道州制の実現を急がなければならない。
先般の国土開発幹線自動車道建設会議の結果を見て、その方向で急がなければならないことが
はっきりしてきた。国が以前から計画していた高速道路9,342km全てが造られることになってし
まったからである。無駄な道路をこれ以上造らないことを目的にした道路公団民営化だったので
はなかったのか。
そもそも45年後には収入源がなくなる株式会社を作ってみたり、将来経営が成り立たないこと
がはっきりしている会社の株式を上場すると言ってみたり、民営化会社会長になって公団総裁時
代より逆に給料が上がったりで、全くインチキな民営化であったが、これほど国民をバカにした、
また、欺いた「官から民へ」や「改革を止めるな」もないものだ。
族議員、官僚、業者に自治体までもが加わったスクラムに、言葉だけが踊っていた小泉首相は
簡単に蹴散らされてしまった。国家の操縦者たるべき首相のリーダーシップは何処へ行ってしま
ったのか。中央政府は完全に統制力と自己制御力を失ってしまった。
一日も早く我が国を、統制力があり自己制御できる政府の手に渡さなければならない。その政
府とは管理のサイクル(Plan-Do-See)を自分で回すことができ、所定の地域内のすべてのこと
を自分の責任で経営することができる政府である。
先般、地方制度調査会がまことに時宜を得た答申をまとめた。道州制の導入に関する基本的考
え方を示したものである。この答申を土台に国民的議論を盛り上げ、一日も早く道州制を実現し、
財源と権限を持った新しい道州が自分達の責任で自分達の道州を経営するという新しい国家を創
造しなければならない。
政党は中央官僚の強烈な抵抗を視野に入れ、国民の負託を受けていることを自覚して、速やか
に議員立法で地制調も求めている道州制推進基本法を策定してもらいたい。
最早国家のことも地域のことも、縦割りでしか物事を考えられない、既得権にしがみついてい
る中央の族議員や官僚と、それにただブラ下がっている自治体が健全に判断できるほど単純な事
柄ではなくなっている。道路を有料にするか、税を投入して無料開放するか、または、道路より
教育や福祉に税を投入するかは道州や基礎自治体が経営者の立場で責任を持って考えなければな
らない。
国と地方を合わせた借金は既に1,000兆円にも達している。最近若者が「自分達の年金や福祉
のことを言う前に、自分達が作った借金は自分達で返しておいてくれ。俺達に借金を残さないで
くれ。」と言っているのを聞くことがある。まことにもっともな言い分である。しかし、今の中
央の族議員や官僚と、それにブラ下がっている自治体でこのことが解決できるとは到底思えない。
彼らは「その借金は道路や他の箱物という資産にちゃんと変えてある。借金はきみ達やきみ達の
子や孫で返してくれ。」とうそぶくだけである。先般開港した不採算空港といわれている神戸空
港の2,108億円の借金は、いったい誰が返すのだろうか。
新しい自立した地方がその地域のことを主体的に判断し、実行し、その結果を見て責任を持っ
て軌道修正することができる体制を作り上げ、それぞれの地方が活力を競い合うような仕組みを
作ることが必須となっている。そしてその活力のみなぎる地方の集合体としての健全な国家を早
急に作らなければならない。
今、我々国民が踏み切らなければならない最大の仕事である。
急げ!道州制の実現を。
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