生活者主権の会生活者通信2004年03月号/02頁..........作成:2004年03月14日/杉原健児

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民主党のマニフェストに異議あり

練馬区 板橋光紀

 前の総選挙が「マニフェスト選挙」と呼ばれたと
おり、民主党を皮切りに、事前に6党の全てからマ
ニフェストが出され、内容についてはともかく、各
々の選挙又は政権公約が活字になって、有権者がそ
れらを比較検討できる機会を得られたことは意義深
い。6党のマニフェストを読み比べてみると、準備
期間の足りなかったせいでもあろうが、綿密さに欠
けていたり、党内での意見集約の困難性が観察でき
たりで、迫力やシャープさに物足りなさを感じたの
は筆者だけではあるまい。中でも率先して早くから
準備作業を開始していたと思われる民主党のマニフ
ェストの内容については、出来栄えの点でほかの5
党のものから群を抜いており、議席を40も上乗せ
したご祝儀相場で見てやれば合格点をつけてもよい。
 しかしながら、民主党はこれまで「官僚の天下り
を禁止」と「公務員の総人件費の縮減」を大きく標
榜する一方、このマニフェストの中では、    
@小学校低学年を30人学級とするために     
 年間 800億円の予算増額。
A地方警察官を3 万人増員するために      
 1600億円の予算確保。
を謳っている点だけはいただけない。これらは連立
政権与党も、選挙のたびにポスター貼りやビラ配り
を手伝ってくれる労組との腐れ縁を断ち切れない野
党にとっても異存のない政策との声も聞こえるだけ
に、放っておくと財政が破錠寸前の非常事態下で、
これら浮世離れした政策が議会を通ってしまう公算
が高い。当会を挙げてこれらに反対する市民運動を
盛り上げることを提案したい。その理由は以下の通
りである。                  

@30人学級のこと               
1.終戦直後に小学校へあがった私の時代は校舎が
 粗末で教科書や学用品も不十分、しかも「60人学
 級」であった。我々よりも一時代後、団塊の世代
 と言われる人々の場合は「55人学級」で学んでき
 ている。しかし私の周りにいる団塊の人々にも十
 分な教養を身につけ、高い見識を持つ第一級の人
 物が多い。                 
2.40人学級よりも30人学級のほうが教師の目が隅
 々まで行き届くことは自明ではあるが、教師たち
 は教職に就く際に40人学級の現状を承知の上で教
 師の道を選択した筈である。40人であるが故に授
 業を適切に運営する自信のない、または自信を喪
 失した教師は教職を捨てて他の職業に就くべきで
 ある。                   
3.教師による不祥事の報道は絶えない。昨年度一
 年間に猥褻行為で懲戒免職となった教師だけでも
  98人にのぼると言う。私は学級崩壊や不登校の
 多くも教師に力量が不足しているか、または聖職
 者としての資質に欠ける人物が多いせいだと考え
 ている。40人学級を30人に減らせば解決できると
 は考えにくい。教師に不適格な人はとかく不始末
 を他人のせいにしがちだ。30人学級でもだめな場
 合、「25人なら、20人なら」と言ってくるに違い
 ない。この際資質に欠けた人物に免許を与えてき
 た教員試験の試験官もその任務に耐える資質と力
 量に欠ける訳だから、試験官と試験方法も刷新す
 べきだ。                  
4.そもそも教師の数は余ってくると思う。少子化
 で児童生徒は減る一方、過疎化地での廃校も相次
 いでいる。文部当局が時代に適わない教科の削減
 と、コンピューターや英会話、奉仕等近未来に重
 要となってくる新教科の導入を打ち出せば、導入
 の方だけは先行し、削減によって出番を失う教師
 達から文句が出て、不必要な教科の授業の方は継
 続となる事例が見られる。「公務員を養う為」に
 不必要な教科を学習させられる生徒にはたまった
 ものではない。               
5.4000人のうつ病系を含む 10000人の主に公立学
 校教師が療養を理由に有給で長期休職をしている
 という。これら休職教師の中に私立学校の教師が
 極端に少ないのはなぜだろう。民間企業ではうつ
 病で職務に耐えられず長期欠勤となる場合はたい
 てい解雇される。              
 「マニフェスト」とは貿易業界の「積荷目録」に
語源を発する現在完了報告書で、正確無比な宣言書
を意味する。一度記載してしまったら訂正、取り消
し等の加筆は絶対許されない。「小学校低学年の30
人学級化」を宣言してしまったのなら、公立の小、
中、高、大学の教師間で配置転換等の方法で、公立
学校教師の総数や予算の増額なしに済ませて欲しい。

A警察官30000人増員のこと           
1.犯罪の増加と凶悪化は承知している。しかし教
 師の場合と同様に警察官の不祥事も激増しており、
 検挙率の急落は資質に欠ける警察官が多いせいと
 は言えないだろうか。警察内のコンピューター化
 や、パトカー、捜査機器、捜査技術、防犯カメラ
 等も高度に発達してきており、犯罪件数の増加に
 はある程度対応が可能な筈だ。        
2.更に警察は埒外な仕事を抱え過ぎる。パチンコ
 業界への監視は公正取引委員会等他の官庁へ移牒
 すべきだ。一般ホテル業務の監督官庁は国土交通
 省なのに、モーテルだけが警察でなければならな
 い理由は薄い。選挙違判を見張る役目は、ほとん
 ど選挙期間中だけにしか出番のない選挙管理委員
 会と、役所のコネで好待遇を受け、投票日当日に
 投票所の立会人に任命される名士と呼ばれる方々
 の仕事ではないのか。            
3.警察官を増やせば検挙率を高くさせられると説
 く人の中に、欧米諸国の人口と警官数を人口比で
 比較し、如何に日本の警官数が少ないかを説明す
 る人がいる。警察官一人当たりの業務負担率を比
 較すると、                 
 日本 552 人 アメリカ 385 人 英国 395 人
 ドイツ 315 人 フランス 293 人      
 で、確かにこれらの数字を比較する限り日本の警
 察官の負担率は高い。しかしこれらは現役警察官
 の数を比較した、彼等にとって都合の良い数値だ
 けを活用したものに過ぎない。外国にはあまり見
 られなく、日本のどの役所にもありがちな、定年
 退職後に外郭団体へ横滑りとか天下って現役時代
 と類似した業務に携わるOBのかたがたをも準公務
 員として警察官の数に入れるのなら、日本の警察
 官の負担率は低いほうに入ってくる。私が知って
 いる警察の外郭団体だけを挙げてみても下記の12
 団体があり、末端組織を含めた職場に在籍する準
 警察官的警察OBの総数は現役警察官数を上回るも
 のと思われる。               
 都道府県交通安全協会、全日本交通安全協会、 
 自動車安全運転センター、全国運転代行協会、 
 交通事故総合分析センター、日本自家用自動車管
 理業協会、都道府県防犯協会、全国防犯協会、 
 配偶者暴力相談支援センター、都道府県公安委員
 会、全国少年補導員協会、社会安全研究財団  
  私はこれら外郭団体の業務の全てが全く意味の
 無い仕事と決めつけるつもりはない。しかし中に
 は既存の警察に加えて設置する必要度の薄い、ま
 たは緊急度の低い業務が多々あることも確かだろ
 う。外郭団体といえども、国又は自治体の予算の
 中から維持費や人件費に税金が投入されている場
 合、OBといえども身分は準公務員だ。職員をやり
 くりして空き交番を埋める程度の協力は当然、新
 規採用の新米警官より経験豊富なOBのほうが良い
 仕事をしてくれるだろう。          
4.自衛隊をもっと活用すべきだ。石油基地や原発
 の警備はすぐに開始して欲しい。国際会議や内外
 の要人警護のみならず、大小のテロへの対応や、
 凶暴な犯人のアジトへの急襲等、拳銃と警棒しか
 持たされない警察よりも、最新装備を具えて十分
 訓練された自衛隊又はそれらの混成チームの方が
 都合の良い場面が多い。警察活動に自衛隊員を充
 てるなら公務員の総数を増やすことなく、直ちに
 明日からでも3 万人といわず6 万人でも配置が可
 能だ。迷彩服姿の自衛隊員が武装して町へ現れる
 ことに市民の間で多少アレルギーはあろうが、最
 近の「犯罪の急増と検挙率の著しい低下」は一種
 の「非常事態」、テロの危険性が予測できるなら
 「有事」と言える。市民にも理解していただこう。
  元々自衛隊の発足当時は「警察予備隊」と名付
 けられた。朝鮮戦争が勃発して駐留米軍の大半が
 朝鮮半島へ振り向けられ、手薄となった日本の治
 安維持に「警察を補完する目的」で創設された訳
 だから、物騒な世の中になった今、他国の人道支
 援に出て行くことよりも、日本で「国民の生命と
 財産を守る」警察活動の方が創設の主旨に合致し
 ている。不法滞在の外国人を追い出して、凶悪犯
 罪の検挙率を元へ戻したら自衛隊員は駐屯地へ帰
 ってくれてよい。せいぜい2〜3年間のことであ
 ろうから。市民が安心して生活できる世の中を取
 り戻すのに5年も10年もかかっては困る。   
 公務員を増員したがる人々がよく用いる手法に、
「警察官の負担率国際比較」、消費税を上げたがる
人々は「欧米と比較して日本の税率が低い」こと、
年金の保険料や受給率を変更したい場合は「北欧の
実状」など、都合の良い外国の事例を持ち出すこと
がある。それなら「戸籍」を廃止してもらおう。過
去30〜40年の間に先進諸国ではほとんど「戸籍制度
を廃止」している。制度の継続はそのメリットより
も、個人のプライバシーを侵害する等のデメリット
の方が多いことに気づいたからだ。「世界の常識」
に合わせて日本も廃止してしまえば市町村役場の仕
事量は大幅に軽減できる。練馬区だけでも本庁舎、
支庁舎と15の出張所で戸籍事務をせずに済む。  
 民主党は来る参議院議員選挙に向けてマニフェス
トの改訂版を出す準備をしていると聞く。国と地方
の借金総額700 兆円をどのような方策でドラスチッ
クに減らしていくのか、国民の誰もが最も重大な関
心を寄せているテーマについてもっともっと腐心し
てもらわねばならない。ぜひその現実的な方策を明
示して欲しい。それは「地方分権」の推進と、たと
え行政サービスが多少低下しても「公務員の大規模
な削減」しか残された道はないと確信するが、もし
民主党が無策であるならば、たとえ政権を奪うこと
が出来たとしても小泉自民党政治とあまり変わらな
い結果に終わると思う。            
 私は本誌一月号で埼玉県志木市の「公務員削減技
術」を紹介した。志木市へは、数多くの自治体から
「改革を見学」に訪れているという。民主党も政策
担当者を見学に出して、少しは志木市を見習ったら
どうだ。                   

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