生活者主権の会生活者通信2006年03月号/14頁

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また丸投げか!「北海道道州制特区」

東京都渋谷区 岡部 俊雄

 最近マスコミで殆ど報道されていない北海道の道州制特区問題は、道と中央政府との間でひどくすれ違った動き
になっている。
 そもそも、この道州制特区は03年8月に小泉首相から北海道に対して取り組みの要請があったもので、また、
03年10月の総選挙で自民党の公約にも盛り込まれ、更に04年と05年の首相の年頭施政方針演説の中でも、
その取り組みを支援する旨言及されたものである。
 これを受けて北海道では真摯な検討が精力的に進められ、道州制特区に向けた提案が政府に提出され、更に、道
から市町村への事務・権限移譲方針まで決定されるところまで来ている。道の検討会議の中では「独立して国家を
目指す位の気概を持って考えたい。」と発言する委員も出て来ている程にまで機運は盛り上がっている。
 しかし、一方の中央政府の方はどうであろうか、道の検討の受け皿として道州制推進担当室と関係省庁連絡会議
なるものが設置されたが、道からの提案を検討して、05年7月になんと次のような回答をしている。
 「道州制そのものの導入の是非、制度設計等政府の方針決定が行われておらず、そのような状況下で特区を道州
制そのものの導入の先行実施として位置づけ、取り組むことは困難である。」
 中央官僚の道州制に対する強烈な抵抗体質、権益しがみつき体質丸出しである。
 方針決定をするに必要な試行錯誤をするための特区なのではないだろうか。
 このような状態を小泉首相は知っているのだろうか。
05年10月に自民党の副大臣による道州制プロジェクトチームが中間報告をまとめ、小泉首相に提出した時に、
小泉首相は「北海道の道州制特区の検討が進められているので、その結果を見守りたい。」と話している。小泉首
相は裸の王様になっていしまっている。
 ここでも無責任な丸投げなのだろうか。公約に掲げているにもかかわらず、また、公約なんか守らなくてもたい
した事ではない、と言うつもりなのだろうか。
 本年の年頭施政方針演説でも「北海道が道州制に向けた先行的取り組みとなるよう支援いたします。」と今まで
と同じことを言っている。また、2月中には第28次地方制度調査会が小泉首相の諮問を受けて、2年間に亘って
議論した「道州制のあり方」を答申する。
 任期も残すところ少なくなり、次期総裁選びの政局のみを楽しんでいるように見えるが、真に改革を進めなくて
はならないことは山積している。北海道道州制特区についても高い関心と期待を持って見守っている国民が多いこ
とを忘れないで、最後まで当事者としての責任を果たしてもらいたいものである。 

生活者主権の会生活者通信2006年03月号/14頁