生活者主権の会生活者通信2003年09月号/07頁..........作成:2003年09月24日/杉原健児

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マニフェストご決定への要望事項

生活者主権の会道州制実現推進委員会委員長 平岡昭三(TEL/FAX 042-782-0002)h.15.8.1.

民主党ネクスト・キャビネット関係各位
(一)新聞報道によれば、8 月中にマニフェストを
 決定し、発表される由、大変結構なことと存じ上
 げます。つきましては、一言、要望を申し上げま
 す。マニフェストの項目は、30〜50とかなり多い
 由でありますが、之は有権者の関心が多方面に亙
 りますことと、キャビネット全関係者の要望事項
 を多く織り込めば、ある程度多くなることは、已
 むを得ないと思います。しかし乍ら、反面、焦点
 もぼけるわけでありますから、なるべく項目を厳
 選し、極力絞り込むことも肝要かと存じます。 
(二)何と言いましても、一番大事なことは、政策
 公約の根本理念がどこにあるか、ということを、
 先ず簡明に示す事であります。夜店のバナナ売り
 の如く、項目を並べたてるだけでは、与党と変り
 ありません。自民党には之之故に出来ないが、民
 主党にだけは、之之故に可能だ、という根本理由
 の冒頭明示が不可欠であります。それによっての
 み、マニフェストの諸項目が、生きて来るのであ
 ります。                  
(三)それは言うま迄もなく、之まで数十年間、こ
 の国に充満している数百数千の諸悪が、全て100%
 洩れなく、長年の自民党による過度の中央集権政
 治によるものであること。この集金集票システム
 を根絶しない限り、この国の政治・経済・社会は、
 決してよくならないこと。          
  自民党にとっては、このシステムの根絶は自殺
 行為であり、いくら小泉氏が構造改革を称えても、
 決して実現できないこと。          
  一方、民主党は、このシステムに全く依拠して
 いないから、政権さえ取れたら、即日、中央集権
 制を廃止できること。そして代りに、地方分権を
 完全なものにし、10年以内に道州制を実現し、諸
 悪を総解消し、政治・経済・社会の再生と豊かで
 安全な国民生活を保証できること、であります。
(四)道州制実現の公約は、既にH.15.7.1. の党大
 会で配布された民主党政策パンフレットに明記さ
 れております。しかも、第一章第一項の最重要根
 本政策となっております。このことを先ず、マニ
 フェストの第一章第一項に堂々と、音吐朗々、勇
 気をもって明示し、信を問うべきであります。 
  そうしなければ、之らの公約は全て嘘になりま
 す。之までの如く、「有権者に分かりにくい」等
 と言って道州制を説かないのであれば、それは敵
 前逃亡であります。真の改革は、道州制によって
 のみ可能になるのでありますから、先ず之を説く
 べきであります。              
(五)又、細かいマニフェストも結構ですが、「プ
 レス民主」5 月9 日号で、岩見隆夫毎日新聞特別
 顧問が、「民主党は、よって立つタイトル、柱を
 明確に発進せよ」と言っております。更に、Disc
 ussion Journal「民主」4 月号でも、カーチス教
 授が菅代表に「選挙に勝つには、解り易い政策の
 トップ・プライオリティを三つに絞れ」と言い、
 菅代表も大賛同しております。之等は、心ある有
 権者・マスコミの斉しく痛感する処であります。
(六)以上ご参考まで。之をやらねば絶対に勝てま
 せん。乱文乱筆深謝、ご健闘を祈念します。草々

私の薦めるこの1冊「日本よ、森の環境国家たれ」
(安田喜憲著;中公叢書)

埼玉県所沢市 河登一郎

・著者は「環境考古学」と云う新しいジャンルの学
 者である。彼は1970年代、中国長江中下流で
 黄河文明以前の遺跡の発掘に参加したことをきっ
 かけに、人類史についてユニークな視点を提供し
 ている。                  
・著者によれば、人類は (1)家畜の民(動物文明)
 と (2)森の民(植物文明)に2大別できる。従来
 の狩猟民族と農耕民族と重なる点もあるが、視点
 は全く異なる。               
・「家畜の民」とは欧米、中東、中国など家畜を飼
 ってその肉を食い、ミルクを飲む。比較的乾燥地
 帯に住み、厳しい自然の中で一神教が多く、異教
 徒には不寛容。他民族との接点では他人を信用せ
 ず、金属製の武器が発達する一方契約制度が進歩
 し、合理性を重視、科学を発展させた。農業は麦
 が中心。森を焼き払い、人口の林、牧場、農地と
 し、自然を人間のために改造した。自然を利用し
 尽くすと次のフロンテイアを求めた。戦闘能力に
 も長け、後述する「森の民」を世界各地で征服し
 た。遺伝子操作やクローン人間などの発想はその
 延長である、と説明する。          
・一方「森の民」とは、長江文明を発達させた民族
 (「家畜の民」たる漢民族に追われて雲南地方な
 どの少数民族として残っている)、インカ・イン
 デイ オ、古代ヨーロッパのケルト・ゲルマン・ギ
 リシャなど、南太平洋諸国民、それに我が縄文人
 (元来「家畜の民」だった弥生人も自然豊かな日
 本列島で「森の民」に変質して行った)である。
 彼等は森と自然の恵みの中で生活し、自然の循環
 の中で自然と共生して暮らした。生活実感の中で
 自然の再生を信じ、自然崇拝、アニミズム、八百
 万の神々…が共通の宗教観である。自然の一部で
 ある人間を信じて寛容、縄文時代には人を殺す武
 器さえ存在しなかった、と云う。       
・歴史上、この両者の接点ではその生きざまの違い
 から、「森の民」は「家畜の民」に征服され、こ
 れに隷従を強いられてきた。ほぼ唯一の例外が、
 海に守られいくつかの僥倖に恵まれて独自の文明
 を発展させた日本が「森の民」の生きざまを残し
 ながら「家畜の民」と互角の物質文明を築いてき
 た、と分析する。              
・しかし、全体として「家畜の民」の優位性は圧倒
 的だから、このままでは21世紀は「家畜の民」
 の世紀となり、有限の地球にはもはやフロンテイ
 アはなく、人類は破滅しか残っていない。これを
 救う唯一の方法は日本人が、戦後その多くを放棄
 してしまった「森の民」としての生きざまを自然
 との共生の中で再現し、世界に広めて行くしかな
 い、と結論ずける。             
・環境考古学という新しいジャンルだけに素人の私
 でも指摘できる若干無理な論理も散見されるが、
 大きな流れの中で首肯させられる点の多い、魅力
 的な視点がある。実例も豊富。        
・環境問題に関する情報は残念ながら日本は欧米諸
 国から圧倒的に入超だが、当会議でこの本を英訳
 し、日本からの視点として発信しては如何だろう。
・これに対するキリスト教やイスラムからの反論も
 大いに期待したい。             

生活者主権の会生活者通信2003年09月号/07頁