生活者主権の会生活者通信2005年01月号/12頁..........作成:2004年12月27日/杉原健児

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<新ライフスタイル特集続き>
結核闘病記(2)

T.H(64歳・男)…文責:峯木 貴

○H16.6.24(木)                
 3人部屋に移動(部屋代が無料となる)    
○H16.6.30(水)                
 入浴許可が出た!2週間ぶりの入浴       
  (AM11:10〜11:40 月、水、金の午前中)  
 心身ともにサッパリした!!         
○H16.7.5(月)                 
 7月1日の塗沫検査の結果:(−)(よかった!)
○H16.7.13(火)                
  地下売店への買い物、院内散歩(30分以内)の
 許可が出た。                
○H16.7.14(水)                
 AM6:30〜7:00 初散歩。気持ちがよかった!  
○H16.7.21(水)                
 7月16日の塗沫検査の結果:(−)(よかった!)
○H16.7.27(火)                
 外出許可が出る。外泊は未だダメ。      
○H16.7.30(金)                
 近くのスーパーへ買い物に行く。これが「通常の
世界」なんだ...と。眩しかった。        
○H16.8.5(木)                 
  8月2日の塗沫検査の結果、ガフキー2号であ
 った。悪くなってしまった。         
  患者仲間のIさんが「大丈夫だ。死菌の可能性
 もある。気を落とすことはない...」と慰めてく 
 れた。                   
 ところで、86歳の男性Aさん、78歳の男性Hさん、
70歳の男性Hさん、60歳の男性Wさんとは散歩仲間で
毎朝6:00〜7:00に近所を散歩した。佐倉は緑の多い
町で、ちょっと病院を出ると樹林や田畑があり、朝
の散歩は本当に気持ちがよかった。道端に栗の木が
あり、大きな丹波栗をたくさん拾ってきたこともあ
った。                    
○H16.8.8(日)                 
  全身に赤い斑点が出て痒い!薬の副作用だ!! 
 「ストレプトマイシン注射と抗結核薬の服用を休
 みましょう。」と主治医のY先生。8月24日(火)
 まで中止した。代わりに8月19日(木)まで、か 
 ゆみ止めの点滴・ネオファーゲン100ccを実施。 
○H16.8.17(火)                
  左右の手首、足首が腫れてきた。(薬の副作用
 で 肝機能が低下したため)         
  これを見てY先生から、私が入院してからも毎 
 日食べていた「ファーストリーフ(目に特化した
 サプリメント、頭のてっぺんから足の裏まで効果
 あり)をしばらく止めてほしい。サプリメントの
 せいではないと思うが、ビタミン剤や食物でも薬
 との複合作用が起きるケースがあるので...」と 
 いわれた。                 
○H16.8.18(水)                
 クラビット(抗生物質)投与。8月21日(土)まで。
○H16.8.25(水)                
 リファジンカプセル 150mg(3錠)及び抗結核薬
(エブドール錠 250mg(3錠))投与開始。   
 全身がかゆい!(患者の60%がかゆみと戦ってい
 る)                    
○H16.8.31(火)                
 7月1日の痰を8週間培養した結果:陰性!!   
 Iさん退院。来年1月まで通院しカナマイシンを週
 3回、薬は来年の8月まで飲む。大変なことだ。う
 るさい人だったが、いなくなると寂しいものであ
 る。                    
○H16.9.4(土)                 
 毎食後服用している・ムコソルバン(痰切り) 
          ・アドナ(止血剤)    
          ・セルベックス(胃薬)  
          ・メジコン(咳止め)   
 のうち、咳も止まったのでメジコンのみを中止し
 てもらった。                
 9月1日の塗沫検査:陰性!          
○H16.9.7(火)                 
 朝起きしようとしたらクラッと目眩がした。(肝
 機能の低下だろうか)            
 「メリスロン(目眩止め)」が1日3回5日分出た 
○H16.9.15(水)                
 左奥歯が柔らかいものを噛んでも痛い。    
 「ロキソニン(痛み止め)」が1日2回5日分、  
 「ミノマイシン(抗生物質 炎症止め)」が1日2
 回5日分出た。                
○H16.9.17(金)                
  市内の川村記念美術館に行く。大日本インキ研
 究所敷地内にあり、白鳥の池、遊歩道、自然林な
 どもあり美しいところだった。        
  病院は佐倉藩堀田の殿様の屋敷後に隣接し小高
 い丘の上にあり、樹林、庭園に囲まれたとても美
 しい場所にある(ちなみに房総のむらも近い)。
 療養生活には最適だ。病院での生活は一種の軟禁
 状態でストレスも溜まるが、反面考え方によって
 は、上げ膳据え膳の状態で風呂には一日おきに入
 れるし、優雅な生活ともいえる。また、私の看護
 師さんや看護士さんは献身的に働き実に親切だっ
 た。                    
  暇はたっぷりあるので、日頃落ち着いて読めな
 い宗教関係の本も何冊も読破することができた。
  抗結核薬は、強いので合併症を持つ人は死亡す
 るケースが多いらしい。患者の平均年齢は60歳代
 後半と高く、入院期間中4ヶ月弱で10名ほどの方 
 が亡くなった。               
○H16.9.21(火)                
 主治医Y先生が、               
 「7月15日の痰の8週間培養結果:(−)    
 8月2日の採痰分の1〜4週間(8月9日、8月16日、8
 月23日、8月30日)の培養結果及び5〜8週間(9月
 6日、9月13日、9月20日、9月27日)の培養結果が
 (−)ならば退院ですね。          
 9月8日のレントゲン結果も白い部分がほとんどな
 くなりよくなっていますね。」        
 とおっしゃってくれた。           
○H16.9.28(火)                
 外泊許可出る。               
○H16.10.1(金)〜3日(日)           
  外泊、帰宅。軽い疲労感を覚える。後頭部(特
 に右)に円形脱毛部分がある、と妻に 指摘され
 た。合わせ鏡で見ると確かに地肌が見え る。そ
 ういえば9月中旬頃から朝起きると枕にたくさん 
 の抜毛があった。ストレス、抗結核薬の影響か?
○H16.10.5(火)                
 Y先生から8月2日の採痰分の8週間培養結果が(−)
 と伝えられる。               
 もういつでも退院できる。といわれた。よかった
 !嬉しい。先生、ありがとうございました。  
○H16.10.11(月)                
 退院!!!4ヶ月ぶりに我が家に戻った。早速ご
 心配を掛けた方々に電話で報告。       
 皆さんから、おめでとうございますとの祝福の言
 葉をいただいた。これからはサプリメント「ファ
 ーストリーフ」を食べて元の健康な体に戻り、円
 形脱毛症も治したい。            
                       

<あとがきにかえて>         
 この手記は、生活者主権の会の会員であるT.H.さ
んのメモを私(峯木)が清書したものです。最初は
軽い気持ちで、結核の闘病記を簡単な箇条書き程度
に書いていただけたら、私が編集して会報に掲載し
たい、と話していました。           
 病み上がりの人にはちょっと負担かなと思いつつ、
先日お会いして原稿を受け取りました。思ったより
も枚数が多いので、場合によっては大きく編集し、
会報に通常掲載されている文字数に減らすかもしれ
ません、と彼には断りました。         
 しかし、じっくり読んでみるとその内容は迫真に
迫っており貴重な経験であることが分かりました。
そこで、ほとんど原文のままで、全文を掲載するこ
とにしました。                
 私も結核とは、過去の病気だとばかり思っていま
したが、年間3万人もの人があらたに発症し、年間
2300人が亡くなっているという未だに最悪の病気だ
ということを知り、自分の無知を改めて感じました。
結核は、以前より格段に減ったとはいえ、完全に解
決したわけではありません。          
 また、手記を読んで、結核のような重病への何よ
りの特効薬は、「栄養」と「心の安定」そして「き
れいな空気」なのだと、改めてあたり前のことの重
要さが分かります。              
 ところで、原文から一部削除したくだりがありま
す。同じ病院に入院している患者仲間のことです。
プライバシーに関わるという理由で、彼から削除を
依頼されました。そこには、禁止されているタバコ
をひっきりなしに吸っている人、パチンコが好きな
人、軽い統合失調症を患っている人、酒好きな人 
(もちろん院内では禁酒)などが書かれ、入院生活が
よりリアルに描かれていました。しかし、このこと
は彼の胸のうちにだけ留めておくことにしましょう。
T.H.さんご退院おめでとうございます。心からお喜
び申し上げます。今後も末永く元気でいてください。
 2004年11月3日 文責 千葉県柏市 峯木 貴  
       (mineki@taurus.bekkoame.ne.jp)

生活者主権の会生活者通信2005年01月号/12頁