03年、05年の総選挙で民主党がマニフェストに入れた「高速道路無料化」は、05年の総選挙
後の10月1日に「6つの高速道路株式会社」と「独立行政法人高速道路保有・債務返済機構」が営
業を開始したので既に論点が変わってきている。
民営化の現在の基本的枠組みは、03年12月の政府・与党協議会で「高速道路保有・債務返済機
構は民営化後45年後に債務の返済を完了させ、解散する。その段階で高速道路は無料開放する。」
と決定されている。
そもそも高速道路は道路整備特別措置法によって建設が進められてきた。その「特別措置」とは、
建設の財源を借金でまかない、その返済のために通行料をとり、借金が無くなれば無料に戻すという
「償還主義」を基本にしたものである。
ところがあまりにも長く有料の状態が続いているため、あたかも有料が当たり前で、それを前提に
高速道路は建設されているのだと思われてしまい、無料化を論ずる方がむしろ新しい政策のように見
えてしまっている。
私は、過去の多くの人達がいろいろな思いで協力してきた道路という公共財を、営利を目的とする
株式会社に移管するという民営化にはもともと反対であり、その理由の一つを生活者通信04年1月
号に「高速道路民営化に対する一つの疑問点」で述べている。
今回の民営化は通行料という収入源が将来無くなることがはっきりしているのに、営利を目的とす
る株式会社を作ってみたり、株式会社として将来成り立たないことがはっきりしている会社をいずれ
上場すると言ってみたりして、「官から民へ」の言葉が単に踊っているだけの全くインチキなもので
ある。しかし、一応具体的数値として始めて45年後に借金を返すとし、「償還主義」を貫いた点だ
けは評価できる。
民主党の当時のマニフェストは3年以内に無料化するとしているので、論点はむしろ無料化の時期
の問題になっている。
勿論、今でも無料化反対論はあるが、民営化会社が営業を開始した現段階で、有料を継続せよとい
うことは民営化会社の将来的存続、更には民営化会社の将来の株式上場を担保することが主たる目的
となるので、議論が民営化推進委員会スタート時点の4年前に戻ってしまう。これからは45年が厳
守されるよう、民営化会社の経営を日々見守ることこそ必須である。
もし民主党が引き続きマニフェストに3年以内の無料化を入れるのなら、「償還主義」を取り止め、
税を投入してでも早期に無料化すべき理由を明快に示さなければならない。
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