第85号)に掲載された本年
度活動方針の一つ「高速道路無料化」は無責任なば
ら撒き行政そのものであり、反対します。    
自民党の道路族議員による「高速道路のあり方に関
する検討委員会」は「道路は無料開放が原則。利潤
追求を目的とする永久有料制は不適切」とし、猪瀬
氏らの高速道路民営化方針に反対していますから、
当会の活動は自民党道路族のお先棒を担ぐことにな
ります。                   
 「高速道路」と「一般道路」は明確に区別すべき
であり、市民生活に密着する一般道・国道への税金
投入と無料化はやむを得ませんが、利用目的が限定
される高速道路の無料化は受益者負担の経済原則に
反するものであり、既得権化している道路族の存在
を恒久化し、採算無視による税金の無駄遣いを正当
化するものです。               
 都内には消防車も入らない劣悪道路が充満してお
り、防災上からも早期の改善が求められますが、道
路拡幅には巨額の税金が必要です。ガソリン税など
の自動車関連諸税は高速道路には投入せず、一般財
源化・地方財源化し一般道路の拡幅や国道の整備、
自動車による環境破壊を回復するための事業に使用
すべきでしょう。               
 経済的観点からみれば、「高速道路」は長距離・
高速輸送の「鉄道」と競合するものです。高速道路
を無料化すれば、民営化で借金を背負いながらも利
益を出すようになったJRの経営を圧迫し、JRに再び
税金投入を迫られる可能性さえあります。    
 過日脱線転覆の大事故を起こした米国のアムトラ
ックは他山の石とすべき税金投入の事例です。米国
の鉄道はすべて民営であったのに、自動車輸送に敗
れて国有化され、アムトラックには赤字補填のため
毎年連邦政府から巨額の補助金が投入されています。
 今や世界の優等生になったJRを見習って、アムト
ラックを再び民営化しようとしても、日本の道路族
に似たアムトラックのロビイストが出現し、ロビイ
ストと労働組合が結託して民営化を阻んでいます。
道路に税金を使うのなら、鉄道にも税金をつぎ込め
という論拠には説得力があります。こうして米国の
アムトラックは無料で使用できる高速道路の犠牲に
なり、政府介入による救済で非効率と税金無駄遣い
の温床と成り果て、利用者を減らし、税金を喰う官
僚、ロビイスト、労働組合などを養育するための組
織になってしまったのです。          
 国有企業の事例を見るまでも無く、費用対効果を
無視する経済社会は例外なく弱体化します。無料化
で成り立つ公教育も質の低下が著しく、公教育に寄
生する職業集団を殖やし、財政を拡大させています。
無料化の付けは大きいことを学ぶべきです。   
小さな政府を志向する米国の建国精神は年々薄れ、
テロ以後ブッシュ政権は強い国家を目指して財政を
拡大させていますが、大きな政府は社会主義・共産
主義国家と同様、財政を悪化させ、国家と通貨を弱
体化させることは間違いありません。言うまでもな
いことですが、日本の現状は米国以上に悲惨であり、
大きな政府を志向する政策・活動にはすべて反対す
るのが生活者主権を目指す当会の選択すべき道と考
えます。                   

生活者主権の会生活者通信2002年10月号/10頁