10月14日、参議院本会議で郵政民営化関連法案が
可決、成立した。8月8日に大騒ぎで否決された事
がまるで嘘のような静けさであった。
通常国会で造反した自民党参議院議員30名のう
ち、今回も同様の行動を取ったのは、離党した2氏
を除くと、亀井静香氏の兄の亀井郁夫氏のみ。まさ
しく、小泉さんが言っていた通りになったわけで、
小泉さんはこれを「政界の奇跡だ」と表現し、また
「国民のおかげ」と付け加えた。
転んだ議員は一体、自分が民意を掴んでいなかっ
たことを認め、自らの不徳を恥じたのであろうか。
それとも、衆議院での「刺客」騒動に恐れをなした
のであろうか。
そもそも『参議院の独自性』を掲げて、自らが所
属する政党の方針に反対したのではなかったのか。
『良識の府』と謳うのであれば、たとえ衆議院で再
可決され成立したとしても、反対を貫くべきではな
かったのか。
参議院は誕生した段階から絶えずその必要性を問
われてきている。貴族院型でも連邦型でもない二院
制に意味があるのか。参議院は本当に必要なのか。
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衆議院で与党が3分の2を超えてしまったことによ
り、参議院の議決に関係なく法案を通せることにも
なってしまった。いま、参議院の存在意義を改めて
考える時期がきているのではないだろうか。
今回の総選挙では、小選挙区制度の特徴が大きく
現れて自民党が大勝した。しかし、敗れたとはいえ
民主党も36%の得票率を獲得している。もし国民
が「小泉さんの改革が止まった」と判断すれば、次
の総選挙では、政権が変る可能性も十分ある。
そして、そのとき新しい政権の障害となるのは、
議席構成の変っていない参議院ということになる。
新しい政権が国民の信託を受けて新たな改革を断行
しようとしても参議院で止められる可能性が強いか
らだ。
自民圧勝は、自民党の「政党」としての力をより
強くしてしまい、参議院の「政党化」もより加速さ
れてしまった。政党にさらに縛られた参議院にその
独自性を打ち出せるのであろうか。
現在憲法改正論議が盛んに行われている。今後は
一院制への移行も視野に入れた改革も検討する必要
があるだろう。
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