あるアラブの小国で、病院、学校、電気、水道な
どの公共的な料金は、石油収入のお陰ですべて無料
という実にうらやましい国があるが、王族に集まっ
た資金が、広く国民に再配分される結果である。
日本もオイルマネーに匹敵する膨大な貿易黒字を
基にして、年間40兆円の税収と、さらに将来から
の借金として国債を毎年30兆円以上発行している
わけだが、この膨大な国富の行く先は、肥大化した
行政機構の維持と前年度実績主義に基づく無駄な道
路や橋などの建設に向けられ、途方もない税金と資
源の浪費となっている。
あるアラブの小国の方が、よほど国富の再配分と
いう意味でまともなのではないか。
次に小泉氏の構造改革であるが、これは彼一流の
言葉のマジックであり、単なる既存構造の調整に過
ぎない。これは現存する縦割り構造の垣根を温存し
た構造内の調整であり、本来その縦割りの垣根を越
えた改革が構造改革と呼ばれるものだ。
例えば、一般企業での構造改革とはこの縦割りの
垣根そのものを廃し、支店の統廃合から不要な事業
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部の廃止、垣根を越えた人員の配置転換などを行う
訳だが、小泉構造改革とは事業部名を変えて実質不
要な事業部を残し、これに多少の調整を行ってこれ
を構造改革と称しているわけで、単なる旧構造温存
主義に過ぎない。
道路公団の民営化と言えば、何か聞こえは良いが、
無料化してガソリン税(自動車ユーザー負担の受益
者負担の税金)を借金返済に投入してしまえば済む
程度の議論を、やたらこねくりまわして無駄な道路
を作り続け、自民党の資金源と票田を維持しようと
る旧体制温存主義に他ならない。楽市楽座の発想を
否定すれば、景気の本格回復はおぼつかない。
年金問題は、国民が最も高い関心を寄せており、
日本の国富の再配分はまさにこの点に集中されるべ
きで、決して過剰雇用の官僚や道路建設業者などに
再配分されるべきものではない、そういった観点か
らすれば、年金財源の不足分は垣根を越えて消費税
を年金目的税として使ってゆくのが本来の構造改革
だと思う。
この文章は竹村健一氏に送付いたしました。
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