生活者通信2001年09月号/11頁..........作成:2001年11月27日/杉原健児

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間接民主制と直接民主制

文京区 松井孝司

  「首相公選」は直接民主制である。わが国の現行
「議員内閣制」は間接民主制である。直接・間接ど
ちらが良いか?は一概には答えられないが日本の現
状は間接主義の弊害が社会のあらゆる分野に見られ
るように思う。例を挙げれば日本企業である。日本
企業は株主の所有ではあっても株主の意思で運営さ
れてはいない。赤字を出し無配を続けながら役員の
責任を問われることはまれである。株価が長期低迷
を続けるのは当然というべきであろう。日本企業は
日本国家の縮図である。                        
  金融も銀行、郵便局経由の間接金融がまかり通り、
自己責任を伴う直接金融ではないために融資先には
返済不能の不良債権の山が出来てしまった。間接主
義は責任の所在を明確にすることが難しいために無
責任体制になりがちであり、その悪弊が日本という
システムに典型的に現れているのだ。高度成長時代
にはその弊害が表面化しなかっただけのことである。
  ギリシアの昔は直接民主制であったが、君主の出
現で民主制は立ち消えになり、立憲君主制の名のも
とに間接民主制という形で民主制が復活したとみる
ことが出来る。                                
  しかし、ルソーに言わせればこれは誤魔化しであ
り真の民主主義ではない。                      
  人類の歴史を振り帰ると再び「直接民主制」へ向
かいつつあるように思われる。ルソーの時代には直
接民主制を実現する手段を持たなかったが、いまや
「インターネット」という格好の手段を人類は手に
したからである。国民全体の意志を問うこともイン
ターネットを使えば瞬時に可能となった。        
  社会正義を定義するものが「立法」であり正義の
基準決定には国民全体の意志を確認することは当然
の行為であろう。重要法案の立法や重要権力者の選
任には国民投票を義務付けるべきである。首相公選
はその一つである。                            

首相公選の議論より改革の実行を

埼玉県 河登一郎

1.首相公選論が賑やかである。特に小泉首相が前
  向検討方針を打ち出してから、当会を含め多方面
  で議論されている。しかし、私はこの議論に熱中
  することは、生活者の為の諸改革実現に対して、
  国論を分裂させ、市民運動のエネルギーを分散さ
  せる意味で、有害でさえある、と思っており、8
  月4日の「公開討論会」でもパネラーの一人とし
  てその趣旨を主張した。                      
2.理由は以下の如く単純である。              
 (1)首相公選論は "国民が首相を直接選ぶ" と云う
    観念的・ムード的な一致点を除けば具体的内容
    については千差万別あり、それぞれ一長一短で
    ある。一例だけ取り上げてみても、          
    ヌ首相のリーダーシップを高める為に広範な拒
    否権を与えると(中曽根案)独走の恐れあり、
    ネそれを牽制する意味で議会に弾劾権を与える
    と(小田案)政治不安定の恐れ大、ノ安定度を
    高める為に議院内閣制に近い首相公選制なら、
    憲法改正するまでもなく、議院内閣制の改善の
    方が良い(中曾根ほか)、と一口に首相公選と
    云っても、前提によっては全く別制度に近くな
    る。当然、議員内閣制との比較でも一長一短で
    ある。                                    
 (2)同様な論点は細かい点を含めると無数にあり、
    真面目に議論するほど、国論の分裂、エネルギ
    ーの分散は避けられない。                  
 (3)最終的に国民投票で決めたとしても、首相の個
    性、能力、政治環境などにより結果には大差が
    生じ得、(森内閣と小泉内閣は制度条件が全く
    同じなのに政治は別物の如し)、首相公選制に
    なったからと云って現状より改善される保証は
    ない。                                    
3.一方、生活者の立場から進めなければならない
  諸改革は10年遅れの待った無し。具体的には、
  民主党などが従来から主張し、小泉内閣が総論と
  しては進めようとしている諸改革即ち、公共事業
  の縮小・見直し、特殊法人改革(廃止・民営化)、
  環境対策(含税制)、情報公開の徹底、NPO・
  住民参加の拡充、選挙法の見直し(含一票格差)、
  医療・ 介護・ 福祉制度の改革などである。これら
  の諸改革は、賛否両論にそれぞれ一理ある首相公
  選制論議と異なり、現在不当利益を得ている一握
  りの利権集団以外の全国民・全生活者が熱烈に支
  持しており、公正で開かれた社会実現のためには、
  実行有るのみである。                        
4.これら諸改革は、あと一押しで実現可能な段階
  にある反面、絶大な権限を持つ利権集団=抵抗勢
  力=族議員・官僚・癒着業者、により骨抜きにさ
  れる可能性もまた無視できない。              
    首相公選論の如き、所詮は一長一短、議論のた
  めの議論に終る可能性の高いテーマで国論を分裂
  し、絶対的に不足している市民運動のエネルギー
  を分散させることは、日本のために実に惜しい、
  と思う所以である。                          

首相公選制導入を日本の民主主義定着の
突破口に!

調布市 杉原健児

  「首相公選制」の議論や運動が盛んになっている。
私はもしこの「首相公選制」が導入されるならば、
この改変を「日本の民主主義定着の突破口」にした
いと思う。以下8月4日の「討論会」パネラーとし
て発言した骨子を述べる。                      
  日本は戦後民主主義憲法を擁する国となったが、
その後半世紀以上にわたって、その民主主義を守り
育てることをさぼってきたと思う。これは国民全体
の怠慢だと思う。その怠慢を取り戻すために、次の
ような「首相公選制」を実現したい。            
                      ☆                      
 (1)インターネットをフルに駆使した、21世紀に相
    応しい首相選出の選挙法を実現する。        
 (2)首相選出選挙は3回3ヵ月掛けて行い、国家的
    一大イベントとする。                      
 (3)国民の知る権利を尊重し、インターネットを含
    め、選挙PRのメディア利用を自由にする。  
※詳しくは、生活者通信8月号11頁を参照下さい。

生活者主権の会生活者通信2001年09号/11頁