今回のイラク攻撃問題や北朝鮮問題は、日本人が
安全保障問題の捉え方について考える機会を与えて
くれていると思う。
戦前は、人が何人死のうがお構いなしで(私の父
親はインパール作戦という実に無謀極まりない作戦
に従事しており、恐らく死亡率は80%以上ではな
いか)、中国で誰が早く千人切りを達成するかとい
うコンペまで行っていた、戦後は、戦争は怪我人が
でるから一切だめという変わりようで時計の振り子
が右端から左端へ(又は東条英機から土井たか子へ)
極端に振れている、ヒトラーもスターリンも振り子
の右と左だが、両者は共に全体主義という亡国思想
の持ち主だ。
正しい答えは、振り子が真ん中にある状態つまり
現実主義だろう。
私は、日英同盟の廃棄が戦前の日本が漂流しだし
た、一つの転換点であったと思う。第一次大戦中、
日英同盟により英国は日本に欧州への参戦を要請し
たが、日本にとってメリットが少ないという判断か
ら駆逐艦を地中海に派遣した程度で済ませ、日本に
メリットのある遼東半島のドイツの租借地、青島を
攻撃占領したに過ぎなかった。そしてドイツの信託
統治領であった南洋群島の取得は、米国のフィリピ
ン防衛の脅威ともなり欧米からの不信感を一層増幅
させた。
一方、米国は英国の参戦要請に応じて、ワシント
ン大統領以来の米国の伝統であった孤立主義を捨て
欧州戦線に参戦し、多くのアメリカの若者の血を流
しながら大戦を勝利へと導いた。第2次大戦も米国
の参戦によりヒトラーのドイツを駆逐することがで
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き、その点をブレア首相は今回のイラク攻撃参加へ
の一つの重要な論拠としている。
今正に北朝鮮の脅威が日本にもたらされている現
在、日本単独で事に当たれば、年間5兆円の日本の
防衛予算(米国は45兆円)ではとても済まないだ
ろうし日本の核武装も迫られるような事態になるか
もしれない。
すでに冷戦が終わりを告げ、日米安保も冷戦時代
の形見のような存在となり、米国におんぶに抱っこ
の保障を期待する時代はすでに去っている。冷徹に
考えれば、果たして米国は本気で日本を北朝鮮から
守るメリットがあるのかということだ。日本が自分
の都合を貫けば米国も同じ立場が取れるということ
だ。
米国にとって、米国本土にミサイルが落ちるのは
確かに困るが、日本に落ちてもそれは日本の問題だ
で済ませることもできる。花台のミサイル基地は東
京に照準を合わせているそうだ。
自衛隊も三菱重工の為に存在しているようなもの
で、日本人の生命と財産を守るような存在では残念
ながらない、その良い例が阪神大震災だ、国内の地
震にも対処できない組織が、外国からの奇襲に対応
できるわけがないし、いったん拉致されたら、処刑
されるか、一生帰ることができないことを覚悟しな
くてはならない、それがこの国のまか不思議な安全
保障なのだ。
日本の防衛論議も子供の発想から抜け出し振り子
を真ん中に戻すことが肝要で、あまり国際関係を難
しく考えず、普通の人間関係の中で置き換えて考え
れば自ずと答えが見つかると思う。
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