日本経済新聞“私の履歴書”に掲載された、経済
学者ガルブレイス教授の記事を大変興味深く読みま
した。
教授の指摘として、日本はGNPに行過ぎた関心
を懐くのではなく、GNE(GrossNational Enjoyme
nt)に向けるべきで、基本的な欲求が満たされた後
に、人々の関心はモノではなく楽しみや知識に向か
う、つまり芸術、科学、教育などであると述べてい
る。
芸術、科学、教育という知的な活動は住環境にも
深く影響されると思う、例えば、ベートーベンやブ
ラームスの音楽はウィーン郊外の自然の中から生ま
れてきたもので、産業革命さ中の工場地帯から出て
きたものではない。つまり知的な活動を支える為の
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インフラが重要で、一つは自然への回帰を意味して
いるだろうし、言い方を変えれば高次元な生活への
転換と言えるかも知れない。
ウィーンの平均的な市民は、郊外にセカンドハウ
スを持っているが、週末に無料のアウトバーンで往
来している。もし東京の住人が葉山にセカンドハウ
スを持ったとして毎週往復4000円という高速料
金に耐えられるだろうか、欧米の常識からすれば奇
想天外な金額だと思う。
有料制をとっているフランスの高速道路の4倍と
いう高速料金の意味は、そういった次元の高い生活
への移行を阻害する要因となっている。つまり政府
がわざわざ時代の流れに竿差す役割を担っているわ
けだ。
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