「衆議院の解散」が突然降ってきた。
今期の活動方針『政権交代の実現に貢献する』は
幕が開いた途端にクライマックスを迎えてしまった
のである。
それにしても思いがけない解散であった。小泉さ
んがここまでやるとは思わなかった。小泉さんは、
マニフェストを理由に身内を切り捨ててしまったの
である。
しかし今回の混乱は、郵政民営化について、自民
党がマニフェストの表現を玉虫色のあいまいなもの
にしていたことが原因であり、そもそもの責任は自
民党総裁である小泉さん自身に存在するのである。
マニフェストとは「事後検証可能な公約」のこと
であり、「数値目標・期限・財源・実現手段などを
具体的に明記」したものでなければならない。そし
て選挙前にその内容を示し、それにより国民の信任
を得るためのものである。今回の騒動は、マニフェ
ストと呼びながら、それがその本質的要件を満たし
ていなかった結果だとしか言いようがない。
ただ、遅ればせながら、今回の総選挙では自民党
は郵政民営化反対者は公認しないと決めた。欠席・
棄権した議員は慌てて賛成に回り、小泉さんの軍門
に下った。その手法、その姿勢等々についてはいろ
いろと議論があろうが、これにより、マニフェスト
的にはよりはっきりしたことは事実であり、自民党
と、前回も今回もマニフェストを承認しない候補者
を公認しない民主党との間で、『政策選択』を前面
に出した選挙が展開されることになった。
今回の選挙を小泉さんは「郵政民営化選挙」だと
強調する。小泉郵政民営化への賛否を主題とするこ
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とで選挙を有利に展開したいのであろう。しかし、
総選挙は今後4年間の政治を左右する選挙であり、
それが単品メニューで決められるわけはない。あく
まで、自民・民主どちらのフルコースを国民が選択
するかである。それを国民が錯覚するとそのツケは
国民自身に返ってくることになる。
この解散直後、小泉政権の支持率は上がった。今
度こそ期待に応えてくれるとの思いからかもしれな
い。しかし、この4年間の小泉政権の実績から考え
て、私にはそのような期待を持つことはできない。
『既得権』という「しがらみ」のある自民党に改革
という大胆な絵が描けるとは、「官僚支配」を脱却
できるとは、どうしても思えないからである。
一方、民主党は「政権500日プラン」を打ち出
し、自民党ではできない『脱官僚』の手順を明示し
た。具体的なことをはっきり示し、選挙の洗礼を受
けることにより、マニフェストを「官僚を動かすた
めの武器」にしようというわけである。
「小泉自民党」を選ぶか、「岡田民主党」を選ぶ
のか。「自民党」しか選択肢がなかった時代と異な
り、国民は現在選択ができるのである。今後4年間
の国政をどちらのマニフェストに委ねるのか。郵政
民営化のみではなく、全体をよく吟味して選択する
必要がある。そして、政策が前面に出た分、今回の
騒動でも明らかになったように、国民自身もその拘
束をより強く受けることになるわけで、その自覚を
持って選択することが国民に求められている。
そして、民主党が魅力あるマニフェストを国民に
示し、それをしっかりと国民に伝えることができた
ときに、『政権交代』が実現することになる。
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