生活者主権の会生活者通信2006年04月号/03頁

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どうすれば真の道州制が実現するか

道州制実現推進委員会 委員長 平岡 昭三

(一)世間で道州制論議が高まって来ております。しかし乍ら、まだまだ線香花火的であります。
之では真の道州制は中々実現致しませず、百年河清であります。どうして難しいのか。何故なら、
真の道州制は中央集権制の対極にあり、国の法律を根本的に大改革しなければ、実現しないから
であります。しかも、言うまでもなく、長らく続いている自民党政権の本質は、この中央集権制
に依拠しているのであります。中央集権制による一極集中で、政官業癒着の鉄の三角形が形成さ
れ、集金・集票システムの悪弊が、完成されているのであります。
 従って、この大変革は、自民党では自殺行為となり、実現困難であります。小泉首相は声を涸
らして、改革続行を言っていますが、あと任期も短く、党の本質は到底変わらないのであります。
従いまして、自民党の称える道州制は、小手先だけの、にせ道州制の域を出ないのであります。
地方制度調査会も、道州制案を出して来ておりますが、之も本質的には自民党寄りですから、多
くは期待出来ません。それらの中途半端な道州制による地方への権限委譲では、何時まで経って
も中央集権制は残り、その間時間と費用の浪費は、甚大な国家的損失となるのであります。

(二)それでは、真の道州制とは何か?真の道州制とは、全ての国の権限即ち、司法・立法・行
政の殆どの権限を地方に持って行き、十個程の地域国家を、日本列島の各地で形成し、経済・社
会を豊かにし、中央の権限を殆どなくし、その弊を払拭しようというものであります。中央に残
すのは、外交・防衛の他は一部の全国家的機能だけであります。国会の二院制の組織も、白紙に
して再検討され、国会議員も大幅に減員されます。そこでは、全国家的事項及び道州間の調整等
のみが討議され議決される事になります。そして、その他の事項は全て道州議会に移牒されるの
であります。このように徹底的に地方に権限を移譲しなければ、中央集権制とその弊は何時まで
経っても一掃されないのであります。
 このように、真の道州制とは、行政において中央省庁の殆どを廃絶し、立法に於いて国会を大
幅に整理縮小し、それらの権限を道州に移譲するものであります。この二大重点施策を欠く道州
制は、全てにせ道州制であります。

(三)それでは、どうすれば真の道州制が実現するか?その為には前述の通り国の法律を大変革
する事が不可欠であります。但し、それは現行憲法の下でも、相当程度可能であります。然しな
がら、自民党では、小手先のまやかしの道州制しか出来ません。ここはどうしても、中央集権制
を止めて、真の道州制を標榜する、自民党に代わる強力な政党を出現させ、それに政権を取って
貰う他には、実現の方法はないのであります。
 幸い、野党第一党の民主党は、結党以来、真の道州制標榜を基本政策の一つに掲げてきており
ます。従って、同党に之を最大の基本政策に格上げして貰い、広く国民に訴えて、政権を奪取し
て貰う他、実現の方法はないのであります。ところが残念ながら、昨年の総選挙では、何故かこ
の旗を下ろし、惨敗してしまいました。
 私共は、これらの事を昨年来、同党の新しい幹部に訴え続けて来ている次第であります。

(四)ご高承の通り、同党内部は現在、各種政策意見が混在しており、基本政策の統一に腐心し
ているやに見受けられます。従って真の道州制標榜を最大の基本政策に掲げて貰うには、私共が
要望するだけでは、到底不十分であります。
 茲に於いて、私共は、全ての有権者に対し、同党に「真の道州制実現に向けて基本政策を統一
し、その具体案を整備し、広く国民に訴えるよう」要望を始めて頂く事を、お願い申し上げたい
のであります。これ以外に、真の道州制実現の方策はありません。徒に時間が経過しますと、前
述の国家的損失が、益々増大するばかりであります。
 関係各位に於かれましては、同党幹部のみならず、全国各地の同党の関係者にも、この要望に
ご賛同を賜り、同党本部への伝達をお願い出来れば幸甚であります。
 それから、同党をご支援でない方も、夫々の支援政党に対し、道州制の具体案の整備・開陳を
要望して頂き、各党の道州制案が出揃いますと、どの道州制がよいか、比較検討され易くなり、
マスコミも大きく採り上げられ、本件の全国的検討が大きく前進する事となり、大変喜ばしいと
存じます。

生活者主権の会生活者通信2006年04月号/03頁