○とりあえずの政権交代から実力での政権交代へ
9月11日の衆議院総選挙の民主党敗北で、政権交
代がずいぶん遠のいてしまった。
しかし、仮にもこの国は民主主義国家であるため、
国民は政治の良し悪しを判断し、いずれは政権が交
代する時期がくるだろう。
「とりあえずの政権交代」ということで民主党に
一度は政権を、というのがふれこみであった。しか
し、いざ大事な1票を投じるとなると、実績のある
自民党へというのが国民の本音なのだろうか。これ
からの民主党には「とりあえず」ではなく、「実力」
で政権を奪還してもらいたいし、それこそが真の民
主主義を実現するあり方だと思う。
その政権を奪還するための武器の一つに「マニフ
ェスト」があるが、今回の選挙でどれほど効果を発
揮したか分からない。どの政党のマニフェストにも
いいことばかりが書いてあり、国家感というものを
感じさせない内容である。それらを横並びに比べて
も、国民にはこの国がどうなるのかを判断すること
は難しい。しかし、マニフェスト選挙は日本では始
まったばかりなので、今後の進化に期待する。文書
で表された約束は、口頭の約束よりはるかに重要で
あるからである。
○選挙で問われたことは
今回の選挙はそのマニフェスト以上に重要なこと
が問われていたと思う。
それ以上に重要なこととは、誰がこの国のリーダ
ーになるのかである。今回の総選挙の争点は郵政民
営化といわれているが、本質は次のリーダーを小泉
氏に任せるかどうかであった。このリーダーの選択
というのはよほど人間の本能にかなっている。つま
りマニフェストという書類を読むよりも、人を選ぶ
ほうがよほど直感的に感性に訴える。また、それに
加え「郵政民営化」という覚えやすくて、その感性
にピンとくるキャッチフレーズも一役買ったのだろ
う。
分かりやすい人間と分かりやすいキャッチフレー
ズは、政治のポピュリズムと揶揄されようが、人間
の本来備わっている感性に敏感に反応するものであ
る。
民主党にはそこが一番足りなかった。政策の内容
が仮に自民党と互角であったとしても、党首の顔及
びその党と一言で本質を突くキャッチフレーズがな
ければ選挙には勝つことはできない。
|
○首相の資質
ついでながらいうと、その首相に一番重要な要素
はその人が日本をこよなく愛することである。それ
には日本の過去も未来も全てが好きであるくらいで
なければならない。このことに異論があればその意
見を聞きたい。岡田氏ははなから、首相になったら
靖国には参拝しないと言っていた。これは最初から
日本人であることもしくは日
本の歴史を否定するようなものだった。日本人を否
定したからには、日本の首相にはなれない。心に関
することは、無言で実行することが最も日本人らし
いことではないだろうか。
小泉氏は逆に、首相になったら靖国に参拝すると
言っていたが、これも日本人らしからぬ発言である
と思う。しかも、当初約束していた8月15日を避け
て参拝を繰り返したのだからもっと悪い。
これからの日本を引っ張っていくリーダーには、
日本人の心の問題をごく自然体で解決する能力を持
ち合わせている人がふさわしい。本気で日本を日本
人を救おうとしている、と感じさせなければならな
い。
今後も幾度となく政権交代のチャンスは訪れると
思うが、次の政権を受け持つためには、今のように
マニフェストだけの対応ではだめである。この日本
の未来にふさわしい人物をそろえる必要があり、そ
の頂点に立つような人を党首にする必要がある。
○政権交代に向けて
今の肥大化した自民党には、捨て駒である議員が
たくさんいるので、腐敗した議員を切り捨てること
によりすばらしい政党になる、というふうに考える
こともできる。しかし一般的には肥大化した組織は
徐々に腐敗する。小泉氏は今度の選挙で、念願であ
る郵政民営化を果すことができると思う。彼のライ
フワークの完成である。よって、それ以上のことは
やらないと私は考えている。首相を引退するいい潮
時であるし、彼には伝説の中だけで生きてもらいた
い。
もし、仮に小泉氏が、「改革はこれからが本番だ」
と言い、国民が再びそれに熱狂したら、それこそ注
意が必要である。歯止めが必要である。
そのような意味でも日本にはもう一人のリーダー
が必要である。そのリーダーの下で真の政権が生ま
れることを願う。
|