「郵政事業を2007年4月から民営化するとの政府の
基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況
を見つつ、国民的論議を行い、2004年までに結論を
得る。」
2003年の衆議院選挙の際の自民党のマニフェスト
『小泉改革宣言』(自民党政権公約2003)に掲げら
れた郵政民営化についての公約である。「郵政事業
を2007年4月に民営化」という表題の下にこのよう
に書かれているのであるが、改めて読んでみると、
実にあいまいな文章である。
しかし、街頭で国民に直接手渡されたその要約版
には「2007年4月に郵政公社を民営化します。」と
のみ明記されている。そこには「自民党は約束しま
す」「自民党だから、小泉だから、できます。」と
も謳われている。よって少なくとも、どのような形
かはともかく、「2007年4月には郵政公社は民営化
される」のであろうし、国民もそれを承知で自民党
に、小泉さんに政権を任せたはずである。そのよう
に考えると、それを実行するために5月13日に決定
された総務省人事は当然の結果であると言える。
それよりも、いまごろになって自民党内で反対派
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が声を大にしているという現実は一体何なのであろ
うか。彼らはそれを公約として当選してきたのでは
ないのか。昨年の参議院選挙においても「郵政事業
を2007年4月に民営化」という表現自体に変化はな
い。衆院選でも参院選でも国民には「郵政は民営化
します」と説明してきたわけである。
そのときとは郵政事業を取り巻く環境が激変し、
やむを得ず変更しなければならないのなら話しは別
である。しかし、そのような状況ではない。然らば
粛々と、どのような形であれ、民営化はするしかな
い。それが政権公約=マニフェストなのである。
政権公約とは国民との『契約』である。もし議論
の余地を残すのであれば、少なくとも「2007年4月
に郵政公社を民営化します。」などと、その実行を
断言すべきではない。公約を軽んじるからこのよう
な騒ぎになるのである。
自民党内の反対派の人々が、「政権を維持するた
めに小泉人気を利用したがそれは間違いであった」
とするのであれば、自らの不実を恥じた上で、「衆
議院を解散して、改めて国民に信を問うべきだ」と
主張し、行動に移すのが筋ではないだろうか。
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