生活者主権の会生活者通信2005年02月号/08頁..........作成:2005年月日/杉原健児

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首相の靖国参拝に想う

東京都文京区 松井孝司

 日本国内に存在する制度で、最も胡散臭い制度は
宗教法人である。靖国神社も例外ではない。、靖国
神社は戦前、戦争を遂行する国家と不可分の存在で
あった。戦後、私的宗教法人になったが、今でもそ
の色彩を色濃く残している。
 靖国神社の起源は戊辰戦争の犠牲者を祀った東京
招魂社に始まる。靖国神社は「勝てば官軍」の明治
政府が創った神社であり、官軍に殺された人々や、
戊辰戦争を悔やみ明治政府を批判した西郷隆盛など
は排除されている。当初から犠牲者すべてを祀る神
社ではなく、時の権力者に最後まで忠誠を尽くした
人間を祀るための神社なのだ。遺族不明の千鳥が淵
墓苑に眠る戦死者は除外し、「恩給法」と「遺族等
援護法」の対象となった246万余人だけを靖国の
「神」として祀るのも理解に苦しむ。「神」に関す
る哲学的バックボーンは殆ど無いに等しく、靖国神
社は祖霊信仰を利用して創られた祭政一致の新興宗
教なのだ。
 東京裁判で有罪とされたA級戦犯を祭神として合
祀し、中国、韓国から抗議を受けているときに、小
泉総理が靖国参拝に固執するため中国とは「政冷経
熱」の関係を招き、江沢民の偏向教育に洗脳された
中国民衆がサッカー・スタジアムで日本選手に暴行
を働いたことから、日中関係の悪化が憂慮されてい
る。日本の伝統や宗教は外国には通用しないことを
認識し、日本の国益を考え戦前の歴史を繰り返さぬ
よう賢明に対処しなければならない。
 靖国神社とは別に、宗教性の無い国立墓地のよう
な慰霊施設をつくることを公明党などが提案してい
るが、自民党や遺族会などの靖国関係者が同意しな
いのは、自民党は遺族会の票田が減り、神社は賽銭
の上がりが減ることを心配するからだろう。
 公明党の母体である創価学会は戦時中、神道を批
判したために初代の牧口会長は投獄されて獄死し、
組織は壊滅的な被害を蒙っている。戦前の歴史を顧
みれば、公明党は率先して、首相の靖国参拝に反対
すべきだ。
 創価学会の前身は教育改革を目指して設立された
教育者の団体である。戦後宗教団体として再出発し
たが、政界への進出の目的は日蓮の遺文にあるよう
に「賢王となって愚王を誡責する」こと(=折伏)
にあり、仏教思想によって哲学不在の衆愚政治を糾
すこと(=王佛冥合)にあった。愚王とは愚かな権
力者を意味しており、国民が主権者となった現代の
「愚王」は、国が大借金を抱えているのに危機感を
もたない無責任な国民のことである。国会や地方議
会は愚王を糾弾するための公場対決の場になる筈で
あったのに、そうはならず多く公明党議員が愚王に
迎合しているのは、愚王の見分けがつかず初志を忘
れているからだろう。
 愚王の代表を努める小泉総理が国益を無視し、あ
くまで靖国参拝に固執するなら、公明党は自民党政
権を離脱し、政権交代で政界再編に弾みをつけるこ
とを期待したい。
 現在、政府は公益法人改革のため民法第34条の
改正を検討中と聞いているが、私的宗教法人は公益
法人から除外すべきである。詐欺師、暴力団が運営
する法人でも宗教活動を名乗れば税金が優遇され、
所有する土地建物への課税が免除されるのは間違っ
ている。部外者の立ち入りを禁止し限られた人間だ
けが利用している土地建物には、所有者がいかなる
法人であろうと私的資産とみなし課税すべきだ。
 靖国神社は宗教法人が持つ既得権を返上し、無名
の戦死者も合祀して、国民共有の鎮魂の施設「国立
靖国墓苑」に衣替えするのも一案である。無宗教の
公的法人になれば、賽銭の心配は無くなり、首相が
靖国参拝しても憲法違反に問われることはない。
 富士大石寺から破門された創価学会が同じ教義で
活動を続けるのも、人々を欺く行為だ。創価学会も
宗教法人を返上し、「創価教育学会」の原点に立ち
返って人材の育成と教育改革を目指すNPO法人に
変身することができたら、胡散臭い創価学会への評
価は一変するのではなかろうか?


台湾立法院選挙の分析

東京都豊島区 吉井正信

 2004年12月11日台湾において定数半減前
の最後の立法院選挙が行われました。現定数225
名は2007年度から113名に半減されます。選
挙結果はご存知のように野党連合が114議席を獲
得し過半数を取り、与党連合は101議席で、無所
属10議席となりました。投票率は59.16%で
史上最低でした。               
 与党連合は陳水扁総統と李登輝前総統が率いる本
省人(1945年以前から台湾に住んでいる人たち)
中心で編成され、連戦国民党主席らが率いる外省人
(第2次世界大戦後に蒋介石将軍らとともに移住し
てきた中国本土の人たちとその子孫)中心の野党連
合に比べますと、人口比では8:2で圧倒的に有利
です。台湾の現在の人口は約2200万人。ではな
ぜ与党は敗北したのでしょうか。        
 今回の選挙を左右した問題は次の3点だと思いま
す。                     

1.中国本土との関係        
 2004年5月に再選された陳総統の公約に、2
006年までに新憲法草案を通し、2008年に発
行させたいとあります。現憲法は1916年に孫文
の三民主義を根拠にしています。台湾のみを統治し
ている現状には合いません。しかし中国はこの改憲
を独立志向と捉え反対しています。野党連合は最終
的には統一志向なので、改憲には反対です。   

2.経済問題             
 陳政権誕生以来台湾の株価は低迷しています。少
数政権のため、思うように政策を遂行できないため、
常に後手に周り不良債権の処理などもようやく一段
落した。1987年に戒厳令が解除されるまで、中
国本土への直接投資は禁止され、香港経由の間接投
資が主体でしたが、反骨精神に富む台湾人は政府の
目を掠めて直接投資を続け、ついには政府のお墨付
きをいただくことになりました。そして現在は家族
も含めて約200万人の台湾人が大陸で経済活動を
しているといわれています。          

3.アメリカの影響          
 「(中台)統一が望ましい」「台湾に主権がない」。
最近中国を訪問したパウエル国務長官はこのように
言明しています。その後トーンを和らげましたが、
基本的にはアメリカは台湾海峡の緊張を望んでいま
せん。今回の選挙結果に米国は安堵しています。そ
して台湾国民も選択に苦慮しています。経済を優先
させるべきか、独立を進めるべきか。      
 以上のような諸要因の中で行われた立法院選挙で
したが、国民は中国本土に対しては経済を最優先さ
せる道を選んだのではないでしょうか。台湾は世界
第16位の経済国、世界第14位の輸出国であり、外貨
準備高は世界第3位であります。経済状況は確かに
厳しいが、国民の生活は裕福で安定しています。冒
険はしたくないのが本心でしょう。それが史上最低
の投票率に現れています。「まずは現状維持」と考
える安定志向の台湾住民には与野党双方とも選びに
くく、結果として組織力に勝る国民党が勝ったのが
実態でしょう。経済的発展がすべてに優先するとい
うのが世界の共通点であります。残念な点もありま
すが、これが現実だと思います。        

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