イラクへの自衛隊派遣に関する反対意見が聞かれ
ますが、その反対意見への反論を下記に様にまとめ
てみました。
反論の主要なポイントは以下の様にまとめられる
と思います。
1)自衛隊、及び日本本土がテロの攻撃対象になる。
2)“アメリカのポチ”論 米国追従拒否論。
3)大義なき戦いである、大量破壊兵器が見つかっ
ていない。
4)米国の国連無視、一国主義にはついてゆけない。
5)米国の中東政策の根本的な誤りである。
パレスチナ問題が原因でイスラエルよりの政策
をとってきた米国に責任がある。
6)日本の石油輸入の90%が中東からであるが、
イラクの石油輸出が止まっても問題ない。
【反論】
1)自衛隊及び日本本土がテロの攻撃対象になる。
これはまさに金正日やビン・ラディンの思うつ
ぼで、これは全くの逆効果になることは、歴史も
証明している。単純な話、オウム事件の時に話合
いで解決がついたのか日本の実例をみても明らか
でテロ集団との妥協など成立するはずがない。警
察力または軍事力の行使以外解決の手段がないの
は明らか。
最近のリビアのカダフィ大佐の変化が良い実例
で、北朝鮮にも送金停止などを含めて圧力をかけ
る必要がある、この点は拉致被害者の家族も同じ
意見であることに興味を引かれる。
送金停止と船舶入港拒否の解除は拉致犠牲者を
すべて返還してからという条件を、北朝鮮に提示
することが解決への早道だと思う。但し、米国の
強力な軍事力の背景なくして達成できないし、強
硬なブッシュ政権の存在があるうちに取りえる方
策とも思う。或る意味では返還のための最高の環
境が整ったとみるべきだろう。
2)“アメリカのポチ”論、対米追従拒否論
であれば安保を解消して日本独自で防衛体制を
構築する気構えはあるのかと問いたい、かまたは
全くの丸腰で国民の生命と財産を守ることができ
るのかということだ。
米国におんぶに抱っこの時代は終わり、これか
らはイコールパートナーして対等な付き合いが必
要だが、同じ民主国家として価値観を共有するこ
とが肝要だ。
パックスアメリカーナの時代は21世紀も続く
と誰しも認めているが、米国に次ぐ経済規模を持
つ日本が米国と同じ民主国家として世界に対して
責任を分担してゆく姿勢が望ましい。
どぶ掃除はアメリカまかせで、資金だけ出すと
いうような従来のやり方では米国ともまた世界と
も良好な関係を維持することはできない。
歴史的にみても、日英同盟の廃棄が日本の漂流
に繋がったように、日米同盟が日本の繁栄の源で
あることは、歴史も証明している。
第一次大戦当事英国より欧州への派兵を要請さ
れたが、駆逐艦を地中海に派遣するのみに留めた、
(米国は欧州に参戦)一方遼東半島に出兵しドイ
ツの租借地青島を占領した。
結果英国の日本観は自分の利益にならないこと
はやらないという評価に繋がり、日本が孤立して
ゆくきっかけを作った。
最も重要な要素は、米国の世論だ、米国の大統
領も世論を無視できない、ソマリアの内戦で米国
兵士の死体を民衆が引きずりまわす映像が米国国
内で流されて一気に米国世論が派兵反対に動いた
ことは記憶に新しいし、これがボスニア内戦への
介入が遅れ、多くの虐殺が見過ごされてきた結果
ともなっている。また古くは先日他界した蒋介石
夫人が米国国内を巡回して有名な反日キャンペー
ンを展開したが、これで米国世論が一気に中国寄
りに傾斜していったという歴史的事実もある。
いまのところイラク撤兵という世論は米国では
起こっていないし、一応フセインの拘束で大統領
の支持率も上がっているようだ。
次に国益という観点からみると、現在日本車の
米国における市場シェアが30%を超える異様に
高い数字となっている、これが日本異質論の台頭
やイラク派兵拒否ということになれば、シェア維
持に赤ランプが点滅するような事態も否定できな
い。自動車企業の決算を見ても、みな北米市場で
の好業績が大きく影響しており、北米市場が不調
ということになれば、株価7000円割れなど大
きな影響が及ぶ可能性も否定できない。結論的に
言えば現在の英国と米国のような関係が好ましい
が、日本の国益を考えたなら基本的に二人三脚的
な親密な関係が望ましいと思う。
安保条約は片務条約だが、イラクには行かない
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が、北朝鮮問題では協力してくれでは常識として
通らない。すでに米国のネオコンからは国連や同
盟という関係は、米国の安全保障という観点に照
らして頼りにならないという言動が出始めている、
但し、これが米国を代表する意見ではないが、そ
ういった意見も出始めているということには留意
する必要がある。
対米追従拒否論というのは、伝統的に戦前から
あったもので、近衛首相がいっていた英米を中心
とする和平に反対だとか、徳富蘇峰が言っていた
ような、世界にはびこるアメリカ主義には反対だ
とか、そういった嫌米感情が太平洋戦争に繋がっ
ていったということも忘れてはならないと思う。
小さなボタンの掛け違いというものが、徐々に溝
を大きくしてゆくということはビジネス社会でも
よくある事例である。最後に国益の定義であるが、
日本の安全と経済的な繁栄としたい。
3)大義なき戦い、大量破壊兵器が見つかっていな
い。
そもそも大量破壊兵器がないという証明を求めら
れていたのが、サダム・フセインであって長らく査
察を拒んできたのもフセインである。大量破壊兵器
を直ぐに見つかるような場所に隠すかどうかそれは
常識で判断しても分かるはずだと思う。捜索は砂浜
でコンタクトレンズを探すようなもので見つからな
い可能性の方が当然高いと思う。
アフガン攻撃の際に、ビンラディンが首謀者であ
るかどうか証拠がない中でなぜアフガンを攻撃する
のかという議論が当初かなりあったが、現在でも証
拠はないが殆どの国民がビンラーディンが首謀者で
あると思っている。これはアフガンが武力により強
制的に解体され、その内部が明らかになるにつれ状
況証拠がでてきたせいでもあると思う。そして何よ
りも女性がタリバンの圧制から開放されたというこ
とは大変すばらしいことと思う。
4)米国の国連無視、一国主義にはついてゆけない。
ボスニアに対する介入も国連決議によるもので
はない。今回は9・11というテロが深く米国の
行動に影響を与えているという事実を忘れてはな
らない。日本の同胞を含む3000名を超える人
たちが犠牲となられたことに、深い哀悼の念を捧
げたい。
大変不思議に思うのは、日本人犠牲者に対する
報道を殆ど聞かないことだ、これをどう理解して
良いのか分からない。航空機事故で日本人犠牲者
が10数名いたというだけで大ニュースであるは
ずなのであるが。またこれが六本木ヒルズに北朝
鮮のテロリストにハイジャックされた日本航空機
が突入したとしたら、日本人はどう反応するだろ
うか?
むしろ米国の方が国際常識に叶った対応をして
いるようにも思う。
5)米国の中東政策の誤りが根本原因で日本が巻き
込まれることはない。
米国のパレスチナ問題に対する対応は明らかに
イスラエル寄りでありこれが9・11テロの遠因
ともなっている。
中東の安定を望むなら、まずパレスチナ問題を
解決すべきであろうし、これは政治的に難しい問
題だが米国も今回ばかりは思い切った努力をする
ものと期待している。
但し、だからといってイラクへの自衛隊派遣が
必要ないという結論にはならない。
6)イラクの石油が止まっても問題ない。
一時的にイラクの石油輸出が止まっても問題な
いが、長期的となると問題が出てくると思う。早
くイラクの石油輸出が戦前の状態に戻ることが石
油の安定供給という観点からも重要であるし日本
の国益に照らしても重要だ。
中東に安定した民主国家を構築するということ
は、日本の国益に照らしても重要だと思う。
そういう努力を日本も分担すべきであると思う。
【総括】
今の日本では、正義とか国益とか言う言葉が、戦
前不正使用されたせいか、その本来の理念さえも否
定されてしまっている。その結果が北朝鮮による拉
致問題で、長らく日本政府も拉致という事実を認め
てこなかったし、それが犠牲者の数をいたずらに増
やした結果ともなっている。
こういったテロ行為というものは、話あいで解決
するものではないという世界の常識を今我々はテレ
ビでも見ているわけだ。5人の拉致被害者が帰った
のも、9・11テロとそれに続くブッシュ発言で、
日米の分断と米国の暴走を止める目的をもって返し
てきたわけだ。
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