生活者主権の会生活者通信2004年03月号/08頁..........作成:2004年03月14日/杉原健児

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2月号「理念なきイラク派兵に反対」に同感です

新宿区 坂下 章

 イラク派兵で死者が出る可能性があります。その
時、国葬を行い国家としてつくした勇気と犠牲的精
神をほめたたえ、あなた方を誇りとし死を無駄に致
しません、仇は取りますとなって更に増派し泥沼化
が予想され更に国内でテロが起これば、ひどいこ 
とになって行きます。             
 かっての「チャンコロ憎しが、テロ憎し、イラク
憎し」となります。              
 反対が70%から既成事実が作られると50%になり
ましたが日本人は長いものには巻かれるそのうち頭
に血がのぼる性質があります。         
 原爆を受け380万人の犠牲者を出した支那事変か 
ら太平洋戦争で得た貴重な教訓を無駄にしたくない
ものです。                  
 反対の声をあげつづけたいと思います。    
  〈支那派遣 忘れた頃に イラク派遣〉   

あいまいな命令(あの戦争の本当の罪は…)

千葉県柏市 峯木 貴

 世の中にはあいまいな命令をする人がいるもので
ある。「外交を重視するとともに、戦闘の準備も行
い敵の戦力を打ち砕き、また敵が長期抗戦に持ち込
むときはこれを撃破する。」          
 命令には違いないのだが、目的がいくつか含まれ
ていて、持久戦に持ち込み外交で解決するのか即時
攻撃するのかが分からない。これは関東軍の作戦要
領なのだが、大本営は戦う余裕がないので持久戦に
持ち込み外交で解決しようとしていたらしい。しか
し、関東軍の逸る気持ちを察して、大本営はこの作
戦を撤回しなかった。後に大本営関係者は「関東軍
は、われわれの気持ちを察してほしかった。」と回
想した。                   
 1939年に起きたノモンハン事件での実際の出来事
で、この事件により8千人近くの死者が出て、それ
は関東軍の7割近くにあたった。        
 また、別の作戦では、米軍の上陸に対して持久戦
か航空決戦かで揺れ動いたが、結局、大本営の命令
が最後まであいまいなままであったため攻撃時期を
逸してしまった。そして、米軍が上陸して準備がほ
ぼ終わったころに日本軍の総攻撃となった。現地第
32軍がこのような状況でも沈黙を守っていた結果で
もあった。                  
 これは1945年の沖縄戦の出来事で、約10万人の住
民と、約6万5千人の兵が犠牲になった。    
 ところで、これらの「あいまいな命令」は何も戦
時中ではなく、現在でもあらゆるところにはびこっ
ている。卑近の例で恐縮だが、わたしは以前依頼者
に「注文書を取ってきてくれ」と頼まれた。依頼者
と客先で金額や支払条件の話はできており、後は実
印の押された注文書を貰うだけだという。しかし、
客先へ行って事情が判明した。注文書の話など何も
なく、客先も事情が良くわからずじまいであった。
その後依頼者に連絡すると、実は私が依頼者の「心
のうちを察して」、事情を判断し、あわよくばもっ
と良い条件で注文を取ってきてもらいたい、という
内容だったのだ。わたしは唖然としてしまったのだ
が、サラリーマン社会ではこの程度のあいまいな命
令は日常茶飯事である。今回の件では危うく1000万
円の注文を逃すところだったが、戦時中はその一つ
一つのミスが人の死につながるのだ。      
 このような「あいまい性」は日本人の美徳とされ
ていたが、高度情報時代では悪癖以外の何物でもな
い。                     
 自衛隊がイラクに派遣されているが、早くも命令
のあいまい性が露呈しているようだ。 小泉首相は
「戦争に行くわけではない。」といっていたが、攻
撃を受けた場合どのように対応するか未だに「あい
まい」である。自衛官は日頃十分に訓練し指揮命令
系統も確固としたものがあるのだろうが、予想もつ
かない自体が起こったときに、最後は自分で判断し
てくれとしたらどうすればよいのだろうか。攻撃を
受け反撃しないことにより被害を受けた場合、小泉
首相は「あの時の私の気持ちを察してほしかった。
自主的に判断して攻撃すべきだった。」などと言う
のであろうか。                
 先の戦争で大本営は「あいまいな命令」を下し多
くの国民が無駄に死んだのだが、それに対しての政
治責任はほとんど取られていない。極東裁判でA級 
戦犯が処刑されたが、それはあくまでも連合国に攻
撃をしたという戦争責任である。日本国民の多くを
見殺しにした責任者(「永久戦犯」といってもよい。)
は処罰の対象になっていない。         
 目的のないあいまいな命令のために多くの日本国
民が犠牲になった。これは極論であるが、戦争被害
を大きくした直接的な原因である。最終的に終戦に
は踏み切ったが、ポツダム宣言を受諾するまでに多
くの時間を要し、その間2つの原爆を落とされてし
まった。受諾までの間、自分の立場を擁護するため
に極めてあいまいな言動が行き交ったに違いない。
 派遣されている自衛隊を引き戻すことは、よほど
の理由がない限り国際社会に対して信義上できない
ことである。しかし世界に迷惑をかけないため、あ
の戦争の責任をもう一度考え直し、どのような指揮
命令系統で誰がどこで命令ミスを犯したのか、誰が
国民の命を軽んずる作戦を立てたのか、作戦の杜撰
さを黙って聞き流し言われるがまま行動し失敗した
のは誰か…歴史を振り返り十分反省してから出直し
ても遅くない。そして現在の日本社会の悪癖である
「目的のないあいまいな命令」とは何かを問わなけ
ればならない。それは日本人にとって極めて不得手
なことであるが…。              

生活者主権の会生活者通信2004年03月号/08頁