「首相公選」は直接民主制である。わが国の現行
「議員内閣制」は間接民主制である。直接・間接ど
ちらが良いか?は一概には答えられないが日本の現
状は間接主義の弊害が社会のあらゆる分野に見られ
るように思う。例を挙げれば日本企業である。日本
企業は株主の所有ではあっても株主の意思で運営さ
れてはいない。赤字を出し無配を続けながら役員の
責任を問われることはまれである。株価が長期低迷
を続けるのは当然というべきであろう。日本企業は
日本国家の縮図である。
金融も銀行、郵便局経由の間接金融がまかり通り、
自己責任を伴う直接金融ではないために融資先には
返済不能の不良債権の山が出来てしまった。間接主
義は責任の所在を明確にすることが難しいために無
責任体制になりがちであり、その悪弊が日本という
システムに典型的に現れているのだ。高度成長時代
にはその弊害が表面化しなかっただけのことである。
|
ギリシアの昔は直接民主制であったが、君主の出
現で民主制は立ち消えになり、立憲君主制の名のも
とに間接民主制という形で民主制が復活したとみる
ことが出来る。
しかし、ルソーに言わせればこれは誤魔化しであ
り真の民主主義ではない。
人類の歴史を振り帰ると再び「直接民主制」へ向
かいつつあるように思われる。ルソーの時代には直
接民主制を実現する手段を持たなかったが、いまや
「インターネット」という格好の手段を人類は手に
したからである。国民全体の意志を問うこともイン
ターネットを使えば瞬時に可能となった。
社会正義を定義するものが「立法」であり正義の
基準決定には国民全体の意志を確認することは当然
の行為であろう。重要法案の立法や重要権力者の選
任には国民投票を義務付けるべきである。首相公選
はその一つである。
|