7月2日に行われた滋賀県知事選挙で「大型公共
工事凍結」を旗印にした新人が、自民・民主・公明
の推薦した現職を破り当選した。その意外な結果が
いま波紋を広げている。
とりわけ民主党を揺さぶった。民主党は現在知事
選相乗りを「原則禁止」している。滋賀は例外とし
ていたが、この結果を受け、現職の推薦を決めてい
た8月の香川県知事選挙を自主投票に変更し、長野
でも自主投票になった。大きなうねりである。
小沢民主党は、政権交代の実現のために来年の参
議院での勝利を第一命題に掲げている。そしてその
ポイントが1人区で勝てるかどうかだと言われてい
る。知事選はそれと同じ構図になるわけで、地方の
事情があるとはいえ、下手な相乗りはしないことが
肝要である。今回の結果を薬として、災い転じて福
とする、ことを期待したい。
朝日新聞社説は「『もったいない』が勝った」と
のタイトルで今回の選挙を論評したが、大型公共事
業の凍結、とりわけ新幹線の新駅凍結を掲げて当選
したのには驚いた。新幹線には聖域のイメージがあ
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る。これを否定して当選した知事がこれまでいただ
ろうか。私には記憶がない。しかも相手は現職で、
自民・民主・公明の推薦を受けていたわけである。
これは住民意識の大きな変化の現れだとも言える。
財政危機が叫ばれ続け、それがだんだんと浸透して
きたのではないか。この結果を受けて、今後の知事
選での争点が大きく変わるかもしれない。
また今回の選挙では、新幹線の新駅凍結の是非が
クローズアップされ、それが「ワンフレーズ選挙」
のような効果になったとも聞く。「ワンフレーズ」
がここでは自民党に牙をむいたわけである。
滋賀知事選でもマニフェスト選挙は行われたよう
で、地元新聞の記事を見るとそれにより冷静な判断
もされたようだ。政策の全体を約束するためのマニ
フェストの提示は必須のものとしてもはや定着して
きたのだと思う。しかし、多くの人をひきつける爆
発力ではマニフェストよりワンフレーズに軍配が上
がる。これからの選挙ではマニフェストに加えて、
自らの力点を明確に表現する「ワンフレーズ」も必
須なものになるのかもしれない。
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