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<道州制実現特集>
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「国から地方へ」という地方分権の流れは、今大 きなうねりになってきた。今後主役となる地方の動 きは国の動きよりもかなり先行しているように思わ れる。しかし、現在進められている市町村合併に見 られるように、現実は甚だ混乱状態にある。 地方自治体は現在の住民サービスのレベルを維持 しつつも、その財源の一つである地方交付税を国か ら一方的に削減されている。それでも、志の高い地 方自治体は将来のビジョンが描けないまま、涙ぐま しい努力をしながらも、現在の住民サービスのレベ ルを維持しようとしているし、中には頑迷に、合併 しないで自力でやっていくと宣言するところすら出 てきている。その一方で、合併することにより、国 から得られる目先のアメに誘導されて、将来のビジ ョンを描かないまま、例えば、議員数・職員数は足 し算、給与は高い方に合わせる、アメの財源で新し い箱物を作るなどという、目的意識のない、志の低 い合併をするところも出てきている。 この地方制度の根幹に係わる重要な問題が、何故 こんなことになってしまっているのであろうか。そ の最大の理由は、国が、国と地方のあり方の将来像 を全く描かないまま、示さないまま、国の財政のみ に視点を置いた、アメとムチによる市町村合併を強 引に誘導しているからである。 また、戦後の復興と経済成長を主導してきた中央 官僚は、その腐敗に歯止めがかからず、健全な国民 から遠い存在になり、しかも自浄作用もが不能に陥 り、もはや中央官僚の主導による日本の活性化、財 政の再建は望むべくもない。こんな混乱状態は一日 も早く解消しなければならない。 国は国でしかできない業務の執行に限定し、その 他の全ての業務の執行を地方に移管し、国民に近い | 存在になった新しい地方政府を中心に、新たに創造 される地方の活力で国の活性化と財政の再建を図り、 「今、我々のために使われている行政諸費用は、今、 我々が負担し、子孫にツケを回さない」ようにしな ければならない。 戦後の日本の地方自治政策を主導してきた地方制 度調査会は前回の第27次で「真の分権社会にふさ わしい自立性の高い広域自治体として、道州制導入 の検討を提言」し、現在の第28次でその本格的な 検討が開始されている。 民主党は既に「道州制への移行」を基本政策の一 つにしている。自民党も道州制推進議員連盟が中心 になった研究会が立ち上がった。 本丸の政府では都道府県の合併を可能にするため の法案を次の国会に提出し、合併した都道府県を道 州の受け皿にし、要件が整い次第国の権能を移管す る方針だとの情報もある。全国知事会も道州制研究 会を発足させた。その他、国内の多くの組織・団体 も「道州制」に向けての提言を行っている。 当会でも、平岡委員長を中心にした「道州制実現 推進特別委員会」が、先ずは民主党への働きかけを 中心に、また、当会B区から発展した大谷会長を中 心にした「道州制推進連盟」が、第一段階としてホ ームページによる一般市民への働きかけを中心に、 それぞれ活発な活動を続けている。 今後は各種組織・団体との横の連携を深め、より 多くの市民が声を上げ、理解を深め、新しい国の形 としての「道州制」の方向を固め、新しい国作り、 新しい地方作りに向けて、国も地方も国民も全力投 球できる日が一日も早く来ることを切望する。 (生活者通信『道州制実現特集』より) |