生活者主権の会生活者通信2005年12月号/04頁..........作成:2005年12月01日

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前原民主党への新戦略提言

道州制実現推進特別委員会委員長 平岡昭三

 道州制実現推進特別委員会では、民主党の前原代表始め、鳩山幹事長、松本政調会長その他民主党の幹部
に対して、10月20日に、下記の提言書をお渡ししました。
 先の総選挙では民主党は敗れましたが、民主党政権によってこそ『道州制』は実現するとの思いは変わり
ません。今回、改めて前原新体制に対して提言を行い、その実現に向けての前進を求めました。

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民主党                                      H17.10.20
 代表 前原誠司 様                生活者主権の会 道州制実現推進委員会
                                        委員長 平岡昭三

                  前原民主党への新戦略提言

(一)政権奪取の戦いは、之からが本当の本番だと思います。貴党におかれては、新体制のもと、新戦略の
策定にご腐心中の事と存じますが、結党以来、諸提言を続けて参りました私共と致しましても、今回の敗戦
を踏まえ、原点に立ち返って、今度こそ「こうすれば必ず勝てる」という前原民主党への新戦略の特効薬の
提言を茲に直言申し上げたいと存じます。
 結論を先に申し上げれば、「道州制導入」を基本方針として大きく掲げ、次期国会において、内外に之を
意思表明する事こそが最重要であると考えるものであります。そうでないと、このスローガンも自民党に取
られてしまうからであります。

(二)今回の敗戦の最大の原因は、自民党に対するはっきりした対立軸を示し得なかった事であると思いま
す。
(1)何故政権交代が必要なのか?(2)自民党のどこがいけないのか?(3)どうすればそれが良くなる
のか?(4)自民党ではどうしてそれが出来ないのか?(5)民主党ならどうする事によってそれが出来る
のか? 以上の(5)点を、有権者に解かり易く、単純明快に、全関係者が口を揃えて、一斉に説明すべき
でありましたが、之等が全く出来ていなかったように思います。この答えは言うまでもなく、次の5点であ
ります。
 1.世の中に諸悪が充満しているが、之は全て長年の自民党政治によるものであるから、之を改むるには
   政権交代しかない事。
 2.自民党の政治は、中央集権制による集金集票システムの政官業の癒着で成り立つており、その既得権
   にしがみついて居る事が諸悪の根源である事。崩壊の危機に瀕している1千兆円の国の大借金にして
   も、全て自民党政治によるものである事。
 3.この中央集権制を廃止し、地方分権、地方自治の理想の形である道州制にするのがベストであり、之
   以外に方法がない事。
 4.自民党は改革を称えているが、党の存立の本質が中央集権制の集金集票システムにあるから、之を止
   めれば自殺行為となる事。今回、 500万の浮動票で、多くの新人議員を得たとはいえ、更に多数を占
   める族議員は、官僚と結束して既得権死守に必死の抵抗を試みるから、自民改革は時間ばかりかかり、
   決して実効が上げらない事。
 5.民主党なら、全くがフリーハンドであるから、理想的な真の改革が、着実にスムースに実現可能であ
   る事。

(三)以上の説明が回りくどいと思うなら、先ず道州制を説き、あと、何故道州制が不可欠なのかを、逆に
説明して行けばよいのでありまして、同じ事であります。そして、最も大事な事は、民主党の道州制の中味
は之之であると云う事を、早急に、明快に内外に示す事であります。今や、自民党を中心とする地方制度調
査会が、道州制を骨子とする具体案を来年三月中に、発表する事になっております。勿論その中味は、府県
連合的な中途半端な、なおざりのものと思はれますが、真の道州制を、この発表に先駆けて、早く天下に公
表しなければ、またぞろ小泉の「改革」の話の如く、お株を取られ、摺り返られ、国民を欺かす危険が大な
のであります。
 勿論、民主党の道州制の中味は次の如きものでなければなりません。そしてそれ等には、数値目標の明記
が不可欠で有ります。
 1.国民一般の生活が豊かになるよう、先ず、基礎自治体を強化し、国民生活と直結さすべき事。
 2.広域行政の調整機能整備のため、都府県を廃止し、道州を新設すべき事。道州制の広域行政システム
   の確立と諸規制の緩和・撤廃により、経済が活性化し、国民所得が増大し、税収増加により福祉・教
   育の充実が可能になるべき事。
 3.道州制に伴い、道州議会も整備され、司法・立法に就いても、広域に関する限り、分権移譲されるべ
   き事。
 4.このような強力な真の地方自治により、中央官庁の業務と権限は縮小され、小さな政府が実現し、経
   費が節減され、財政の健全化が齎されるべき事。
 5.以上に伴い、国会も整理縮小され、議員定数も何名かに圧縮され、一院制も考慮される事。之により、
   国会は国家全体の事項の討議に限定され、地域の事は道州と基礎自治体の議会に任されるべき事。

(四)今回の総選挙で民主党は、長年掲げてきた道州制の基本政策の旗を、内外に何の説明もなく、降ろし
てしまいました。之は一体どうした事でありましょうか?私共が今春、民主党全国会議員に対して行いまし
たアンケートに於きましても、過半数の方が「道州制こそわが党の基本政策である。」と申しておられまし
た。この旗を降ろした事こそ、真の敗因かもしれません! 何故なら、道州制なしでは中央集権制の廃止、
真の地方自治の実現性に就いて、説得力ある具体的説明も出来ないし、ひいては自民党と民主党との違いも
説明出来ないのであります。
 従いまして、貴党が先ずやるべき事は、「何故、道州制の旗を降ろしたのか?」の党内での徹底議論であ
ります。その議論を詰めれば、恐らく、道州制の説明無しでは、民主党の存在価値について、国民の理解が
得られない事が明白になるでありましょう。矢張り、前原民主党の新戦略は、改めて「道州制標榜を有権者
に明示する事」以外にあり得ないと云う事が再確認されるだろうと思います。 

(五)政府・自民党は、今回の総選挙を通じて、改革政府・改革政党のイメージを国民に植え付けました。
又、時を移さず、郵政に次ぐ次の改革を、民主党が従来及び腰であった「公務員改革」にスポットライトを
当てつつあり、「三位一体改革」も政府主導で進める気配をみせております。何れの改革も官僚の粛清、脱
中央政権に繋がるものであり、多くの国民が最も望んでいるところであります。
 以上に対抗出来、強力なアッピール力を持つものは、この二つを兼ね備えた「道州制」以外には、ありえ
ないのであります。いずれ、政府・自民党も之を打ち出してくると思はれます。之を政府・自民党に先に取
られたら、民主党は当分、政権の座に着くことは困難になるでしょう。或いは、息の根が止まるかもしれま
せん。国民は、自民党により大きな期待を掛け、「道州制」という巨大なテーマの完遂まで、自民党に政権
を委ねる事になると思います。

 最後に、民主党は、この国の将来の姿、豊かな生活の具体像を国民に明快に示さなければなりません。今
回、之が全くありませんでした。それを描くに当たっても、中央集権制の打破とそれに代わる道州制の導入
によってのみ、それが描ける事を明記すべきであり、それによってのみ、国民の納得が得られるのでありま
す。国民への浸透には、TV戦略の再構築も不可欠で有ります。

 以上に就きまして、私共とのご懇談の機会を賜りますれば誠に幸甚にて、ご鶴声頂ければ、何時にても参
上致します。
                                              以上

生活者主権の会生活者通信2005年12月号/04頁