政府・与党が共謀罪法案の成立を急いでいる。
この法案はその内容が知れ渡るにしたがって、日
増しに反対の声が高まっている。なぜそれほど急ぐ
必要があるのだろうか。
先の総選挙で自民党は大勝し、与党で3分の2を
超える議席を獲得した。小泉さんは「郵政解散」と
銘打ち、国民に「郵政民営化是か非か」と問いかけ
た。そして多くの国民はそれに賛同した。しかし、
共謀罪について賛成したわけではない。
確かに、自民党のマニフェスト「120の約束」
の中には「74.テロの未然防止と対処能力の強化」
という項目があり、「国際テロから国民を守るため、
出入国管理や爆弾テロ対策を強化するとともに、空
港や鉄道等の警戒警備を徹底する。また、テロの未
然防止のための法整備を進める。」と説明がつけら
れている。今回の共謀罪法案はこの法整備のことな
のだろうが、その文面からは今回提出の内容を読み
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取ることはできない。
もちろん、代議制であるから与党の判断で新しい
法案を成立させていくこと自体に異を唱えるつもり
はない。しかし、郵政民営化については、マニフェ
ストの1番目に「参議院において否決された民営化
関連6法案を次期国会で成立させる」と明記されて
いるが、共謀罪についてはその文字すら見当たらな
い。共謀罪法案は事前に国民の合意を取り付けた郵
政民営化法案とは大いに異なるのである。その成立
には慎重な審議が必要である。しかもその適用対象
の不明確さに多くの国民が不安を感じている現在、
その必要性は他の法案とは比べものにならない。
河野衆院議長の仲裁で5月19日の委員会での強行
採決はひとまず回避された。政府・与党はマニフェ
ストに明確に打ち出していないという事実を十分に
自覚し、慎重の上にも慎重に、継続審議という選択
肢も念頭に置いて議会運営を進めるべきである。
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